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出船

 (mp3制作:二木紘三)

作詞:勝田香月、作曲:杉山長谷夫、唄:藤原義江 他

1 今宵(こよい)出船か お名残惜しや
  暗い波間に 雪が散る
  船は見えねど 別れの小唄に
  沖じゃ千鳥も 泣くぞいな

       (間奏)

2 今鳴る汽笛は 出船の合図
  無事で着いたら 便りをくりゃれ
  暗いさみしい 灯影(ほかげ)の下(もと)
  涙ながらに 読もうもの


《蛇足》
昭和3年(1928)レコード発売。

 この年は、銀行の取り付け騒ぎが相次いだ前年に引き続いて、深刻な不景気風が吹きすさび、労働争議が頻発しました。
 また、大陸では関東軍が張作霖爆殺事件を引き起こすなど、日本は破局への道を突き進んでいました。そうした閉塞状況下にあった人びとの心情に、この歌の暗鬱なムードがマッチしためか、盛んに歌われました。

 勝田香月は明治32年(1899)、静岡県の沼津町(現在は市)に生まれました。18歳のとき、詩集『心のほころび』を出版。この歌はそのなかの作品の1つです。秋田県の能代港や北海道の小樽港を訪ねたとき、この詩の想を得たといわれています。現在、歌碑が同市沼津港湾公園に建っています。
 21小節の長い間奏があるので、歌うときにはお気をつけください。

(二木紘三)

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