アフトン川の流れ
(mp3制作:二木紘三)
1 やさし流れ 緑なす 2 浅き谷を 呼びあつめ |
3 清き流れ すべりゆく |
Flow Gently Sweet Afton 1. Flow gently, sweet Afton! among thy green braes, 2. Thou stock-dove, whose echo resounds thro’ the glen; 3. How lofty, sweet Afton! thy neighbouring hills, 4. How pleasant thy banks and green valleys below, 5. Thy crystal stream, Afton, how lovely it glides, 6. Flow gently, sweet Afton! among thy green braes, |
《蛇足》 スコットランド民謡。詩はロバート・バーンズ(1759~1796)。
バーンズは、スコットランドに生れ、農民として一生を終わりました。その詩は方言で書かれ、大衆に愛誦されました。
彼の家はアフトン河畔のエアシャーにあり、その流れに感動して作ったものといわれます。詞の中のメアリーは、この詞が書かれた1786年にバーンズが求愛したメアリー・キャンベルという女性を指すといわれています。
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白河夜舟さんからコメント(コメント欄参照)をいただいたのを機に、原詩について少しばかり調べ直してみました。
私が原詩を採ったのは、飯塚書店刊『イギリス民謡集』(1957年11月5日発行)の98~99ページです。訳詞者は著名な英文学者の竜田和夫氏ですから、訳詞をするに当たって原詩について十分な考証をしたはずです。
白河夜舟さんご指摘のhillとdellについては、私は間違いかどうかは疑問に思っています。『イギリス民謡集』では、それぞれの箇所が
resounds from the hill, in yon thorny dell,
とあり、私の写しまちがいでないことを確認しました。
詩としての意味も、glen(峡谷)、den(棲み家)とはニュアンスが多少変わるだけで、hill(丘)、dell(小さい谷)でも、詩としての味わいは変わっていません。
また、脚韻もglen-denと同様、hill-dellでいちおう合っていて、詩型を乱してはいません。
以上のことから、私は、hillとdellについては誤記や誤植ではなく、ヴァリアントの1つと考えるのが妥当と考えます。竜田和夫氏が選んだ原詩がそうなっていたのではないでしょうか。
白河夜舟さんご推薦の"Dick Gaughan's Website"では、確かにglen、denとなっていました。
ディック・ゴーガンがどんな人物かと思って、同サイトの「Dick Gaughan Potted Biography」(全然pottedではなかったけれども)を読んでみたところ、両親の影響で幼時から音楽に親しみ、ゲール語もでき、長じてフォークやロックのシンガーになり、さらにレコードプロデューサーや音楽評論にも手を染め、DTM(コンピュータ音楽)もできる、という多才な人物のようです。
しかし、文献学者のように原資料を地道に探究するようなタイプではないという印象で、彼が提示した歌詞をそのまま信用してよいかは疑問に感じました。
そこで、もう少し信頼の置ける原本はないかとネット上を探したところ、これならまあだいじょうぶだろうと思う文献が見つかりました。
アラン・カニンガム(Allan Cunningham)編の"The Complete Works of Robert Burns: Containing his Poems, Songs, and Correspondence.With a New Life of the Poet, and Notices, Critical and Biographical"というやたら長いタイトルの本で、要するに『ロバート・バーンズ全集』といったものです。
1855年にニューヨークのPHILLIPS, SAMPSON, AND COMPANYから出版されています。
これに収録されている『アフトン川の流れ』でも、問題の箇所はglen、denとなっていました。編者も出版元もはっきりしている全集なので、これを信用するしかありません。そこで、これまで掲載していた原詩をこれに載っているヴァージョンに差し替えることにしました。
ただし、前に掲載していた原詩との違いは、hill、dellがglen、denに、resoundsの次がfromでなく thro’にそれぞれなっていること、および3聯だったものが6聯に分かれていることだけです。
編者も出版元もはっきりしている全集だからといって、100パーセント信用できるということにはなりません。全集を作るということは、それまでに印刷・出版されたものや、ときには生原稿を集めて編集するということで、その段階で異本が混じってしまう場合が多々あるからです。
異本ができる原因にはいろいろありますが、著者が何度も書き直したためにどれが決定稿かわからなくなってしまうこと、印刷業者の誤植、いいかげんな校閲などがあります。
また、白河夜舟さんも指摘しているように、誰かが歌いやすいように歌詞の一部を変えたものが広まってしまったというケースもあります。
まあ、これ以上ゴチャゴチャ考えてもしかたないので、このへんで……。
(二木紘三)
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訪問者の感想等

コメント
突然ですが初めまして。樹里安便ノ助(HN)と言う者です。
アフトン川の流れ
小生がこの曲に巡り会ったのは、幼稚園時代です。
当時自宅に「英語の歌」と言うカセットが二本(一本は米国、二本は英国)があり、この中に収録されていて、勿論歌詞は英語のままだったのですが、戯れにかけてみたところ、一瞬にしてこの曲の美しさと気高さの虜になってしまったのが昨日のことのようです。同時に、数ある英国民謡で最も好きなものになったのは言うに及びません。
以来、川と言う川に行く度に、川辺と言う川辺を歩く度に、川の写真集を眺める度に無意識に口ずさんでしまう、文字通り小生にとっては心の名曲になっています。
上の「英語の歌」には英語の原詩、和訳(と言っても只の訳ですが)が載っている本があり、もう少し大きくなって読み返して、この歌が恋人を謳っているものであることを知った時には、言葉にならない感慨を覚えました。「ああ、この歌の歌詞の様な光景をきっと自分の手で作ってみせる。」とも。
でもイギリス民謡ってこの歌に限らずみんな良いですね。埴生の宿、アニー・ローリー、スコットランドの釣鐘草、ロック・ローモンド、庭の千草、春の日の花と輝く…、切りがありません。何時だったか、英国民謡は音の抑揚が一番日本人に馴染み易い構造になっていると聞いたのですが、矢張り同じ島国だからなのでしょうか。単にそれだけではないような気がしますが。
何やらセンチメンタルなことを長ったらしく書いてしまいましたが、兎に角これ程の美しい歌曲に巡り会わせてくれた音楽の神様に感謝したいです。無論のこと、二十数年経った今でも上記2つのカセットと翻訳本は宝物です。
そして、この曲はメロディーだけでも充分満足していたので、今迄は敢えて歌詞を探そうとしなかったのですが(一寸怠慢;)、管理人様、素敵な歌詞をご紹介して頂き、本当に有難うございます。毎日この曲を聴くだけでも至福の思いです。
投稿 樹里安便ノ助 | 2008年3月16日 (日) 23時46分
はじめまして。
少し前に、このホームページを知り、懐かしい曲の数々、そして素晴らしい解説を楽しませて頂いております。
「アフトン川の流れ」は中学時代(私は1945年生まれ)に聴き覚えました。しかし、当時覚えた歌詞を、なかなか探すことが出来ません。私の記憶では「静かに行けアフトン川よ うるわしきは汝(な)が姿 岸辺に伏す乙女子の うましき夢な破りそ。花を浮かべ歌をのせ 静かに行けアフトン川よ・・・」こんな歌詞でした。
でも、その続きが、どうしても思い出せないのです。
龍田和夫氏の詞も素晴らしいと思いますが、遠い記憶の中の詞も、捨てがたく、確かめたいのです。
二木さん、ご存知ではないでしょうか・・・。
啄木の「初恋」 藤村の「椰子の実」 白秋の「城ヶ島の雨」など、私の年代には忘れがたい曲です。出来れば、藤村の「小諸なる古城のほとり」も載せていただきたく存じます。
これからも、楽しみにしております。
投稿 nobara | 2008年4月18日 (金) 17時19分
「アフトン川の流れ」の原詩を見ていて、いくつか誤記のあることに気がつきました。スコットランドの英語ですから、いくつかヴァージョンはあるかもしれませんが、1番の次の4点は訂正されたほうがよいと思います。
(1)resounds from the hill→resounds from the glen
(2)in yon thorny dell→in yon thorny den
(3)for bear→forbear
(4)chargeの前のIの欠落
投稿 白河夜舟 | 2008年5月13日 (火) 16時28分
お知らせありがとうございました。
まず(3)と(4)からお答えします。
(3)forbearは音符に合わせてfor bearと分綴されていたのを、意味を考えずに2語として写してしまったもの。
(4)のI は見落としです。
いずれも私のミスですから、さっそく訂正しました。
(1)と(2)については、上の「蛇足」でお答えしますので、そちらをご覧ください。(二木紘三)
投稿 管理人 | 2008年5月13日 (火) 16時38分
こんばんは
この曲は高校時代教科書にあったもので大変懐かしく聞かせていただきました。当時の音楽の先生が音大を卒業なさったばかりの若い男の先生でした。大変な美声の持ち主で(アフトン川の流れ)をうっとり聴いたのを思い出しました。
去年故郷へ帰り、父母のお墓参りの際、近くにその先生が眠っておられるのを私と同じ学校だった嫂から聞き、なくなられたことを知りました。懐かしい(アフトン川の流れ)を50年ぶりに聞いている次第です。有難うございます。
投稿 おキヨ | 2008年7月 3日 (木) 00時40分