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暗い港のブルース

 (mp3制作:二木紘三)

作詞:なかにし礼、作曲:早川博二、唄:ザ・キングトーンズ

いとしいひと あなたはいま
名前さえ告げずに 海にかえるの
白い霧に 目かくしされ
遠い船の汽笛 ぼくは聴いてる

かりそめの恋を さけんだけれど
あふれくる 涙 涙 涙
切れたテープ 足にからめ
あなたの影を追う 暗い港

      (間奏)

さよならは 死ねというも同じ
枯れはてた 涙 涙 涙
不幸色した ランプゆれて
あなたを今日も待つ 暗い港

《蛇足》 昭和46年(1971)4月にグラモフォンからレコードが発売されました。

 ただし、この8年前にモダン・プレイボーイズというバンドの演奏によるレコードが出ています。
 この時期に訳詞家として名高い薩摩忠がこの曲に詞をつけています。歌手が演奏会で歌うためだけに作詞や訳詞がされることもあるので、薩摩忠の作詞がモダン・プレイボーイズのレコーディングのためだったかどうかは不明です。

 なかにし礼の詞は、この原詞をベースとしたものとされています。薩摩忠の詞が不明なので、なかにし礼の詞が原詞のイメージを借りただけで実質的にはオリジナルなのか、あるいは原詩の補作に近いものなのかはわかりません。

 曲はムードミュージックとして国際的水準を行く傑作だと思います。

 作曲した早川博二(ひろつぐ)は大正14年(1925)生まれで、トランペット奏者としてスタートし、戦後は作曲家・アレンジャーとしても活躍しました。作曲家としては、この曲のほか、奇優・左ト全が子どもとたちと歌った『老人と子供のポルカ』などのヒット曲があります。

 平成16年(2004)、79歳で没。

(二木紘三)

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コメント

 あのなかにし礼も、つい最近古稀(70歳)を迎えたそうです。この歌が発表されたという昭和46年頃は、作詞家・なかにし礼の最も脂の乗り切っていた時期だったのではないでしょうか。
 なかにし礼といえば、今から20年以上前ある営業の仕事で、北鎌倉(当時)のお宅に訪問したことがあります。但し応対されたのは、ご本人ではなく奥様(女優・石田ゆり)の方でしたが。やはりお綺麗でした。
                          *
 二木先生も解説で述べておられますが、私もかつて誰かが「この歌は日本が生んだ世界的なブルースだ」と、評していたように記憶しております。
   いとしいひと あなたはいま
   名前さえ告げずに 海にかえるの
 一読すると、「いとしいひと」なのに名前さえ知らないの?となりそうです。しかしそういうシチュエーションは、確かにあり得ます。
 海にかえっていくいとしいひとを覆い隠す白い霧。遠ざかる船の汽笛…。深い哀しみを押しころした、暗い港での叙情的な別れのブルースです。

投稿: 大場光太郎 | 2008年9月 5日 (金) 20時20分

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