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ポーリュシカ・ポーレ

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞:ヴィクトル・グーセフ、作曲:レフ・クニッペル
日本語詞:橋本 淳

1 緑もえる 草原を越えて
  ぼくは行きたい あなたの
  花咲く窓辺へと
  雲流れる ロシアの大地に
  ふたりの愛は めばえて
  あすへと続くのさ エイ

2 谷間を越え、野原を横切り
  あなたをめざして ぼくは
  きょうこそ 旅に出よう
  夏の嵐、冬の木枯らしを
  くぐり抜けたら あなたの
  笑顔が待っている エイ

3 雲流れる ロシアの大地に
  若い二つの いのちが
  寄りそうようにもえる
  ポーリュシカポーレ それは愛の言葉
  ふたりの心の誓い
  永遠(とわ)に消えはしない エイ

《蛇足》 旧ソ連の作曲家レフ・クニッペル(1898~1974)が1934年に発表した『交響曲第4番―コムソモール戦士の詩』の一部。第1楽章の第2主題にヴィクトル・グーセフが詞をつけ、独立した歌として歌われるようになりました。

 タイトルのポーレ(поле)は草原という意味で、その前のポーリュシカ(Полюшко)はポーレに、かわいい・小さいといったニュアンスの縮小辞がついたもの。

 原詞は、草原を進軍する赤軍騎馬隊を村の娘たちが見送るといった光景を描いたもの。革命後のソ連の社会情勢がうかがい知れる内容です。
 橋本淳の日本語詞は、恋する青年の憧憬がテーマになっています。かつて高校の音楽教科書にも掲載され、青春の歌として広く歌われました。

 クニッペルは多作な作曲家で、5つのオペラと20の交響曲、バレー音楽、ピアノ曲、映画音楽を作りました。

 革命後、ソ連における文化政策の最高責任者は、アンドレイ・ジダノフという人物でした。彼が非・反社会主義的と判断した作家・音楽家・画家・学者は片端から弾圧されました。『遠い道を』の作曲者フォミーンもその1人で、彼はみじめな晩年を送らなければなりませんでした。

 音楽も含め、ロマニー(ジプシー)の文化も、反社会主義的として弾圧されました。
 ところが、クニッペルのこの作品
には、ロマニー音楽の影響が明らかに見られるにもかかわらず、ジダノフは問題にしませんでした。
 それどころか、『ポーリュシカ・ポーレ』は赤軍の行進曲として採用され、赤軍合唱隊により、世界に知られるようになったのです。

 クニッペルが厚遇された理由はわかりません。まあ、全体主義国家では、何事も権力者の恣意で進みますから、それがクニッペルにプラスに働いたのでしょう。もちろん、彼がすぐれた作曲家であることに疑問の余地はありませんが。

 クニッペルについては、ちょっとおもしろいエピソードがあります。
 2008年に、旧ソ連の大戦時代の公文書が公開され、そのなかに、クレムリンがこんなプランを練り上げていたという記録がありました。

 すなわち、モスクワが陥落したのち、ナチス・ドイツ軍の将兵がコンサートやサーカスを楽しむために、劇場に現れるにちがいない。その際、俳優やバレリーナ、ピエロなどに手榴弾とピストルを隠しもたせ、将軍たちを暗殺させよう、というのです。
 クニッペルには、機会が訪れ次第ヒトラーを暗殺せよという特命が課せられました。
 しかし、ドイツ軍のモスクワ攻略は頓挫し、アーティストたちは、この無謀な計画を実行せずにすみました。

(二木紘三)

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コメント

私が高校生だった昭和30年代は東西冷戦の真っ最中。夜ラジオで好きな音楽番組を聴いていると、よく途中でこの勇壮な行進曲に乗って「本日ソ連共産党中央委員会が発表したところによると・・・」と、これぞプロパガンダ放送の見本といったモスクワ放送が混信してきたのを、今となっては懐かしく思い出します。この当時の電波障害という記憶が、その後の私のソ連や共産主義に対するスタンスに心理的な影響を与えているのかもしれません。しかしその一方で、プロコフィエフやストラビンスキーの音楽、そしてドストエフスキーやベルジャーエフなどの文学・思想に強く惹かれていたのですから、ロシアという国には少々屈折した想いがあります。

投稿: くまさん | 2009年6月26日 (金) 23時00分

この曲も大好きですが 旧ソ連時代の歌 たとえば「トロイカ」「カチューシャ」「一週間」などの曲にも共通した 独特の哀愁を帯びたメロディーが心に響きます。それは きっと厳しい自然環境や 旧ソ連が社会主義体制の名の下に抑圧されてきた人々の思いが込められているからかもしれませんね。

投稿: かすみ草 | 2009年7月 4日 (土) 14時53分

初めまして・・・すごく素敵なサイトに出会いました!!今年46ですが 結構古い曲や民謡などが頭の中でぐるぐるするタイプです (ポリュシュカ・・・) 検索でめぐり会えました! ゆっくり じっくり まったり 楽しみたいと思います。ありがとうございます。

投稿: たまさん | 2011年9月 4日 (日) 03時08分

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