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夢路より(夢見る人)

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞・作曲:スティーブン・フォスター、日本語詞:津川主一

1 夢路よりかえりて 星の光仰げや
  さわがしき真昼の 業も今は終わりぬ
  夢見るは我が君 聴かずや我が調べを
  生活(なりわい)の憂いは 跡もなく消えゆけば
  夢路よりかえりこよ

2 海辺より聴こゆる 歌の調べ聴かずや
  立ちのぼる川霧 朝日受けて輝(かが)よう
  夢見るは我が君 明けゆくみ空の色
  悲しみは雲居(くもい)に 跡もなく消えゆけば
  夢路よりかえりこよ

      Beautiful Dreamer

1.Beautiful dreamer, wake unto me,
  Starlight and dewdrops are waiting for thee;
  Sounds of the rude world heard in the day,
  Lull'd by the moonlight have all pass'd away
  Beautiful dreamer, queen of my song,
  List while I woo thee with soft melody;
  Gone are the cares of life's busy throng,
  Beautiful dreamer, awake unto me!
  Beautiful dreamer, awake unto me!

2.Beautiful dreamer, out on the sea
  Mermaids are chaunting the wild lorelie;
  Over the streamlet vapors are borne,
  Waiting to fade at the bright coming morn.
  Beautiful dreamer, beam on my heart,
  E'en as the morn on the streamlet and sea;
  Then will all clouds of sorrow depart,
  Beautiful dreamer, awake unto me!
  Beautiful dreamer, awake unto me!

《蛇足》 1862年発表。

 フォスターの作品は、イングランド、スコットランド、アイルランド音楽の伝統を引くパーラー・ソングと、黒人の生活をテーマとしたプランテーション・ソングに大別されます。
 パーラー・ソングは、家庭の居間やホテルのサロンなどで歌われた優雅で上品な曲で、『夢路より』はその代表的な作品です。
 一方、プランテーション・ソングは、南部の大農場で働く黒人たちの生活や心情をテーマとした曲で、『故郷の人々』『オールド・ブラック・ジョー』などがそれに当たります。

 プランテーション・ソングは、第二次大戦後、公民権運動が盛り上がった頃、歌詞が差別的であるとともに、奴隷制時代を肯定的に描いているとして忌避されましたが、その内容を読むと、フォスターが黒人の生活に強い関心をもっていたことがわかります。

 日本人がフォスターの曲を愛することは、アメリカ人以上かもしれません。
 アメリカではフォスターがほとんど忘れられていた時期がありましたが、日本では明治21年
(1888)に『故郷の人々』が『明治唱歌第二集』に大和田建樹作詞『あはれの少女』として登場して以来、敵性音楽」として排除された太平洋戦争中を除き、一貫して小、中、高校の音楽教育に使われてきました。

 それほどに愛され、評価されたフォスターですが、その生活は惨めでした。著作権の概念がほとんどなかった時代だったので、ヒット曲をいくら作っても、ほとんど印税がもらえなかったのです。

 晩年は酒におぼれ、1864年1月13日、37歳のとき、ニューヨーク・マンハッタンの安ホテルで亡くなりました。そのとき、彼のポケットには38セントしかなかったそうです。
 その亡骸は、生地ピッツバーグのアレゲーニー墓地に埋葬されました。また、ピッツバーグ大学の構内には、フォスター記念館があります。

(二木紘三)

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コメント

フォスターが37歳で亡くなっていたと知って胸が締め付けられます。1月のNYは寒かったことでしょう。殆んど行き倒れに近かったのでしょうか。歳末で雪が降り積もっている今夜、家の無い人が苦しんでいるのではないかと気になります。

投稿: Bianca | 2009年12月31日 (木) 20時39分

大好きな曲です。
また 綺麗さで トップを争う曲の様に
 思います。
私は どーも 悪夢より帰りてが多い(笑)

ありがとうございます。

投稿: 二宮 博 | 2010年1月 6日 (水) 19時15分

優しさが織り込んできた!

投稿: 桒山雅妃 | 2010年2月 5日 (金) 22時01分

とても美しい曲ですね。
英文の歌詞の二番の途中に"Mermaids are chaunting"とありますが、これは"chanting"の誤記ではないでしょうか? うちの薄っぺらい英和辞典にはそちらの単語しか見あたりません。

投稿: 九鬼 隆訓 | 2010年2月22日 (月) 22時39分

九鬼隆訓様
chauntはchantの古語で、大きな辞書には載っています。ローレライの伝説を歌っているので、わざと古い言葉を使ったのでしょう。(二木紘三)

投稿: 管理人 | 2010年2月22日 (月) 22時59分

そうですか。勉強になりました。ありがとうございました。

投稿: 九鬼 隆訓 | 2010年2月22日 (月) 23時10分

昔この曲を教わった頃は、フォスターの惨めな生活、若くしての孤独な死のことなど、何も知りませんでした。
「夢路より」が最後の作品となったようで、この夢のように美しい曲が生まれた状況を思うと、今までのようにただウットリとして聴いてはいられなくなりました。
聴く度に深く慰められるのですが、同時に心が痛みます。

投稿: nobara | 2010年4月26日 (月) 00時15分

この曲は昔から知っていましたが、こちらで聴いてから大好きになりました。
本当にとても美しい曲ですね。
フォスターの曲は全部好きですが、この「夢路より」が一番好きです。

投稿: あきこ | 2011年3月 2日 (水) 13時20分

来たる2/3日福岡市の百地大ホールでギターアンサンブルで弾く曲です とても綺麗な曲です、晩年は安ホテルでなくなりましたが偉大なフォスターの曲を奏でる喜びが、、、無料です聞きに来てください

投稿: 山口海南男 | 2012年11月23日 (金) 19時42分

メロディの美しさはもう賛美歌なみですね。
この「夢見る人」掲載されるとしたら高校の教科書でしょうか。
私の高校では音楽は「選択科目」の中の一つで、私のクラスは「美術、用器画」を強制的に選択させられて、悲しい想いをしました。
音楽室から♪あまつみつかい〜の…♪などとコーラスが流れてくると、悔しかったです。 「夢見る人」はラジオやテレビにてよく聴く機会がありましたのでウットリと聴き惚れていました。  晩年不幸だったフォスターの為にも彼が残して行った多くの名曲を歌い継いでいきたいですね。

投稿: かせい | 2013年11月19日 (火) 00時53分

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