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あふるる涙

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo



作詞:Willhelm Müller、作曲:Franz Schubert、
日本語詞:大木惇夫

1 あふるる涙の 雪野にちらえば
  むさぼりて飲みぬ 燃ゆる悩みを
  熱き悩みを

2 千草の芽生えに なよ風そよげば
  ああ氷くだけて 雪も溶けて流れん
  雪も流るる

3 雪よ流れては いずちへ行くや
  この涙をこめ 小川に注がん
  なべて注がん

4 一日めぐりて 流れゆくまに
  涙燃えなば 君が家(や)の近きを
  それと知らんか

Wasserflut

Manche Trän' aus meinen Augen
Ist gefallen in den Schnee;
Seine kalten Flocken saugen
Durstig ein das heiße Weh.

Wenn die Gräser sprossen wollen
Weht daher ein lauer Wind,
Und das Eis zerspringt in Schollen
Und der weiche Schnee zerrinnt.

Schnee, du weißt von meinem Sehnen,
Sag', wohin doch geht dein Lauf?
Folge nach nur meinen Tränen,
Nimmt dich bald das Bächlein auf.

Wirst mit ihm die Stadt durchziehen,
Muntre Straßen ein und aus;
Fühlst du meine Tränen glühen,
Da ist meiner Liebsten Haus.

《蛇足》 シューベルトが1827年に作曲した連作歌曲集『冬の旅』のうちの1曲で、原題は"Wasserflut"。

 『冬の旅』は、1823年に作曲された『美しき水車小屋の娘』と同じく、ドイツ・ロマン派の詩人ヴィルヘルム・ミュラーの詩集に曲をつけたもの。
 ミュラーはドイツ文学史ではとくに重要な位置を占めておらず、言い方は悪いけれども、シューベルトが曲をつけたおかげで、人びとの記憶に残っているといった感があります。

 しかし、その詩は美しく、不安や憂鬱、苦悩、愛、ときには死の賛美などをテーマとするロマン派の特徴をよく表しており、心に染みこんでくるものがあります。

 『冬の旅』は失恋した若者が深夜村を出て、町から村へ、村から町へとさすらい続けるという筋書きで、全24曲から成っています。その6曲目がこの歌で、その前の5曲目が日本でも人気の高い『菩提樹』です。

 この"Wasserflut"は非常に日本語詞が多く、タイトルも訳者によって、『洪水』『増水』『あふれる涙』『雪どけの水流』などいくつもあります。
 それらのなかには、意味を訳しただけのものもありますが、上掲の歌詞は楽譜についていたもので、実際に歌えます。
 訳詞者がわかりませんでしたが、三瓶さんからの情報に基づき、JASRACのデータベースで調べたところ、大木惇夫だとわかりました。

(二木紘三)

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コメント

二木先生いつもお世話様になっており、感謝申し上げます。
さて”最近の記事”の欄で「溢るる涙」とあり、昔歌ったことがあるので、大変懐かしく思いました。
さっそく手元のシューベルト歌曲集・冬の旅ー低声用ーを見たら、日本語の訳詩は全く同じでした。
世界名歌曲全集 2 冬の旅(低声用)
発行所 音楽之友社 昭和42年11月30日 第1版発行
           目  次
        WINTERREISE
           冬 の 旅
                大木惇夫
                      訳詩
                伊藤武雄

以下24曲の曲名             最後に
原詩直訳            高橋英夫
と記載されていました。 お役にたつかどうか・・・。

投稿: 三瓶 | 2010年5月22日 (土) 19時57分

「日本語で歌う冬の旅」歌:斎藤晴彦―ピアノ:高橋悠治、というCDがあります。今年古稀を迎えた晴彦君が例のアテレコの調子で歌っており、この6番は平野甲賀訳「涙川」と題しています。
涙はとめどなく雪の表にこぼれて まるでああ砂のように 熱い悲しみのみこんだ 熱い悲しみのみこんだ
若草萌えいでると風はなまあたたかく 雪は溶けて流れて ひとしれず消えてゆく ひとしれず消えてゆく 
雪よおしえておくれ おまえはどこへ行くのか 涙のあとを追い 川がおまえをむかえにくる 川がおまえをむかえにくる 
雪溶け水川をみたし はなやかな町をさまよう 涙がさがしあてた あの人がここにいたと あの人がここにいたと             ■

投稿: 大坂一義 | 2010年5月23日 (日) 19時40分

シューベルトの「冬の旅」の中の一曲「あふるる涙」このサイトで初めて聴きました。何か心魅かれるいい曲ですね。中学か高校の音楽の時間に「冬の旅」「木の葉は散りて 風は寒く  わが行く旅の 道は通し・・」と歌ったことを思い出しています。この歌詞の曲が何番なのかも分かりません。「あふるる涙」の楽譜、音符の下に歌詞の書いたものがあれば、歌ってみたいものです。

投稿: 上原 | 2010年9月 1日 (水) 22時22分

最初にある三瓶さまの投稿より古い昭和28年音楽の友社発行の同じような曲集が家にありました。内容はまったく同じようです。今月ヤフオクでHermann Prey歌唱の「冬の旅」のCDを180円で落札購入しました。それは60年前の高校のときに「あふるる涙」を音楽の授業で習い、さらに処分してしまったレコードがあったので、安いからちょっと聞いてみようと思ったからでした。聞いたらドイツ語なのではっきりしませんが、どうも歌い手が違う感じです。また最初に示されている日本語歌詞は高校で習った歌詞と違います。あやふやですが、それは「あふるる涙の雪に落つれば、冷たい粉雪溶けて消えぬうぅー、熱き思いに」のようでした。ネットで探しましたが見つかりませんでした。訳詩はいろいろあるようですね。

投稿: 吊るし雲 | 2013年11月13日 (水) 09時51分

手元の本には 三瓶さんが書かれておられるように
大木惇夫 伊藤武雄 共訳 となっています。
                      

投稿: なち | 2013年11月13日 (水) 11時06分

あふるる涙、あばよ、アフトン川の流れ、、
知らない三つのメロディーが黒い縦線を青に変えつつ確実に秒を追って流れてゆく。嗚呼、音が返ってきました。この部分と、ブルーのサークル/Utamonogatari/Soundcloudを含むグラフィックが綺麗に整い、鮮やかな衣替えを試されていらっしゃる。おみごと!作業量の点もあり、今後どうされるか不明ながら、とまれ、いたく感謝申し上げます。
[追記]’あばよ’歌詞の達者ぶりに感銘、かつ共感をおぼえます。

投稿: minatoya | 2014年3月 8日 (土) 10時53分

『冬の旅』は失恋した若者が深夜村を出て、町から村へ、村から町へとさすらい続けるという筋書きで、全24曲から成っています。その6曲目がこの歌で、その前の5曲目が日本でも人気の高い『菩提樹』です。
~二木先生の蛇足より~
古希目前のりんごは記憶力減退著しきも昔のことは鮮明に甦ります。何回もコメントした「15歳の私にシューベルトの冬の旅云々」の党員教師の件です。さすがにシューベルトで釣ったのは高校生の折でした。先生の蛇足を読むにつけても「シューベルトの冬の旅」で洗脳するとはロマンチックでもあり可笑しくもあります。中学時代はもっと直接的な
「○○党と○○リカを倒さなければならない。平等な社会の実現のために騙されるな」などで洗脳されたことを思い出しました。
古希目前の私なのに扉一枚向こうが未だ十代に思えます。かくも人生は短いということでしょうか。

投稿: りんご | 2016年7月19日 (火) 20時42分

高校の音楽の教科書には載っていましたが、習わなかった曲の一つです。
 
 君ゆえ あふるる 切なき涙
 炎と燃ゆるを 雪に融かさん
 雪に融かさん

 緑の草萌え そよ風吹けば
 氷もなずみて 雪に融けなん
 雪に融けなん

という歌詞だったと思います。

音譜を拾いながら、友だちと歌っていました。
SPレコードで「冬の旅」を聞く機会はありましたので、バリトンの歌声も懐かしく思い出します。

投稿: solong | 2016年12月17日 (土) 22時04分

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