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雨降りお月さん

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞:野口雨情、作曲:中山晋平、唄:佐藤千夜子

1 雨降りお月さん 雲のかげ
  お嫁にゆくときゃ 誰とゆく
  一人でからかさ さして行く
  からかさないときゃ 誰とゆく
  シャラシャラ シャンシャン
  鈴つけた
  お馬にゆられて ぬれてゆく

2 急がにゃお馬よ 夜が明けよう
  手綱(たづな)の下から
  ちょいと見たりゃ
  お袖でお顔を かくしてる
  お袖は濡れても 干しゃ乾く
  雨降りお月さん 雲のかげ
  お馬にゆられて ぬれてゆく

3 雨降りお月さん 雲のかげ
  お嫁にゆくときゃ 誰とゆく
  一人でからかさ さして行く
  からかさないときゃ 誰とゆく
  シャラシャラ シャンシャン
  鈴つけた
  お馬にゆられて ぬれてゆく

《蛇足》 この歌は、1番と2番とでメロディが異なっています。そうなったのは、最初、1番と2番がそれぞれ独立した曲として作られたことによります。

 1番は大正14年(1925)、児童雑誌『コドモノクニ』の1月号に、楽譜つきで発表されました。上の絵はその号に掲載された岡本帰一の装画。
 
詞のタイトルは、初め、『雨降りお月』でしたが、中山晋平のたっての希望で「さん」をつけたという話が伝わっています。
 中山晋平が「さん」づけにこだわった理由は不明ですが、おそらく、『雨降りお月』のままだと、音として中途半端ですわりが悪いと感じためでしょう。

 この歌は、子どもはもちろん、親たちにも評判がよく、「傑作だ」「すばらしい」といった賛辞が続々と寄せられたといいます。
 そこで、同じテーマで続編が作られることになりました。それが2番で、同年の3月号に『雲の蔭』というタイトルで掲載されました。

 それでは、どうしてこの2つが合体したのでしょうか。
 昭和に入ると、日本のレコード市場は急速に拡大し、日本コロムビア、日本ポリドール、日本ビクター、キングレコードという大手4社が次々と設立されました。

 そうした情勢のなかで、『雨降りお月さん』もレコード化されることになったのですが、1番だけでは短すぎて商品化しにくい、どうしても2番か3番まで必要だとわかりました。
 そこで、中山晋平が、『雨降りお月さん』と『雲の蔭』は、テーマも曲想も同じだから、いっしょにしたらどうかと提案したそうです。3番として『雨降りお月さん』を繰り返すことになりました。
 こうして、今日に伝えられている『雨降りお月さん』が成立したわけです。

 『コドモノクニ』は、大正デモクラシーまっただ中の大正11年(1922)1月に創刊されました。
 大正デモクラシーとは、この時代に現れた政治・社会・文化にわたる民主主義的・自由主義的な諸傾向を指します。
 『コドモノクニ』も、そうした思潮の影響を受けており、子どもの個性や自我の尊重を基本的な編集方針としていました。 

 編集顧問の倉橋惣三、童謡顧問の北原白秋・野口雨情、音楽顧問の中山晋平、編集主任の和田古江、絵画主任の岡本帰一などが、そうした編集方針を支え、やがて『コドモノクニ』は、日本を代表する子ども向けの絵雑誌として育っていきます。

 岡本帰一、武井武雄、清水良雄、川上四郎、初山滋、本田庄太郎、竹久夢二、細木原青起など、多くの才能ある画家たちが、子どもたちのために健筆をふるいましたが、昭和19年(1944)3月、戦争激化に伴う物資不足などから、ついに終刊となりました。

(二木紘三)

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コメント

《蛇足》とはご謙遜。 いやいや目から鱗。興味深く拝読させていただいています。
 お願いがあるのですが。
 多くの人々に親しまれてきた童謡や唱歌の《蛇足》を知りたくて厚かましいお願いをいたします。あかとんぼ。ふるさと。などなど
 古希を過ぎたせいか、いやに童謡が懐かしく、遠き日々が、つい昨日のようによみがえってきます。
 己の無知さを嘆きつつも、知る楽しさも、また、楽しからずや。の日々です。
 鹿児島

投稿: 有馬 巌 | 2007年5月18日 (金) 23時58分

 その後気になって、この歌の歌詞についていろいろ調べてみました。その結果さまざまに解釈が分かれていることが解りました。私の感想としては、『雨降りお月さん』はやはり「雨降り」で良いのでは?と思います。しかし、そうと断定するのは保留しておきます。
 いずれに致しましても、さまざまに解釈が分かれるということは、野口雨情の歌詞が重層的な意味・内容を含んでいるからなのかもしれません。そしてこの重層性こそが、優れた詩の条件の一つかとも思われます。
 この歌は聴くたびに心に響いてくる日本的原風景の一曲です。それでどうしてもコメント致したく、再度試みさせていただきました。二木先生。周坊様。どうぞご了承ください。

投稿: 大場光太郎 | 2008年12月 3日 (水) 19時14分

はじめまして。
「雨降りお月さん」の曲を探していて、こちらにたどりつきました。
随分前の記事のようですので、これをご覧になっているのかわかりませんが、私のブログとリンクを張らせていただいたご報告と、事後承諾になりますが、一応お許しをいただきたく、コメントに書きこみました。
この曲は、私の思い出の歌として、ブログに紹介したかったもので・・・なにとぞ、よろしくご快諾下さいますようお願いします。
なにしろ、ブログ初心者なもので、トラバックとかの方法もわかりませんでしたf(^^;
失礼がありましたら、お許しくださいm(__)m

投稿: ぶら小路 | 2009年7月 1日 (水) 22時16分

ぶら小路 様
リンクはお気兼ねなく、どの曲にでもどうぞ。
トラックバックは受け付けておりません。
(二木紘三)

投稿: 管理人 | 2009年7月 1日 (水) 22時48分

埼玉県入間市 玉利 孝敏
オカリナ コカリナ リコーダー など笛歴30年
こうしたよい歌を、もっと子供たちに教えたいものです。約 300曲 暗譜して、あの三宅島災害から、今回の東日本大震災まで、79回野外チャリティーなど行い、日赤に送り続けました。余裕があれば、震災地などに慰問にいきたいところですが・・・

投稿: 玉利 孝敏 | 2012年7月20日 (金) 16時07分

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