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夢一夜

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞:阿木燿子、作曲・唄:南こうせつ

1 素肌に片袖 通しただけで
  色とりどりに 脱ぎ散らかした
  床にひろがる 絹の海
  着てゆく服が まだ決まらない
  いらだたしさに 唇かんで
  私ほんのり 涙ぐむ
  貴方に逢う日の ときめきは
  あこがれよりも 苦しみめいて
  ああ 夢一夜(ゆめひとよ)
 
 一夜限りに咲く花のよう 匂い立つ

2 恋するなんて 無駄なことだと
  例えば人に 言ってはみても
  貴方の誘い 拒めない
  最後の仕上げに 手鏡見れば
  明かりの下で 笑ったはずが
  影を集める 泣きぼくろ
  貴方に逢う日の ときめきは
  喜びよりも せつなさばかり
  ああ 夢一夜
  一夜限りと言いきかせては 紅をひく

  貴方を愛した はかなさで
  私はひとつ 大人になった
  ああ 夢一夜
  一夜限りで醒めてく夢に 身をまかす

《蛇足》 「四畳半フォークの帝王」と呼ばれた南こうせつとしては、かなり異色の作品。フォークと歌謡曲の境界領域にある、それもかなり歌謡曲寄りの曲。
 阿木燿子の官能的な歌詞がみごとに生かされています。

 以前、ある方から1番の歌詞について、次のような投稿がありました。
 歌詞全体のイメージから、床に脱ぎ散らかしてあるのは着物
(和服)でしょう。だとすれば、「着てゆく服が」でなく、「着てゆくものが」のほうが適切ではないか――というのです。

 これは同感ですね。服は、もともと「身につけるもの」という意味で、着物を指しましたが、現代ではほとんど洋服と同義で使われています。
 そのため、服だと「素肌に片袖通した」「色とりどりに」「絹の海」といったイメージにそぐわなくなります。決めかねているなかに洋服も混じっていたとしても、「着てゆくもの」なら、イメージのずれはありません。

(二木紘三)

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コメント

有難うございます。一年振りにこの世に生還いたしました。先生同様に失うものを失いました。しかし、こうして先生の懐かしいサイトにアクセスできるまでになりました。PCを許可されて最初に開いたのは言うまでもなく先生のサイトです。イヤホンから流れる音楽は「華美」なものでした。もう少しこの世にいることが許されたようです。悔しいことに私より早く「木内彰志」というかけがえのない師を失いました。残るべき魂が残らぬ順不同はこの世の習いですが、今はこうして先生にお礼を申しあげることが出来る幸せを噛締めています。有難ございます。くれぐれもお体ご自愛のほどとくとお願い申し上げます。
 「埋葬のあと寒木を平手打ち」

投稿: 矢谷弘幸 | 2007年12月29日 (土) 21時17分

この曲を最初耳にした時の感想はちょっとした驚き。。。でした。今まで聞いていた曲と少し違うとそういう感想が沸いて来ますよね。
阿木さんもちっとも年齢を感じさせない美人でそれも驚いた事がありました。

投稿: sunday | 2008年4月29日 (火) 06時51分

着てゆく服が。でいいじゃないですか。和服だと解っておられるなら、直のこと。

投稿: M.U | 2008年5月26日 (月) 13時23分

着てゆくものが未だ決まらない。こんなに着物があるのだから上流家庭のお嬢様ですよね。しかし恋になると、みんなこういう気持ちに成るのだから不思議なものですね。

投稿: 海道 | 2008年10月19日 (日) 21時17分

昭和歌謡図鑑によればこれも奥さんがいる人を好きになってしまった若い女の子の気持ちを歌っている不倫の歌だそうです。そう言われて詞をみれば「一夜限り」がやけに目につきます。こんな綺麗な曲まで。歌は不倫で始まり不倫で終わる。倫理に反する恋というのは、世間的によくないことなのに、これだけキレイで切ない音楽が多いっていうのも事実ですねー。不倫人は色恋歌を聞けば不倫に聞こえ、そうで無い人は普通の恋愛歌に聞こえるとも言われますが。そう言うものなのでしょうね。

投稿: 海道 | 2012年7月 9日 (月) 06時46分

矢谷弘幸さんの
>埋葬のあと寒木を平手打ち

一瞬、自分が寒木になったような気がしたほど
この句に打たれました。


投稿: M.M. | 2013年2月24日 (日) 11時42分

老若とはず女性の「さが(性)」を詠いつくした詩ですね。宇崎竜童さん、こんなに感性に満ち溢れた奥様と仕事ができて・・・うらやましい限りです。南こうせつさんは僧籍の家族をお持ちと聞きました。「声明」という仏教音楽の神髄を極めた楽曲とのコラボレーション!!聴くたびごとに情景が目にうかびます。ここに登場する女性はどのような人でしょうか。「男はつらいよ」の”寅次郎夕焼け小焼け”の宇野重吉さん扮する池内静観画伯と静かに語らう岡田嘉子さん(若き日の恋人役)が印象にのこっています。池内静観画伯の苦悶の問いかけに「こうすればよかった」という後悔と「どうしてそうしなかったのか」という後悔とが・・・といいながら立ち上がり、部屋のむこうに身をしずかに運ぶ岡田嘉子さん・・・・・。歌や映画はいいものです。

投稿: 亜浪沙 | 2017年2月 7日 (火) 14時38分

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