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帰れソレントへ

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞:ジァムバチスタ・デ・クルティス
作曲:エルネスト・デ・クルティス
日本語詞:徳永政太郎

1 うるわしの海は うつつにも夢む
  君の声のごと わが胸をうつ
  オレンジの園は ほのかにも香り
  恋になげく子の 胸にぞしむよ
  あわれ君は行き われはただ一人
  なつかしの地にぞ 君を待つのみ
  かえれよ われを捨つるな
  かえれソレントへ かえれよ

2 ソレントの海は たぐいなき海よ
  貴き宝を 底に秘むるや
  惑わしのシレンは 君の手をとりて
  いと甘き声に 君を誘うよ
  あわれ君は行き われはただ一人
  なつかしの地にぞ 君を待つのみ
  かえれよ われを捨つるな
  かえれソレントへ かえれよ

   Torna a Surriento

1. Vide 'o mare quant'è bello!
    spira tanta sentimento...
    Comme tu, a chi tiene mente,
    ca, scetato, 'o faje sunna'!
    Guarda gua' chisti ciardine,
    siente sie' 'sti sciure 'e arancio...
    nu prufumo accussí fino,
    dint' 'o core se ne va...
    E tu dice: "Io parto, addio!"
    T'alluntane da 'stu core,
    da la terra de ll'ammore,
    Tiene 'o core 'e nun turna'?!
    Ma nun mme lassa',
    nun darme stu turmiento...
    Torna a Surriento:
    famme campa'!

2. Vide 'o mare de Surriento
    che tesore tene 'nfunno:
    Chi ha girato tutt''o munno,
    nun ll'ha visto comm'a ccà!
    Guarda, attuorno, sti ssirene
    ca te guardano 'ncantate
    e te vònno tantu bene:
    Te vulessero vasa'!
    E tu dice: "Io parto, addio!"
    T'alluntane da 'stu core,
    da la terra de ll'ammore,
    Tiene 'o core 'e nun turna'?!
    Ma nun mme lassa',
    nun darme stu turmiento...
    Torna a Surriento,
    famme campa'!

《蛇足》 イタリア民謡”Torna a Surriento”。

 ソレントはイタリア南部、ナポリ湾とサレルノ湾を分ける半島上に発達した町で,高さ50mの断崖からの眺めが売り物です。古称Surrentumで、のちにSurriento、現在はSorrento。

 この歌は、ジァムバチスタ・デ・クルティス(1875~1937)が1902年に、当時ソレント市長を務めていたホテルのオーナーに頼まれて作った、いわばCMソングです。兄の詞に弟エルネストが曲をつけしました。
 本人たちの期待をはるかに超えて、世界的な大ヒットとなり、海辺の寒村にすぎなかったソレントは、一躍、世界有数のリゾート地となりました。

 2番に出てくるシレン(siren)は、ギリシア神話のセイレーンで、船人を歌で誘惑した半女半鳥の海の精、サイレンの語源。
 なお、この歌はエルビス・プレスリーが『Surrender(降伏)』というタイトルでカバーしています。

(二木紘三)

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コメント

二木さんのサイトにはいつもお世話になっています。
この歌は歌詞からすると、シレンに惑わされた漁師の帰りを待ち焦がれる乙女の気持ちを表した気がします。となると本来女性のソブラノ歌手辺りが歌うのが適当かなとも考えられます。しかし実際はパリパリのテノールが歌っていますね。まあそれはどちらでもよいことにして、私は毎日歌っています^^。

投稿: 三瓶 | 2007年8月11日 (土) 11時16分

この唄を聞かせていただきますごとに、
もう一つの曲を私の心は渇望してしまいます。
「カタリ」がそれです。
いつかお時間を割いていただければ
有り難いです。

投稿: 春平太 | 2007年12月27日 (木) 11時52分

私はこの曲をオペラかクラシックの組曲の中の一部なんだろうと思っていましたが、CMソングだったとは驚きました。
ドラマチックでよい曲ですね。

特に、「蛇足」にも書いてありましたが、エルビス・プレスリーが「サレンダー」という曲名で歌った歌唱が、とても好きでした。エルビスはなにを歌ってもうまいですね。

投稿: 吟二 | 2009年1月19日 (月) 20時54分

五十嵐喜芳さんの訃報を23日のニュースで知りました。今から55年ぐらい前、四谷文子さんと一緒に私の通っていた高校の講堂で、カルメンをお二人で歌って下さいました。多分私の記憶に間違いがなければまだ五十嵐喜芳ではなく野田京二と名乗って居られたと思います。すらりとした美青年で黒目が大きく美しく、声と共に容姿も女学生を魅了しました。四谷文子さんは弟子を取らなかったけれど、五十嵐喜芳さんが唯一の弟子だったと聞き、あの野田京二さんだと気がついたのです。素晴らしい声でした。忘れられない思い出です。イタリアの歌をたくさん聴かせてくださいましたね。冥福をお祈りしたいと思います。

投稿: ハコベの花 | 2011年9月28日 (水) 22時18分

一世を風靡したかっての名テノール・五十嵐さん(行年83歳)が亡くなられましたね。独特の美声は聞くだけでわかりました。アルトの大家・四谷文子さんや斎田愛子さんは中学生のころ聞きました。テノールの奥田良三さんの”初恋”を聴いて、いたく感動しました。声楽の神様・中山先生も昨年お亡くなりになり、かっての名歌手の訃報を聞くたびに寂しくなります。

投稿: 三瓶 | 2011年9月30日 (金) 14時03分

私は童謡コーラスに入って童謡・唱歌を楽しんでいますが、二木さんのこのサイトを存分に利用しています。

ところで一番の歌詞の4行目「恋になげく子の 胸にぞしむよ」の「子の」ですが、恋人が自分を去って行ってしまう娘の気持ちを表すのだから「私の」の意味で「この」つまり「this」の方が適切なんだと思いのですが・・・ネットで調べてみるとほとんど「子の」になっていますね。

ちなみに昭和十二年一月新譜の奥田良三の歌では「面影わびしく 胸にぞしむよ」になっています。

投稿: YUTOK | 2012年10月23日 (火) 11時35分

YUTOK様
「子」はここでは「そういう運命をもって生まれてきた者。すっかりそのなかにひたりきっている者」の意だと思います(小学館:国語大辞典)。この意味の場合は通常「修飾語or文+子」の形で使われます。
与謝野鉄幹の短歌に次のような作品があります。

われ男の子(をのこ)意気の子名の子つるぎの子詩の子恋の子あゝもだえの子

投稿: 管理人 | 2012年10月23日 (火) 17時48分

なるほど、なるほど、そういう意味があるのですね、ありがとうございました。

投稿: YUTOK | 2012年10月23日 (火) 20時24分

《蛇足》でCMソングだったことやE.プレスリーのタイトル等を知り、この曲への思い入れが湧いてきました。
自宅近くのH.E(開業医)さんは年に一回豊中で一番大きいホールでカンツォーネのリサイタル(無料)をされていて、最後の曲はみんなで「帰れソレント」か「サンタルチア」をカナ付きの原語で歌っています。
今年の年賀状に
   「いわゆる腹式呼吸法は最大・最悪の“常識のウソ”です!究極の発声 法それは『吸気唱法』!」
とのPRがあり興味深々です。Facebookにアップしましたので覗いて見て下さい。

投稿: 尾谷光紀 | 2014年1月15日 (水) 16時52分

ソレントのある半島の先にあるのが有名なカプリ島で、ソレントのホテルを予約した観光客がカプリ島に行って気に入ってしまい、ソレントのホテルをキャンセルしてカプリ島に泊まってしまう。それが困るので、このCMソングを作ったのだ、と昔藤浦洸さんが雑誌に書いておられました。(多分冗談だと思いますが。)

投稿: boriron | 2015年12月 4日 (金) 00時07分

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