« アルプス一万尺 | トップページ | 浪曲子守唄 »

2020年5月 7日 (木)

ジョスランの子守歌

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞・作曲:Benjamin L.P. Godard、日本語詞:近藤朔風

1 むごきさだめ 身に天降(あも)りて
  汝(なれ)と眠る のろわれの夜(よ)
  胸のうれい ゆめに忘れん
  祈らばや ゆらぐ星のもと
  夢のまきまきに あこがれよ み空へ
  眠れいとし子よ 眠れ今は小夜中(さよなか)
  あゝ夢ぞいのち マリアよ守りませ

2 愛のつばさに おおわれつ
  わが来し方(こしかた) かえりみれば
  流れたゆとう 波にも似たり
  あわれいく日 祈りに泣きぬ
  夢のまきまきに あこがれよ み空へ
  眠れいとし子よ 眠れ今は小夜中
  あゝ夢ぞいのち マリアよ守りませ

      Berceuse de Jocelyn

  Couchés dans cet asile
  Où Dieu nous a conduits
  Unis par le malheur
  Durant les longues nuits

  Nous reposons tous deux
  Endormis sous leurs voiles
  Ou prions aux regards
  Des tremblantes étoiles !

  Oh ! Ne t'éveille pas encore
  Pour qu'un bel ange de ton rêve
  En déroulant son long fil d'or
  Enfant, permette qu'il s'achève

  Sous l'aile du Seigneur
  Loin du bruit de la foule
  Et comme un flot sacré
  Qui doucement s'écoule,

  Nous avons vu les jours
  Passer après les jours
  Sans jamais nous lasser
  D'implorer son secours !

《蛇足》 フランスの作曲家、バンジャマン・ルイ・ポール・ゴダール(Benjamin Louis Paul Godard 1849–1895)のオペラ『ジョスラン(Jocelyn))で歌われるアリアの1つ。

 『ジョスラン』は、1888年2月25日にブリュッセルで初演されましたが、現代ではほとんど上演されず、『ジョスラン子守歌(Berceuse de Jocelyn)』だけが歌われたり、演奏されたりします。

 『ジョスラン』の舞台は革命期のフランス。フランス革命では、アンシャン・レジーム(旧体制)の時代に特権を享受していた聖職者や貴族たちが激しく弾圧されました。

 さらに、啓蒙主義の「理性による思考」が過剰に重視され、それに反すると目された文物は排斥されました。カトリックの典礼やしきたりは非理性的な習俗とされ、フランス全土でミサは禁止、教会や僧院は閉鎖、略奪、破壊の憂き目に遭いました。多くの聖職者が殺され、あるいは追放されました。
 有名なモンサン・ミッシェルの修道院は監獄に変わり、修道院に戻ったのは1865年のことです。

 そうした社会情勢のなかで、聖職についていたジョスランは山岳地帯に逃れ、数奇な運命をたどります。資料が見つからなかったので、正確な筋書きはわかりません。
 上の日本語詞で「むごきさだめ」「のろわれの夜」「うれい」など、子守歌にはふさわしくない言葉が出てくるのは、ジョスランの悲惨な運命を反映したものなのでしょう。

 メロディは流麗で、「癒やしの音楽」といったアルバムによく収録されます。

(二木紘三)
 

 

« アルプス一万尺 | トップページ | 浪曲子守唄 »

コメント

  ♪♪♪ 又も亡き母の教え賜いし歌!
 昭和15年頃、小学校二年生位の時でしょうか、この訳詩通りかどうかは分かりませんが、母は歌ってくれました。
 でも私はこの歌は何か好きにはなれずに、『ジョスラン』の名前は記憶に残っていますが、歌は嫌だった覚えが有ります。
 今、改めて聴きますと、最初のフレーズなんか良いのになと思うのに、何だったのでしょうか??
  理由は今となっては分かりません。・・・が、何か曲調が暗い感じがしていたのでしょうかとも思います。
 でも、こんな80年も前の事を思い出させてくれるジョスランと二木先生に感謝します♪♪♪


投稿: けい。 | 2020年5月 9日 (土) 22時14分

YouTubeで聴きました。日本語でも、藤原義江、由利あけみ、松原操など錚々たる歌手が吹き込んでいるようです。また、各種楽器の演奏もあります。
とてもきれいな曲なのですが、歌うのは専門家でないとちょっと難しいかなと思いました。

投稿: Hurry | 2020年5月 9日 (土) 22時25分

二木先生、間をおかずの投稿ご容赦下さい。
ジョスランの子守唄  先生の人柄の伝わる優しい演奏に癒されています。
私にとっては実にタイムリーなアップでした。
訳あって入院生活、差し入れのCDにこの曲があり、7番目のジョスランの子守唄 好きな曲ですとの添え書き。チェロ演奏を毎日聴いてます。赤とんぼや浜辺の歌、鳥の歌
も入ってます。

少し長いが東日本大震災にまつわるチェリスト、コチさん他の活動の紹介をさせて下さい。


ヴラダン・コチ 震災被災地支援コンサート
(2012年3月24日、25日、27日)

■開催主旨

大津波の映像が世界を震撼させて間もない2011年4月、アムネスティ・インターナショナル日本の招きでチェコの世界的チェリスト、ヴラダン・コチさんが来日し、各地でチャリティー・コンサートに出演されました。その折、被災地の惨状を知ったコチさんは、ご自身もかつて過去の共産党政権下で兵役を拒否して投獄され、世界各地から寄せられた支援に力づけられた体験から、被災者の苦しみを他人事とは思えず、彼らを励ますために演奏を届けたいと希望されました。そのお申し出を被災地にお伝えすると、驚きと大きな期待が寄せられました。

大震災から1年となるこの3月にお嬢さんのルツィエさん(ヴァイオリニスト)を伴って、コチさんの再度の来日が実現し、仙台、七ヶ浜、石巻、錦織、郡山の5か所でコンサートを開催することとなりました。この東北を巡る演奏会に必要な経費は逗子、横浜、東京でのコンサートの収益を充てさせていただきます。一人でも多くの方が支援の輪に加わって下さり、“プラハからの希望の調べ”を被災地にお届けできればと願っています。皆さま、コチさんの友情と熱意溢れる素晴らしい演奏をお楽しみ下さい。そして大震災から1年となるこの3月にお嬢さんのルツィエさん(ヴァイオリニスト)を伴って、コチさんの再度の来日が実現し、仙台、七ヶ浜、石巻、錦織、郡山の5か所でコンサートを開催することとなりました。この東北を巡る演奏会に必要な経費は逗子、横浜、東京でのコンサートの収益を充てさせていただきます。一人でも多くの方が支援の輪に加わって下さり、“プラハからの希望の調べ”を被災地にお届けできればと願っています。

投稿: りんご | 2020年5月20日 (水) 06時51分

 時代離れしたこんな歌が、なぜ今、載せられるの?と一瞬思いましたが、二木先生の深い考えからだと思い、静かに味わったしだいです。
私より7歳年上の二木先生の信念に、怠け者の私はいつも教えられています。自分に信念はあるのか、いや、ないこともないが、これではいけない・・などと。
 <蛇足>によれば、モンサン ミッシエルがもとの修道院の姿にもどったのは1865年、つまりフランス革命の始まった1789年から76年後ということです。なんと長い歳月でしょう。
日本の明治維新は、いわゆる戊辰戦争は1868年から1869年ですから、革命・反革命の争いなんてフランスに比べれば、軽いものです。よくいえば日本人は物分りが早い、悪くいえば政治的信念がないということです。
そして革命というか社会の急激な変動というのは、どうしてもやりすぎちゃう。そのため革命をなした政権の側はそれを隠蔽したり、つじつまあわせに走ったりしてしまう。見苦しいです。

 この曲は静かなメロディーのもとで子守唄に託しながら、いわゆる性急な革命の危険さ、愚かさを教えているように思います。

投稿: 越村 南 | 2020年5月26日 (火) 23時43分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« アルプス一万尺 | トップページ | 浪曲子守唄 »