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黄昏のビギン

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞:永 六輔、作曲:中村八大、唄:水原 弘

1 雨に濡れてた たそがれの街
  あなたと逢った 初めての夜
  ふたりの肩に 銀色の雨
  あなたの唇 濡れていたっけ
  傘もささずに 僕達は
  歩きつづけた 雨の中
  あのネオンが ぼやけてた
  雨がやんでた たそがれの街
  あなたの瞳に うつる星影

2 夕空晴れた たそがれの街
  あなたの瞳 夜にうるんで
  濡れたブラウス 胸元に
  雨のしずくか ネックレス
  こきざみに ふるえてた
  ふたりだけの たそがれの街
  並木の陰の 初めてのキス
  初めてのキス

《蛇足》 昭和34年(1959)10月に東芝レコードから発売。水原弘のデビュー曲『黒い花びら』が大ヒットしたので、同じトリオによる『黒い落葉』とこの歌が作られました。
 『黄昏のビギン』はB面でしたが、こちらのほうがヒットし、その後も多くの歌手にカヴァーされています。

 そのなかでもとくに好評を博したのが、平成3年(1991)にリリースされたちあきなおみのカヴァーヴァージョン。情感たっぷりのスローバラード風の歌唱が多くの人の胸を揺さぶったようです。

 ただし、その歌い方によって、水原弘のオリジナル版とのニュアンスの違いが生じました。
 水原弘はかなりのハイテンポで、明るく楽しげに歌っています。これにより、この恋がなお続いているという印象を受けます。
 「最初のデートが雨の夕方でさ、にじんだネオンがきれいだったよ。その夜初めてキスしたんだ」などと吾妹子
(わぎもこ)を得た喜びを親友に語っているか、心の中で反芻しているという感じです。

 いっぽう、ちあきなおみの歌い方では、この恋はすでに終わっており、何年後かに過ぎた日々のことを偲んでいるというイメージが浮かんできます。

 どちらの歌い方でも、この恋は初恋と見てまずまちがいないでしょう。初恋は破れるもの、遅かれ早かれ終わるものと相場が決まっています。当然失恋の哀傷を引きずっている人が多いわけで、そうした人たちには、ちあきなおみの静かな歌い方が胸に染みるのでしょう。

 なお、いくつかの歌詞サイトでは1番の最後の行を「あなたの瞳 うるむ星影」としていますが、原詞は「あなたの瞳に うつる星影」です。
 また、現在流れているちあきなおみのYouTube映像には
「うるむ星影」と歌っているものがありますが、他の映像では原詞とおりに歌っているので、このときたまたままちがえただけでしょう。

 どの曲でも、テンポは指揮者や演奏家、歌手によってかなり違うものですが、ビギン(beguine)としては水原弘の歌い方が標準的です。
 ビギンは西インド諸島のマルティニーク島で生まれたダンスミュージックで、アフリカから連れてこられた黒人奴隷の労働歌カレンダがその源ですから、そうテンポの遅い音楽ではありません。
 上のmp3は、水原弘版に近いテンポにしました。

(二木紘三) 

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コメント

 いい歌ですね!この曲を聴くと高校卒業2年後(だったと?)に一番親しかった人との最大のデートは松江城(千鳥城)~縁結びの出雲大社でしたが結ばれる事もなく・・・駅の近くの可愛い灯が点く喫茶店での言葉少ない二人に、ムードを誘うような「黄昏のビギン」が流れてきて暫くウットリとしていた甘い想い出が今でも浮んできます。
 
 出雲大社の『平成の大遷宮』参拝の招待券は実家に送り姉夫婦が昨日参拝したと電話がありました。
 
 カバーはそれなりに、しかし永六輔・中村八大・水原弘・デレクター他の方々によりこの名曲が生まれたのだと、そして選んで下さった二木先生有り難うございます。

投稿: 尾谷光紀 | 2013年5月26日 (日) 08時09分

この歌はたしか映画の挿入歌だったはず、と調べてみましたら1959年の東宝映画「檻の中の野郎たち」でした。当時日劇で「ウェスタンカーニバル」と題してロカビリー歌手たちの公演が若者たちに大うけで、この人気に便乗して作られた言わば「際物」的な作品です。

この中で、ミッキー・カーティス、山下敬二郎、守屋浩の三人がキャバレーで歌うシーンに使われたのが最初で、同じ年の日活映画「青春を吹き鳴らせ」で水原弘が歌ったのがヒットしたのだそうです。私、この日活映画の方は観たのですが、肝心のこの歌の場面は記憶にありません、、、

投稿: boriron | 2013年5月31日 (金) 23時29分

この曲は『各社共作』らしいですよ。
この曲を元ブルーコメッツのフランツフリーデルさんが唄われていたバージョンをラジオで昔、聴いたことがありますし、昨年頃から『BS日本・こころの歌』の中で男声フォレスタ重低音トリオが唄われていたのを聴いております。

投稿: 式年遷宮からの強竜復活 | 2014年4月27日 (日) 07時40分

ちあきなおみも良いですが暗い感じがします。
小生はクミコの軽快さをとります。

投稿: そうびん | 2014年5月 8日 (木) 19時20分

水原弘が唄う、この垢抜けした曲を初めて聴いたとき、タイトルのイメージと違うな、という印象をもったのですが、それもそのはず、わたしは「ビギン」の意味を取り違えていたのです。ジャズファンの方なら、「ビギン(Beguine)」がカリブ海に浮かぶ西インド諸島に生まれたダンス音楽だと知っていたのでしょうが、当時、そんなことも知らないわたしは、「ビギン」をbeginと早トチリしていたのです。恥ずかしながら、懐かしい思い出の歌です。
 この歌の作詞家 永六輔が先日(7日)亡くなりました。かれは、作曲家 中村八大とコンビを組んで、暖かな、誰にも親しまれる歌をヒットさせた作詞家ですが、この歌については「ちょっと感性が違うな、かれはこんなラブソングもつくるんだ」と、わたしは思っていました。しかし、とくに疑問を持っていたわけではありません。ところが、3年ほど前にある雑誌で、かれが「あれ(『黄昏のビギン』)は自分の作詞ではなく、かれ(中村八大)がつくった」ものだという記事を読み驚いた記憶があります。詳細は覚えていませんが、大学(早稲田)の先輩である中村八大の「お前の作詞にしておくよ」という、有無を言わさぬ口調に逆らえなかったようです。かれは、この歌が聞こえて来ると、こころ穏やかならぬ心境になったそうです。二人は、あの世できっとこのことを話題にしていることでしょう。

 永六輔が亡くなって5日後、かれに導かれるように親友の大橋巨泉が亡くなりました。去年の4月には、愛川欣也が一足早く亡くなっています。この3人は強烈なキャラクターを発揮しながら、お互いによきライバルとして認め合い、日本の放送界、テレビ界をリードして大きな足跡を残しました。また、政治思想面でも、放送人・言論人として言論の自由と反戦平和を強く訴えつづけていました。かれら3人の思想のバックボーンは、太平洋戦争中に強制された「疎開」生活で辛酸をなめた「皮膚感覚」から得られたものです。それだけにゆるぎないものだった、という印象が強く残っています。

投稿: ひろし | 2016年7月23日 (土) 13時49分

「黄昏のビギン」 永六輔 中村八大 作詞  

まぁ、本当ですね。レコードは2人の名前になっています。

http://blog.goo.ne.jp/ashita45th/e/1161339befdb9683154ca17ce9b4415c

http://blogs.yahoo.co.jp/sphkz639/18141961.html

100人くらいの歌手が唄っているようですが、
聴いた中では水原弘さんの歌が1番好きです。

投稿: なち | 2016年7月23日 (土) 15時10分

ひろし様
そのようなエピソードがあったのですね。
中村八大作曲ではこの歌が一番好きです。
作詞も彼であったとは!!
永六輔さんの訃報に接してすぐに「黄昏のビギン」
関連の拙文を朝日新聞「ひととき」に投稿~見事に没。
~念願の京都平安神宮紅枝垂れコンサート云々。
溝口肇さんのチェロ演奏「黄昏のビギン」に永六輔さんの歌詞を謎って夜空を仰ぎました。涙がこぼれないように。云々」~クラシックの合間にに突然流れた「黄昏のビギン」は感動的でした。
もちろん 二木先生の演奏も素敵です。
珠玉の歌謡曲です。

投稿: りんご | 2016年7月23日 (土) 17時27分

そうびんさん
同感です。私も、この歌はクミコが一番と思って
います。同じ思いの人がいて嬉しいそです。かなり前、ファンレターでクミコ本人にも、そう伝えました。

投稿: ヤマちゃん | 2016年9月 9日 (金) 15時47分

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