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踊子

 (mp3制作:二木紘三)

作詞:喜志邦三、作曲:渡久地政信、唄:三浦洸一

さよならも言えず泣いている
私の踊子よ ああ 船が出る

天城峠で会うた日は
絵のようにあでやかな
袖が雨に濡れていた
赤い袖に白い雨……

月のきれいな伊豆の宿
(べに)いろの灯(ともしび)
かざす扇 舞いすがた
細い指のなつかしさ……

さよならも言えず泣いている
私の踊子よ ああ 船が出る

下田街道海を見て
目をあげた前髪の
ちいさな櫛も忘られぬ
伊豆の旅よ さようなら……

《蛇足》 昭和32年(1957)のヒット曲。ご存じ川端康成の『伊豆の踊子』をモチーフにした作品。
 歌詞が優雅ですねえ。日常語の散文のような歌詞が多い最近の歌と違って、ちゃんと「詩の言葉」が使われています。

 『伊豆の踊子』は、これまで6回映画化されています。最初が昭和8年(1933)の五所平之助監督作品で、主演は田中絹代と大日方傳(松竹)、続いて昭和29年(1954)の野村芳太郎監督作品で、主演は美空ひばりと石浜朗(松竹大船)、3回目は昭和35年(1960)の川頭義郎監督作品で、主演は鰐淵晴子と津川雅彦(松竹大船)、4回目は昭和38年(1963)の西河克巳監督作品で、主演は吉永小百合と高橋英樹(日活)、5回目は昭和42年(1967)の恩地日出夫監督作品で、主演は内藤洋子と黒沢年男(東宝)、6回目は昭和49年(1974)の西河克巳監督作品で、主演は山口百恵と三浦友和(東宝=ホリ企画)

 伊豆には、いささかの思い出があります。

(二木紘三)

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コメント

三浦洸一さんが、直立不動で謹厳実直そのものに歌っていた姿を白黒テレビで見た記憶が鮮明に残っています。昭和32年3月、北海道函館市の我が家にもテレビがやってきました。1インチ1万円くらいしたでしょうか?当時の大卒初任給が1万円前後でしたから、テレビを買える家はお金持ち?でした。呉服屋を営んでおり、住み込みで働く店員さんが10数名おりました。夜、店がしまると、皆がテレビの前に集まって視聴していました。そのころから、映画館へ足を運ぶことが減っていったようです。後年、大学の部活の合宿で伊豆湯ヶ島へ行きましたが、この歌が頭から離れませんでした。天城峠でおうたひ~の♪ここの部分が一番好きです。

投稿: tomoe_saloon | 2007年8月11日 (土) 17時38分

母が三浦洸一さんの大ファンでした。
三浦さんは「懐かしのメロディー」でしか見たことはありませんが
実直な好青年という感じでした。
そんな三浦さんとこの踊子の歌詞とメロディーはぴったり合ってると思います。ヒットしたのもうなずけます。

私が好きなフレーズは

   ♪~ 赤い袖に白い雨~♪

 少女の姿とそれに惹かれる主人公の目線を ほんと絵のように 抒情的

 によく表現しているなあ~ 

投稿: ヤマホー | 2007年12月 1日 (土) 21時14分

昭和43年に入学した際の大学祭、田舎出の私は恐れることなく、学生のど自慢に出場し、鐘ひとつ貰ったのがこの歌です。
自分なりにうまく歌ったつもりが明治の板チョコ一枚でした。今なら出場は憚るであろう嫌な分別もできてしまったが
人知れず口ずさむ歌の一つです。

投稿: 榊 信乃 | 2008年5月12日 (月) 16時18分

伊豆の踊り子の映画の中で「いい人って良いね」この一言
に女子高生が酔わされて歓声が上がったのを憶えています。
名作はいつまで経っても名作であって欲しい。携帯メール
では得られ無い心に響く小説だと思います。

投稿: M.U | 2008年5月22日 (木) 13時04分

母親代わりのおっかさんが、兄にむかって、いつまでこうしておくんだと言った、解っているよおっかさん、ノーベル賞
作家の神髄ですね。

投稿: M.U | 2008年9月 8日 (月) 13時31分

明治生まれの父が生前、好きだった一曲です。

投稿: 水本爽涼 | 2008年10月11日 (土) 16時22分

この詩が好きです。
私の姉が結婚し伊豆韮山に所帯を持ったとき、なんといい所に住んだものと姉に感謝しました。私は早速伊豆に出かけ〔まだ故郷八戸にいた頃です〕〔伊豆の踊り子〕所縁の地を幾度か歩きました。この地が清らかな恋の舞台だっのかと思うと河原の石、何気ない木立まで特別のものに思えました。

映画は石浜朗が一番良かったのではないでしょうか。目元がこころなしか作家に似ているような気がしました。

投稿: おキヨ | 2008年10月12日 (日) 01時26分

私が「伊豆の踊子」を初めて読んだのは、中学三年生の時、高校受験勉強のさなかでした。美しい文章の中に、伊豆の旅情と淡い恋心が伝わってきて、深く感動したのを今でも思い出します。
湘南に住む私は、近くの浜辺に出ると伊豆が眺められます。晴れた日は相模灘の上に浮かぶようにくっきりと見え、雨模様の日には海と陸の境界線がぼんやり霞んでいます。
この歌を聴くと、なぜか胸にこみ上げてくるものを感じるのです。学生と踊子の出会いと別れへの哀愁なのか、遠く過ぎ去った青春時代への思いなのか、自分でもよくわかりません。

投稿: cosmosfish | 2008年11月13日 (木) 22時38分

二木さんのこのサイトで最高の音構成だと思います。何度も聴いています。
この曲は懐かしのメロディー番組などではさほどとは思っていませんでしたが、二木さんのmp3でたまらずこの曲が好きになり、あらためて「伊豆の踊子」の文庫本を買って読みました。
かつて、踊り子の歩いた道を辿ったこともありました。
恋する人と伊豆をドライブした若い日の記憶がよみがえり、切なくなります。

投稿: 健児 | 2009年2月10日 (火) 02時09分

幼少期に耳にしたきりのはずなのに、記憶に深くとどまる曲のひとつです。
歌詞をみていると、50年近くを経ても三浦洸一さんの端正な歌声がよみがえってくるようです。それに、歌詞の詩情の豊かさ、構成の巧みさを感じさせられます。
 ♪天城峠で逢うた日は
 ♪絵のようにあでやかな
 ♪袖が雨に濡れていた 
 ♪赤い袖に白い雨
天城雨中紅一点、まさに一幅の絵をみるようですね。

2番 ♪紅いろのともしびに
  ♪かざす扇 舞いすがた
  ♪細い指のなつかしさ
踊子が現前するかのよう。最後に視線をとらえた「細い指」のなんて清冽で官能的なことか。

最終節♪下田街道海を見て
   ♪目をあげた前髪の
   ♪ちいさな櫛も忘られぬ~
遠景の伊豆の海、目前の踊子の「前髪」、さらには「ちいさな櫛」へという視線の移ろいに旅情、淡い恋情を込めて巧みだなぁと思います。

♪赤い袖に白い雨~ ♪紅色のともしびに~ 
といった色調の鮮やかさもこの歌詞の特長ですね。

ちなみに、作詞家の喜志邦三さんは何冊かの詩集を残した詩人であったことを初めて知りました。原作の抒情感を、限られた歌詞のなかにより鮮烈に転置したともいえる技はむべなるかな。

投稿: ひだまりくん | 2009年5月14日 (木) 23時47分

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