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唐獅子牡丹

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞・作曲:水城一狼・矢野 亮、唄:高倉健

1 義理と人情を 秤(はかり)にかけりゃ
  義理が重たい 男の世界
  幼なじみの 観音様にゃ
  俺の心は お見通し
  背中(せな)で 吠えてる
  唐獅子牡丹(からじしぼたん)

2 親の意見を 承知ですねて
  曲がりくねった 六区の風よ
  つもり重ねた 不孝のかずを
  なんと詫びよか おふくろに
  背中で泣いてる 唐獅子牡丹

3 おぼろ月でも 隅田の水に
  昔ながらの 濁らぬ光
  やがて夜明けの 来るそれまでは
  意地でささえる 夢一つ
  背中で呼んでる 唐獅子牡丹

《蛇足》 昭和40年(1965)から9編作られた東映の任侠映画『昭和残侠伝』の主題歌です。

 主人公のやくざが悪辣なやくざの横暴に耐え続けた末、ついに耐えきれなくなって、敵方の本拠地に殴り込み、相手をぶった斬るという様式化された「敗北の美学」に痺れました。

 2番の六区は、浅草六区のこと。明治6年(1873)に浅草寺域が浅草公園に指定され、のちに園地は一区~六区に区分・整備されました。そのうち六区は、明治36年(1903)に日本最初の常設映画館・電気館ができて、以後、東京の代表的な大衆娯楽地域の1つとなりました。

  けむりさんから、別バージョンの歌詞をお知らせいただきました。映画のなかでのみ流れた歌詞で、けむりさんはそれを映画館でメモしたそうです。
 映画のクレジットでは「作曲:菊池俊輔、作詞:水城一狼・佐伯清」となっていたとのことでした。JASRACのデータベースには『昭和残侠伝唐獅子牡丹BGM』として登録されています。

1 浅草(エンコ)生れの 浅草(あさくさ)育ち
  極道風情(ごくどうふぜい)と いわれていても
  ドスが怖くて 渡世はできぬ
  賭場が命の 男伊達(おとこだて)
  背中(せな)で呼んでる 唐獅子牡丹

2 親にもらった 大事な肌を
  墨で汚して 白刃(しらは)の下で
  積もり重ねた 不孝の数を
  なんと詫びよか オフクロに
  背中で泣いてる 唐獅子牡丹

3 白を黒だと 言わせることも
  どうせ畳じゃ 死ねないことも
  百も承知で やくざな稼業
  なんで今更 悔いがあろ
  ろくでなしよと 夜風が笑う

4 流れ流れの 旅寝の空で
  義理に絡んだ 白刃の喧嘩(でいり)
  ばかなやつだと 嘲(わら)ってみても
  胸に刻んだ 面影を
  忘れられよか 唐獅子牡丹

5 (上の3番と同じ)

(二木紘三)

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コメント

私は66歳の寺の住職をしています。長年、先生の「MIDI歌声喫茶」を楽しませて頂きました。本当に有難うございました。特に先生が書かれている「蛇足」は、私の講演で再三使わさせて頂きました。
今回「歌物語に」変更された途端、音声を聞く事が出来なくなりました。
先生以外の音楽は全て聞く事が出来るのですが、「歌物語」では×が出て
どうしても音声が出て来ません。
今後は「蛇足」だけを読ませて頂こうと思っています。
どうかいつまでもお元気で頑張って下さい。  合掌

投稿: 坂本 佑精 | 2007年9月 1日 (土) 09時27分

 今年の東京浅草・三社祭は二年ぶりに本社神輿が宮出しされ、諸外国の観光客の言葉と「セイヤ・セイヤ」の掛け声が飛び交うなかで、浅草一帯がすごい熱気でしたね。 しかし、神輿乗り禁止が徹底されたので、 背中(せな)で吠えてる唐獅子牡丹(からじしぼたん)のお兄さん方が見られず、「祭り風景」としては少し淋しい感があります。
 勝手な当て字ですが、ワッショイ(和一緒・輪背負)
セイヤ(盛家)、イヤーサー(家栄)など日本全国の神輿および山車巡幸時の掛け声は、そのいわれと共にたくさんあるのでしょうね。
 

投稿: かんこどり | 2009年5月25日 (月) 16時26分

二木紘三さん、今日は!
 久世光彦さんが感動したという、唐獅子牡丹のBGMバージョンの歌詞を覚えたくて探していました。貴方のHPで覚えることが出来ました。有り難う御座いました。
 蛇足になりますが、ワッショイ!を「和一緒」と解釈する投稿を目にしましたが、왔어요[ワッソヨ=来ましたヨ!]です。と云うのは、神輿は古代の神祇制度の下で、国家神道を布教するための象徴でした。何故かというと、神輿の中に必ず鎮座する八咫鏡は天照大神の御霊です。
 従って、ワッショヨ!は、「(天照大神の御霊が)来ましたよ!」という掛け声でした。何たって、ハングルは古代の先進国の言葉でしたから、英語も六に話せない現代人が横文字を使いたがるのと同様に、知的言葉を使うことで天照大神と皇室を権威付けしていたという次第でした。
 ということで、失礼します。

投稿: 高橋 弘 | 2010年10月14日 (木) 12時08分

 あまり人気のなさそうなこの歌に、一票を投じるような気持ちで、コメントします。なつかしい青春時代の歌です。
大学時代にオールナイト営業のヤクザ映画をよく見ました。その主題歌です。高倉健、藤純子、鶴田浩二、菅原文太などが出演していました。観客はけっこう若い人が多かった。ヒット期間が一過性のせいか、ひとまわり上の世代、ひとまわり下の世代には無縁の歌かもしれません。
 別にヤクザにあこがれて見ていたわけじゃなく、ドスをふりまわして物事が解決するとも思っていなかった。しかし一瞬にして、事態を決着させてしまう暴力の力にしびれたような記憶があります。
「もっと話し合わなければいけません」とか「暴力はいけません」といった意見(説教)ほど当時の私を白けさせるものはなかった。それが有効ならとっくに世の中は良くなっているわいという気持ちでした。世の中を動かしているのは、結局は力であるとわかってきた年頃だったのでしょう。暴力は、力の最たるものです。
革命家チェ ゲバラの伝説や文化大革命のニュース、ベトナム戦争反対の運動などの伝えられた頃です。
 この映画はテロは肯定していません。その証拠に、主人公はお縄について、お上の裁きをうける筋書きです。敗北の美学といわれる所以です。描かれているのは 桜田門外の変のようなテロとは、根本的にちがいます。まあ安心して見られる暴力映画ですが、暴力の妖しい魅力は伝えていると思います。

投稿: 浮舟 | 2013年10月 9日 (水) 01時05分

高倉健さん、平成25年文化勲章受章おめでとうございます。 
205本の映画に出演された功績によるものだそうですが、ぼくにとっての最高傑作は
「昭和残侠伝~血染めの唐獅子」
に尽きます。
その昔、土曜日の池袋文藝座地下劇場オールナイト5本立て上映で視た健さん主演の「昭和残侠伝」「日本侠客伝」「網走番外地」各シリーズを思い出しています。

投稿: タカシ | 2013年10月26日 (土) 09時27分

タカシさんの投稿で、投稿する気になりました。私も友人と池袋の文芸座地下で健さんの映画シリーズを見たものです。東映のマークが出るだけで、拍手喝采でした。鶴田浩二、池部良、高倉健に拍手でしたが、天津敏、内田朝雄など悪役にも拍手でした。ダイナマイトを腹に巻いて殴りこむ待田京介さんなども忘れられません。

投稿: 江尻陽一 | 2014年7月18日 (金) 10時40分

高倉健逝く 合掌
高倉健が東映に入社間もない頃は知恵蔵・右太衛門の両御大に千代の介・錦之介・橋蔵の時代劇全盛期で、高倉の初期の主演作品『サラリーマン忠臣蔵』はB級映画とは言わないまでもあまりヒットしなかったようです。
その後、高倉は時代劇で佐々木小次郎役などやったようですが、やはり高倉の代表作と言えば東映時代劇が斜陽化した後の『昭和残侠伝』『日本侠客伝』『網走番外地』ということになるようです。

投稿: 焼酎百代 | 2014年11月18日 (火) 23時17分

一昨日は、三島由紀夫の没後45年の命日でした。現状のわが国では、45年前の、あの衝撃的事件も今では風化して、一部三島ファンだけの記憶に留まっているように見えます。わたしは三島の極端な思想と行動の“美学”にはついていけませんでしたが、かれの国を憂える心情には共感を覚えたものです。
 あの日、1970(昭和45)年11月25日、かれと楯の会々員が、自衛隊員に決起をうながすべく自衛隊市ヶ谷駐屯地に向かうときに歌った歌が、これだったと言われています。この歌のどこに、かれらはシンパシーを感じたのでしょうか。二木様が《蛇足》でふれられているように、かれらもまた、映画「昭和残侠伝」の“敗北の美学”に酔い痴れていたのでしょうか
 これに先立つ2年前、東大の駒場祭に、これまでに例を見ない、人目を惹くポスターが掲示されました。このポスターには、高倉健とおぼしき男の背中に銀杏(東大の校章)の刺青があり、その横に「とめてくれるなおっかさん 背中(せな)の銀杏が泣いている 男東大どこへ行く」の文句が並んでいました。明らかにこの歌の文句をパロディ化したものです。当時、東大では、大学の管理運営をめぐり学生たちと大学当局が対立していたのです。全共闘時代の幕開けでした。
 こう見て来ると、昭和40年代後半の世相は、右も左も押しなべてやくざ映画に拍手喝采だったことが分かります。現今の映画事情にまったく暗いわたしですが、「やくざ映画」がもてはやされる時代状況ではないことくらいは分かります。時代がグローバル化して、もはや義理や人情の出る幕ではない、というご時世なんでしょうか。それとも……。

投稿: ひろし | 2015年11月26日 (木) 16時32分

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