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2007年2月 8日 (木)

哀愁の街に霧が降る

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞:佐伯孝夫、作曲:吉田 正、唄:山田真二

1 日暮れが青い灯(ひ)つけてゆく
  宵の十字路
  泪(なみだ)色した 霧がきょうも降る
  忘られぬ瞳よ
  呼べど並木に消えて
  ああ 哀愁の街に霧が降る

2 花売り娘の花束も
  濡れる十字路
  のこる香りに あまく思い出す
  過ぎし日のあの夜は
  カラーフィルムのコマか
  ああ 哀愁の街に霧が降る

3 せつなく降る降る身も細る
  霧の十字路
  窓を漏れくる 唄もすすりなく
  なつかしのブローチ
  肌につめたく沁みて
  ああ 哀愁の街に霧が降る

《蛇足》 昭和31年(1956)のヒット曲。

 田舎の中学でニキビが出始めた少年は、ラジオから流れてくる吉田正の都会調ムード歌謡を聞きながら、霧降る街角で花束を売っている少女や、テラスという場所でため息をついている銀座娘(『東京の人』)てどんなんだろうと、あれこれ想像していました。

 それから4年ほどして、少年は東京に出ましたが、花売り娘やテラスでため息をついている女性には一度も出会いませんでした。

 路上で花束を売る人を初めて見たのは、ずっとあとになって、初めてパリに行ったときでしたが、花売り娘ではなく、いかにも生活に疲れたといったふうな花売りオジサンでした。

(二木紘三)

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コメント

この山田真二さんの曲も、幼い頃、に聴いた憶えがございます。大晦日恒例の「懐かしのメロディー」でも遠い昔、一度聴きましたか・・。定かではありませんが、メロディーは久保浩さんの♪霧の中の少女♪と同様、いい曲だと感じた次第でございます。

投稿: 水本爽涼 | 2008年5月23日 (金) 14時20分

この歌は名曲ですが意外と知られていないのは何故かわかりません。よく今の歌誰が歌っているのと聞かれます。山田
真二と答えます。(本当は私と答えたいのですが)

投稿: M,U | 2008年5月23日 (金) 17時58分

プロ歌手でなく、俳優に歌わせるように作ったせいか、この歌は音の上下の幅が少なく、誰でも歌いやすいですね。歌は下手だったけれど、山田真二はウェーブのかかった長髪をやや額に垂らして、素直な甘い歌い方で大ヒットしました。

この曲と、翌年リリースされた同じ東宝俳優の宝田明が歌った「美貌の都」は雰囲気がとても似ていて、ともにいい歌ですね。私は、そのどちらかを思い出すと、必ず、もう片方を思い出します。

投稿: 吟二 | 2009年5月 5日 (火) 13時26分

この歌は二枚目俳優の山田真二さんが歌っていましたね。椎名さんの著書「哀愁の町に霧が降るのだ」について椎名さんが、タイトルはこの歌をベースにしているとインタビューで答えていました。
 一時、車の中でCDを聞いて必死に覚えたことがあります。

投稿: 江尻陽一 | 2009年5月16日 (土) 01時27分

昭和43年頃、銀座の並木通りでは、花売り娘,似顔絵描きをみかけました。花の値段がちょっと高くて、買えませんでした。似顔絵のほうも、モデルである客よりも、ずっと美男美女に描いていて、あまり似てませんでしたね。この歌は名曲ですが、同じコンビによる「霧の中の少女」にメロディが
よく似てますね。「霧の…」とほうも大好きですが。

投稿: かせい | 2011年5月10日 (火) 22時25分

いいですね

投稿: yasutosi nakamura | 2011年5月27日 (金) 14時59分

建物の設計をしているのですが、建物にもこういう雰囲気がほしいですね。

投稿: yasutosi nakamura | 2011年5月27日 (金) 15時03分

昭和31年なら、私が小学校5年のとき。ラジオしかなかったから無意識に聴いて(聞こえて)いたのか。よく覚えています。やわらかいいい歌ですね。

投稿: MrRksign | 2011年11月23日 (水) 20時49分

霧と言う字を織り込んだ歌は多数ありますが、皆男女間の情感を表現しているような気がします。また幻想の世界に誘ってくれそうな気分にもなります。哀愁の街に霧が降る、からたち日記、霧の中の少女、白いランプの灯る道、夜霧のブルースなど、どれも名曲ですね。

投稿: 海道 | 2012年9月10日 (月) 15時14分

「日暮れが青い灯つけてゆく」佐伯孝夫の名文句ですね。これが都会かと思わせるには十二分の詞だと思います。このような歌に引かれ都会とおぼしき所に住んで50年長かったような、短かったような。

投稿: 海道 | 2012年10月12日 (金) 16時56分

この歌には新旧二つの思出でが有ります。

高校生の頃これを教えてくれたY君のこと、後年(約50年後)四国の港町の居酒屋で、同年輩の方と歌った、ことです。

投稿: とうろう | 2013年10月27日 (日) 01時28分

昭和31年と言えば、私は最初の職場を3年で退職し横浜の神奈川大学短大部商科へ在学中のことですが、山田真二のこの歌を聴くと本当に心が癒されました。
80歳になった現在でも、懐かしく口ずさみながら当時を思い返している昨今です。
山田真二さんは最初の頃のしっとりした歌い方から、近年ではロック調に歌われていますが、最初の頃の歌い方に戻された方が、心に沁みるのではないかと思いながら聴いている次第です。

投稿: akasia | 2014年7月30日 (水) 18時17分

この歌を聴くと小林哲子という女優さんを思いだします。聡明な顔をした瞳の美しい人でした。多分「青年の樹」というドラマに出ていたのではないかと思います。死への憧れを感じている年頃でしたのでドラマの中で彼女が亡くなった時、とても美しく感じたのかもしれません。

投稿: ハコベの花 | 2014年7月31日 (木) 23時25分

ハコベの花様

二木鉱三のうた物語でコメントを入れるのは5曲目ですが、又お会い

出来たという事は奇跡としか思えません。この歌が大好きでよく

口ずさんでいたら、友達に彼氏で来たの? と聞かれてえ!!と思った

記憶があります。小林哲子さんという方 ヤヌスの鏡でみました。

キリッとしたスケバンで憧れました。山田真二さんも素敵でした。

今日は眠れないなくてこんな時間になってしまいました。

投稿: 君恋し | 2014年11月30日 (日) 01時45分

佐伯孝夫-吉田正コンビによる昭和30年代の霧ガラミの曲といえば、『哀愁の街に霧が降る』のほか『夜霧の空の終着港(エアーターミナル)』『霧の中の少女』がありますが(『夜霧の第二国道』は作詞・宮川哲夫)、近年は霧に風情を感じるような時代ではなくなったようです。
『哀愁の街に霧が降る』では「泪色した霧がきょうも降る」、『夜霧の空の終着港』では「白い夜霧のエアーターミナル・・・あぁ、もって来いの晩だぜ」・・・ここに妙齢の美女がからめば、さらに風情が高まるわけです。所詮はしょぼい年金暮らしジジイの妄想です。

投稿: 焼酎百代 | 2015年3月 8日 (日) 19時56分

昭和30年代の前半に青春時代送った私は夕方から友人と街ブラする楽しさを今でも懐かしく思い出します。バブルの頃から市街地に商店が消え、銀行や保険会社のビルが立ち並び街ブラの楽しみが無くなってきました。シャッターの閉められた明りのない街には魅力がありません。久しぶりに夕方の街を歩いてその淋しさに驚きました。
雑踏を歩く楽しさ、人間の集まる店、喫茶店、バー、雑多な商店、若者はどこに行ってしまったのでしょうか。ロマンスが生まれたり、消えたり、自動車文化が人間臭い何かを壊してしまったような気がしてなりません。一方的にしゃべるテレビをぼんやり一人で観ながら昔を懐かしんでいます。哀愁の街は何処に・・・

投稿: ハコベの花 | 2015年12月19日 (土) 20時43分

甘く切なく胸に沁みる都会派歌謡ですね。
こんな素敵な歌があったのですね。
歌詞も素敵です。
ハコベ様の嘆きよくわかります。
街から情感が消えましたね。


投稿: りんご | 2015年12月20日 (日) 20時36分

「哀愁の街に霧が降る」以外で別の作曲家の霧ガラミの曲といえば、鈴木淳作曲「霧にむせぶ夜」がありますが、当たり前と言えば当たり前ですが、同じ霧でも作曲家が違うと曲調がガラッと変わるものです。
吉田正は日立工業専修学校(日立製作所設立、技能者養成)卒後、日立で製図工をした後に応召、戦後復員してから作曲家、一方、鈴木淳は早大卒後、音楽雑誌出版社編集者→故郷で療養生活→国語教師→出版社復帰→作曲家という経歴で(Wikipedia)、音楽ド素人の独断と偏見で言わせてもらえば、音楽才能の他に経歴が曲想曲調に影響を及ぼすか?と推測する今日この頃です。
(霧にむせぶ夜)http://www.youtube.com/watch?v=ohk31Fwnu68

投稿: 焼酎百代 | 2017年9月 4日 (月) 20時35分

焼酎百代さま ご無沙汰いたしております。
久しぶりで懐かしい曲を聴きました。感動いたしました。
コメント・・・すごい分析・・・感服の至りです。
百代さまがお考えのように、私も作曲家の生い立ち・職歴・人生経験等々で曲作りには大きく影響がなされるのではないかと思います。
ところで、最近では、焼酎の「味」は如何でしょうか。
小生、先ほどまで、久しぶりで「そば焼酎・雲海」で今日の反省会(私一人で)をいたしたところです。
今後とも、ぐうっとくるコメントを楽しみにいたしております。

投稿: 一章 | 2017年9月 4日 (月) 22時03分

この歌はこれからの季節にあいますね。
お酒の飲めない私は  アルコール代わりに
音楽を楽しみます。(夜には)
夫々の味に酔いしれます。

ハコベの花さまのコメントにある通り、
街に情感があればこその「哀愁の街に霧が降る」ですね。霧が降る~いいですね。
霧の歌では」水色のワルツ」と双璧と思います。。
「夜霧に濡れて心の窓を閉じて忍びなくのよ」

投稿: りんご | 2017年9月 5日 (火) 10時08分

連投失礼します。
投稿した後よく考えれば、作曲に経歴(人生経験)が影響するのは当たり前の話で、当たり前の話をさも分析もどき?で投稿したのはお粗末でした。それにしても吉田正も鈴木淳もいい曲作ります。無趣味で酒が楽しみの侘しい人生で毎日反省会です(今は某ビール会社製1.8ℓ紙パック芋焼酎中心です)。
今後も一章様やyoko様をはじめ歌物語の諸氏諸嬢の抒情性詩情性あふれるコメントを楽しみにさせて頂きます。
(なおHNが長過ぎるので焼酎に変更させて頂きます)

投稿: 焼酎 | 2017年9月 5日 (火) 17時20分

同名の映画は山田真二と青山京子(小林旭の奥様)の共演だったそうですが私はこの歌は聞いた事がある程度だったので映画は観ていません。写真家の浅井慎一さんが最近の日本にはこうした街のムードが無くなったと嘆いていたそうですが同感です。デジタル社会と叫ばれているがタイプライターで育って来た人種と毛筆で生きて来た人種を同列にしないで無理ない移行を望みます。合わせて幼少の頃からのプログラミングに対する慣れも必要だと思いますが、日本人には独創性のあるアニメを作る実力があるので知的産業でも大丈夫でしょう。またこの詞のように綺麗な情緒のある日本語は残るのでしょうか。西條八十を始め多くの詩人が亡くなり演歌、歌謡曲の世界は生き残れるのでしょうか。そちらの方が気になります。

投稿: 海道 | 2021年6月 2日 (水) 06時51分

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