« バルカンの星の下に | トップページ | 母さんたずねて »

舟唄

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞:阿久 悠、作曲:浜 圭介、唄:八代亜紀

1 お酒はぬるめの 燗(かん)がいい
  肴(さかな)はあぶった イカでいい
  女は無口な ひとがいい
  灯(あか)りはぼんやり ともりゃいい
  しみじみ飲めば しみじみと
  想い出だけが 行き過ぎる
  涙がポロリと こぼれたら
  歌い出すのさ 舟唄を

  沖のかもめに 深酒させてヨ
  いとしあの娘(こ)とヨ
  朝寝する ダンチョネ

2 店には飾りが ないがいい
  窓から港が 見えりゃいい
  はやりの歌など なくていい
  ときどき霧笛が 鳴ればいい
  ほろほろ飲めば ほろほろと
  心がすすり 泣いている
  あの頃あの娘を 思ったら
  歌い出すのさ 舟唄を

  ぽつぽつ飲めば ぽつぽつと
  未練が胸に 舞い戻る
  夜ふけてさびしく なったなら
  歌い出すのさ 舟唄を

  ルルルルルル……

《蛇足》 昭和54年(1979)のヒット曲。
 先頃亡くなった阿久悠の傑作で、「酒は静かに飲むべかりけり」といった大人の飲酒哲学を詞にしたものと見ることができます。

 1番の終わりの「沖のかもめに……」は、神奈川県の三浦半島あたりで歌われていた民謡の『ダンチョネ節』が元歌。
 元歌は「三浦岬でどんと打つ波はヨ 可愛い男のネ 度胸だめし ダンチョネ」といった船乗りの歌ですが、太平洋戦争が始まるころから、海軍航空隊の隊員の間で替え歌が歌われ始めました。
 「沖の鴎と飛行機乗りはヨ どこで散るやらネ はてるやら ダンチョネ/俺が死ぬときゃハンカチふってヨ 友よ彼女よネ さようなら ダンチョネ」といった歌詞で、『特攻隊節』と呼ばれていました。

 いわゆる兵隊節の1つです。兵隊節には、兵士たちの本音がにじみ出ています。

(二木紘三)

|

« バルカンの星の下に | トップページ | 母さんたずねて »

コメント

阿久悠が亡くなって、日本の歌謡界は大きなものを失ったと言われていますが私もそのとおりだと思います。

  沖のかもめに 深酒させてヨ
  いとしあの娘とヨ
  朝寝する ダンチョネ

の部分ですが、私は幕末の志士高杉晋作の都々逸

  三千世界の烏を殺し主と朝寝がしてみたい

をモチーフにしているのではないかと考えております。晋作のこの唄の意味には色々解釈があるようですが、この場合は朝に喧しい烏を鳴きやませて二人で朝寝がしたいという文字通りの意味に解釈して、烏をかもめに置き換えたのではないかと思うのですがいかがでしょう。

投稿: Yoshi | 2011年4月23日 (土) 16時25分

「駅 STATION」は、日本映画のベスト3に入るような作品だと思いますが、あのスナックでの会話のときバックに流れていた「舟唄」は、高倉健が好きな曲ということで入ったみたいですね。今日BS3の「昭和の歌人 阿久悠」に出演した八代亜紀が言っていました。

投稿: nemukin | 2012年1月29日 (日) 21時03分

兵隊節でしたか。

沖のかもめと飛行機乗りはどこで散るやらネ果てるやらダンチョウネ...。

この唄をもう47年前になりますが私が社会人になりたての23歳の時、上司が招待した取引先の代理店社長一行とゴルフ帰りに立ち寄った小料理屋の一室で聞きました。
大変生真面目な方たちでこの様な事もこれっきりだったと思います。
場所は玉川新地、東京世田谷の二子玉川を渡った先の多摩川土手に面した玉川新地、まだ風情のある料亭が残っていた時代です。

大変堅い社長で歌を唄うような人ではありませんでしたのでとても印象深く記憶が残っています。
低い声でした。 ゆっくりとしたテンポで唄われました。

この八代亜紀の舟歌を聞くと、そしてこの一節に来るとあの夜を、多分実戦帰りのあの方たち一行を思い出します。
あの方たちはもう90も半ば、ご健在でしょうか。

あの玉川新地は、あの風情は もう影も形もありません。

投稿: 浜のぼくちゃん | 2015年2月 1日 (日) 17時58分

浜のぼくちゃん様
50年近くも昔の出来度とを良く鮮明に想い出され感服致しております。その時の様子が目に浮かぶようです。 
 皆さん、これまでの長い人生の中で楽しかったこと・悲しかったこと・嬉しかったことなどそれぞれの想い出があると思います。
 でもその中で歌の想い出は特に印象に残っているものです。
 私が27歳の頃だったと思いますが、同じ職場の先輩とよく居酒屋に飲みに行きました。まだカラオケがなかった時代ですが、必ずと言っていいほど、田端義夫の名曲「かえり船」それも「セリフ」で唄われました。
お酒も入り、今でもその名調子が耳元に残っています。
 浜のぼくちゃん様ありがうございました。

投稿: あきら | 2015年2月 1日 (日) 21時19分

「・・・でいい」とは謙虚ないいまわしですが・・。
よく読んでみると、ぜいたくというか、結構な注文です。
「女は無口なひとがいい」いないんですね~、そんなひと。希少価値です。
「流行の歌などなくていい」同感です。酔った客のカラオケの声など論外。
「窓から港が見えりゃいい」そんな立地条件をみたした店は、めったにない。
「時々、汽笛がなればいい」究極のぜいたくではないでしょうか。
 
 昔、天草下島の牛深港から鹿児島の蔵の元へ渡った時、待ち時間が長かったので、飲み屋へ入りました。
その店のたたずまいが、上の写真の店に似ていました。まあ、記憶があいまいで、そう思い込んでいるだけかもしれませんが・・
フェリーの発着のたびに鳴る汽笛が、店にいる私に聞こえました。
この写真は魚河岸のようですが、私には、むこうに海(天草灘)が広がっているように見えます。
よい写真とは、見るものに何かを語りかけるものだと、高名な写真家が言ってましたが、私にとってこの写真がそうです。

投稿: 音乃(おとの) | 2015年2月 9日 (月) 14時14分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« バルカンの星の下に | トップページ | 母さんたずねて »