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あゝそれなのに

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞:星野貞志、作曲:古賀政男、唄:美ち奴

1 空にゃ今日もアドバルーン
  さぞかし会社で今頃は
  おいそがしいと思うたに
  あゝ それなのに それなのに
  ねえ おこるのは おこるのは
  あたりまえでしょう

2 どこで何しているかしら
  何か悲しい日暮どき
  想うは貴方のことばかり
  あゝ それなのに それなのに
  ねえ おこるのは おこるのは
  あたりまえでしょう

3 ひとり出ているお月様
  窓で見ているこのわたし
  とぎれとぎれの針仕事
  あゝ それなのに それなのに
  ねえ おこるのは おこるのは
  あたりまえでしょう

4 夜更けに聞える足の音
  耳をすませば胸が鳴る
  帰って来たかと立ち上がる
  あゝ それなのに それなのに
  ねえ おこるのは おこるのは
  あたりまえでしょう

《蛇足》 二・二六事件が起こった昭和11年(1936)にテイチクから発売されました。翌昭和12年公開の日活映画『うちの女房にゃ髭がある』の挿入歌。作詞の星野貞志はサトウハチローの別名。

 発売後すぐに売れ始めましたが、映画のヒットで火がつき、足かけ2年足らずで50万枚という爆発的なヒットとなりました。「ああそれなのに、それなのに」「あッたりまえでしょう」は、当時の流行語となり、子どもたちまでもが口にしたといいます。

 しかし、同年7月7日の盧溝橋(ろこうきょう)事件により日中戦争が勃発すると、『あそれなのに』は戦時体制下に不謹慎だとして、同じ年にヒットした渡辺はま子の『忘れちゃいやよ』などともに販売禁止になりました。
 不謹慎とした理由がよくわかりませんが、出征兵士たちの新妻や恋人を思う気持ちが刺激されて、闘争心がそがれることを恐れたものでしょう。
 2曲とも戦後再発売され、かなり長く多くの人びとに愛唱されました。

 『あそれなのに』を歌った美ち奴は北海道浜頓別出身で、本名は久保染子。14歳のとき、浅草で芸者置屋を営んでいた親戚を頼って上京し、芸者になりました。松竹映画『東京音頭』に端役で出たのがきっかけとなって、レコード会社からスカウトされ、やがて人気歌手となります。
 『あ
それなのに』は発禁になったものの、その後歌った戦時歌謡『軍国の母』が大ヒットし、人気歌手の座を維持します。

 その人気は戦後も続きますが、テイチク歌手・真木不二夫との内縁関係を解消する前後から、自律神経失調症に苦しむようになります。
 心身面でも生活面でも不遇の日々が続きましたが、女剣劇役者・中野弘子の温かい友情に支えられて、78歳まで生きました。
 中野弘子は、美ち奴の四十九日を執り行ったのち、あとを追うかのように亡くなったといいます。

(二木紘三)

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コメント

またまた、聞き入ってしまいました。
なんとも、あこがれる歌です。愛しい奥さんですね。
あぁ~ぁ、たまらない。なんでも、許してしまいそうです。
「うん、君の好きなようにしなさい」とね。
こんな私は、愚か者ですか? 
いまどき、いないとわかってます。 でもねぇ~。

(オフレコ「想うは貴方のことばかり」なんて言ってもらいたいね。
「馬鹿じゃない、お前は思われるような人間か、目を覚ませ」と叱責されそうです、きっと)

投稿: 益子良夫 | 2007年11月 9日 (金) 23時58分

ご存知のかたいらっしゃると思いますが
この歌の英語版をおとどけします。
学生のころ先輩におしえてもらったものです。

  Today in the sky ad-balloon
My papa is now in the company
I think always you are busy
Oh nevertheless nevertheless You see?
I'm angry I'm angry It is natural

投稿: 佐野 教信 | 2007年11月10日 (土) 18時14分

佐野さま
英語版の歌詞をご親切にありがとうございます。
舌が回るかどうかわかりませんが、覚えて歌ってみます。

投稿: 益子良夫 | 2007年11月10日 (土) 20時39分

昭和11年ごろ、6歳ぐらいだった私は、東京の貸家の物干し台(昔は大抵貸家の2階にありました)の上で6歳上の親戚のお姉さんに教えてもらったこの歌を、子供同士で大きな声で歌い、母親に怒られたことを思い出しました。あれから戦争になり、この親戚のお姉さんは、19の時、結核で亡くなりました。戦争中で遺体を納めるお棺すら手に入らない時代で、叔父は古材でお棺を作り、野辺送りをしました。この歌を聴くと、懐かしさと共に、悲しい思い出です。
                     歌好きじいさん

投稿: 歌好きじいさん | 2008年5月18日 (日) 16時00分

1940年頃旧制中学の二年位の教室で、この英文の歌詞
 を愛唱していました。
Today, ad-baloon in the sky.
I thought he's busy in the compamny.
Working, working in the company.
Oh neverthles, neverthless, you see!
To get angry, to get angry,
It's quite natural.
特にOh, neverthless, neverthless, you see!
が大好きで、声を張り上げた物でした。

投稿: 末廣照男 | 2008年5月25日 (日) 00時27分

はじめまして。
英会話で知り合った70代の紳士が昨日教えてくださって、感心したので検索していて、ここへたどり着きました。

その方の歌詞は...

Today ad ballon in the sky.
Perhaps working in the company.
working working in the company.

Oh,nevertheless nevertheless,you see?
To get angry, to get angry
It is naturally so.

おもしろいですね~

投稿: やっちゃん | 2009年2月25日 (水) 15時27分

英語の詞を見させて戴いて、歌ってみると雰囲気がピッタリはまっています。名訳だと感心させられました。

投稿: 海道 | 2009年2月26日 (木) 15時12分

2番を英語にして見ました。

Where are you doinng.
Just sad evening.
I think you only every time.
後は1番と同じです。文法はおかしいかも知れませんが。

投稿: 海道 | 2009年3月 4日 (水) 10時20分

1番の「さぞかし会社で今頃は、おいそがしいと思うたに」。仕事は忙しくなかったのかな。女子社員と談笑に興じていたのかな。外回りの途中にパチンコ屋にでも立ち寄ってたのかな。・・・とにかく新妻は怒ってます。
 夫は何をしてたのでしょう。誰か教えて下さい。当時の国民は何と想像していたのでしょうか。作詞家は意地悪ですね。
私(昭和15年生まれ)は先輩から訊かれて困っています。

投稿: 豊田 錫 | 2009年3月13日 (金) 17時50分

遠い昔、蓄音機から流れる曲で誰がこの機械の中に入っているのか不思議でなりませんでした。

現代は歌詞もついていますが 当時はレコードを何度も聞きながら
必死に歌詞をメモしたものでした。
せちがらい世の中ですが、先生のおかげで懐かしい曲を聴きながら昔を思い出します。
ありがとうございます。

投稿: 岐阜の砂時計 | 2009年12月 9日 (水) 21時04分

Today adbaloon in the sky
May be this time at office
I think you are very busy
Oh nevertheless nevertheless
Don‘you 
To get angry To get angry
It is natural

投稿: 清水弘視 | 2009年12月14日 (月) 21時14分

私、34歳男です。子供の頃父が風呂でよく歌っていたので、ふと検索してみたらここへたどり着きました。
ちなみに、父(64)が口ずさんでいたの英語の歌詞は

Today adbaloon in the sky
When he is in the company
I think he is very busy
Oh nevertheless nevertheless don`t you
To get angry to get angry
It is naturaly

スペルが間違ってたらお許しください。
子供ながらに6~7才当時最初に覚えた英語の歌でした。

投稿: 埼玉の人 | 2010年2月12日 (金) 18時14分

75歳の私の想い出は、小さな小さな田舎の村の青年団の方が歌っているのを幼心に覚えています。
歌の内容は知りませんでしたが、頭に心地よく聞こえてきたのを想い出しています。
今は、昔の動画を観て楽しんでおります。

投稿: 西山利寿 | 2010年5月22日 (土) 05時55分

何時(何歳)の頃に聴いたのか覚えてはいませんが、多分戦前姉が歌ってるのをきいて耳に残ってるのかも知れません。
もう今は上の兄姉は他界して末っ子の自分ひとりになってしまいました。
恋心を知ってとても懐かしい思い出の歌となってます。
一緒に歌いたいですね!!

投稿: とげ抜き地蔵 | 2010年11月26日 (金) 15時20分

Today adbaloon in the sky.
He is parhaps in the company.
I thnk you are very busy.
Oh, nevertheless, nevertheless, you see?
To get angly toget angry, it is naturaly.
小生47歳。中学生の特に先生から教わりました。

投稿: Kazunori TAKADA | 2011年2月20日 (日) 00時10分

デイサービスで働いている時にカラオケでこの唄を歌われる方があり、
独特な歌詞が気になり検索してたどり着きました。

投稿: こうずきん | 2012年7月 4日 (水) 18時17分

これは学生時代に唄いました。はじめに日本語で、その後に英語というパターンが抜群にうけたのを思い出します。私が教えて貰ったのは、
Today ad-balloon in the sky
Maybe he is in the company
I think so busying
Ah~ nevertheless nevertheless don't you
I'm angry I'm angry
It is naturally

このdon't youのところが大切でした。
そして、テンポがぴったりです。
カラオケに合わせて唄ってみて下さいね。
懐かしい思い出です。

投稿: マンジロ | 2012年8月10日 (金) 20時25分

大学時代の男子学生寮の寮歌として代々先輩から歌い継がれていました。英語的にはシッカリしたものを、コテコテのカタカナ英語で発音してのパロディでした

Today adbaloon in the sky
Perhaps this time in the company
I think you are very busy
Ah, nevertheless nevertheless,you see?
To get angry To get angry
It is natural.

投稿: 炎のピアニスト | 2014年7月23日 (水) 20時42分

 時々、むしょうに聞きたくなる歌です。
だんなさんの浮気にやきもきしている歌ですね。
しかし、浮気という露骨な表現はない。
不倫という無粋な表現が流行るこのごろです。
浮気をされても、だんなを立てる気持ちは変わらず、おこるくらいはいいでしょうという。
あったりまえでしょう、は最高の言い回し。
ああ今や、絶滅してしまった古き良き日本女性。
いや、実際には存在していなかったんでしょう。
男の願望、理想の女性ですね。

とぼけた笑い、上品な笑いを感じます、さすが、サトウハチローです。

投稿: 浮舟 | 2015年1月18日 (日) 11時53分

間をおかずのコメントをお許しください
浮舟様
理知的なコメントに接しては感銘のりんごです。
作品と人格は別物というが
サトウハチロウほど乖離の著しい詩人はいませんね。
彼の「美しく染め上げて」という詩をご存知ですか。
胸が熱くなるような心に沁みる詩です。
しかし実際の彼は佐藤愛子著「血脈」に克明に描かれて
おりますね。折しも佐藤愛子さんの近著「晩鐘」を読了とて義兄妹のハチロウのことにも思いが及びました。

投稿: りんご | 2015年2月 4日 (水) 20時33分

「あゝそれなのに」昭和初期流行歌の名曲中の一曲と思います。
小生、定年退職後、新しい仕事に挑戦しながら、各地域での公民館や福祉施設等での出前講座などで活動をしています。趣味で培った「ハーモニカ演奏」・「南京玉すれ」・「蓄音機」による「SP盤」の演奏などにより、お集りいただいた方々に楽しんでいただいております。
その折に、小生が会場に「登場」するときの「テーマ
曲」が、この曲です。一瞬、会場がシーンとなり、拍手が聴こえてきます。
この時、今日はお伺いしてよかったと思う時です。

投稿: 一章 | 2015年7月19日 (日) 20時39分

英語の歌詞がいろいろ投稿されていますが、私も大学の寮で教わりました。ただ、最後は
It is naturalね、と日本語の「ね」がついていました。その他「Kusatsu, good plaome here once」とかも教わりました。教えてくれた椎名さん(?)はお元気なんでしょうかと思っても、連絡のすべがありません。

投稿: 江尻陽一 | 2015年11月19日 (木) 16時02分

 「ああそれなのに」は、幼少の頃、母が家事をしながらよく歌っていたので、憶えました。今も、聞くたびに懐かしく、好きな古賀メロディの一つです。
 昭和30年代半ば、学生時代には、コンパで英語版歌詞を覚え、皆で大声で合唱して、騒いだものです。
 最近では、1番が昼間、2番が夕暮れ時、3番が夜、4番が夜更けと、時の経過とともに移り行く心情を見事に謳っているなあと、歌詞を興味深く味わっています。”空にゃ今日もアドバルーン”や”とぎれとぎれの針仕事”など、その光景が目に浮かぶようです。
 ここのところ、宴会やカラオケで、時々歌っています。(勿論、日本語歌詞で)

投稿: yasushi | 2017年1月 5日 (木) 15時01分

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