君いとしき人よ
(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo
作詞:菊田一夫、作曲:古関裕而 、唄:伊藤久男
1 君 名も知らぬ うるわしき人よ 2 君 われを捨て 去りにし人よ 3 君 はるかなる いとしき人よ |
《蛇足》 松竹映画『君の名は』の主題歌として、『君の名は』のアンサーソングという形で作られたもの。つまり、『君の名は』が氏家真知子の立場で歌われたものであるのに対し、こちらは後宮春樹の心情を歌ったものです。
レコード発売は昭和28年(1953)10月。
「夜霧の橋」は、春樹と真知子が空襲のさなか、初めて出会った数寄屋橋です。
昭和33年(1958)、外濠は埋め立てられて橋はなくなり、小公園に変貌しましたが、「数寄屋橋此処(ここ)にありき」と刻まれた記念碑が立っています。
上の写真は昭和2年(1927)に撮影された数寄屋橋で、背景のビルは当時の朝日新聞東京本社。
(二木紘三)
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コメント
懐かしい歌の数々、本当に有難く思っております。
私も『君の名は』を親と一緒にラジオで聞いた世代です。菊田一夫さんの『さくらんぼ大将』の翌年だったので、同じような子ども向けのドラマを期待していたのですが。少し背伸びしながら、聞いたことが思い出されます。
「君いとしき人よ」は伊藤久雄さんの素晴らしい声と表現力で子供心を揺さぶってくれました。その後、私にとって、失恋の歌になったりもしましたが、独特の透明感のあるメロディが大好きで、一生で一番沢山歌った歌ではないかと思います。外にも、「アザミの歌」、「山のけむり」、「サロマ湖の歌」など、伊藤久男さんの歌を好んで歌っています。声を張り上げないと歌えないので、健康に良いのではと思っております。
投稿: 翌檜 | 2008年1月30日 (水) 18時39分
面映いことですが、私にとっても翌檜さんと同じように、恋の思い出につながる歌です。
通学電車で時折見かける女子高生に心を奪われ、なんとか出会えないものかと、乗る電車の時間をずらせたり、あれこれあがいたものです。
あるとき、いつものようにプラットホームで電車待ちをしていたとき、この曲がフッと唇に浮かびました。
♪君、名も知らぬ うるわしき人よ・・・
そうです。
その当時は名前も知らない人、だったのです。
空からはシンシンと雪が降っていました。
投稿: 風花爺さん | 2008年8月13日 (水) 11時03分
叙情歌の名手ですが、古関祐二と組んで「栄冠は君に
輝く」にまで関係しているとは思いませんでした。
投稿: 海道 | 2008年12月18日 (木) 18時21分
3番の歌詞が素晴らしいですね。春には春の思い出があり、夏にも秋にも、冬にもそれぞれに心ときめく思い出があります。思い出すと切なさで胸がいっぱいになります。メロディと歌詞がぴったりと合っていて、恋の切なさが甦ってきます。何十年たっても若い日の君がそのまま心にあるからこそ楽しいのかもしれません。
投稿: ハコベの花 | 2011年2月 3日 (木) 23時01分
後期高齢者になって体力の衰えばかりではなく、心も年を取ったと思うことがあります。そんな時、ロバート・テイラーが橋のたもとでビリケン人形を手にして昔を回想するシーンを思い出します。そして恋した人が元気で生きているのかと思います。別れるとき、じっと見つめてくれた黒い瞳はあの時の青年のままの済んだ瞳だろうか。生きていて欲しいと願うばかりです。
投稿: ハコベの花 | 2016年5月 9日 (月) 21時43分
24才の時、大阪の某銀行の事務センターに出向していました。朝、建物の中に入るや否や、『あっ!』、と驚きました。女子社員の制服が一斉に替わっていたのです。紺のスカートに白のブラウスの組み合わせが、緑のスカートと白のブラウスになっていたのです。一瞬にして高原に花が咲いたような錯覚にとらわれました。
6月1日、衣替えでした。どの女子社員もいつもとは違って華やいで恥じらっているようでした。その朝は男子社員も皆仕事に手がつくのにしばらく時間がかかったことと思います。
その翌日、社内の隅で女子社員達が数人集まって楽しそうにおしゃべりしていました。
「ねぇねぇ、見た?」、「見た、見た~」
何かと思ったら、昨日の衣替えの写真が今朝の朝刊に大きく載せられていたのだそうです。
初夏の日差しを浴びて御堂筋に繰り出していた女子社員達の躍動する姿が新聞に載っていたそうでした。
僕も後で新聞見てみよう、とその時思ったのですが、それきりになりました。
昭和48年6月2日。図書館で新聞をしらべると、その写真今でも見つけることが出来るでしょうか?
- 街に風吹けば あの日を想う
ああ 君(たち)ありてこそ 楽しきに
美しいなぁ、と彼女たちを寂しく見つめていただけの男でしたが、
今でも、若かりし彼女たち一人一人の姿を思い浮かべることができます。
投稿: yoko | 2016年5月10日 (火) 03時36分
yoko様の体験談「女子社員の制服が一斉に替わっていた…紺のスカートに白のブラウスの組み合わせが、緑のスカートと白のブラウス…」を読むと、女子行員で溢れる?銀行が目に浮かび、古希過ぎ爺には羨ましい体験談です。
それに引き換え、本サイト『無法松の一生(度胸千両入り)』に投稿させて頂いた通り、会社所属部署が機械設計関係だったもんですから、野暮ったい上っ張り着た事務女性を除いて男ばっかりのむさ苦しい環境でした。紺や緑のスカートに白のブラウスの女性など遠い世界の話でした。
投稿: 焼酎百代 | 2016年5月10日 (火) 11時06分
「君いとしき人よ」ラジオ放送から火がつき後に映画化され、空前の一大ブームを巻き起こしたという『君の名は』の主題歌に、こんなにも素晴らしいアンサーソングがあったとは、私はこのページを開くまでは全く知りませんでした!
「君の名は」と云えば『・・忘却とは忘れ去ることなり、忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ・・』というこの名文句そして『氏家真知子』『後宮春樹』という主人公の役名、またこの物語の主役を演じた『佐田啓二』『岸恵子』というこの名優二人の名前、さらに『真知子巻き』の流行等、昭和29年に生まれた私でさえも物心ついたころには知っていました。今思えば如何にこの『君の名は』という作品が、当時はセンセーショナルを巻き起こし、そしてまた後々まで長く語り継がれたのか想像できます。
伊藤久男さんが歌うこの作品のアンサーソングの歌詞には『・・半年後の11月24日、この橋で会おうと約束し、お互い数寄屋橋で待つも再会が叶わず、1年半後の三度目にやっと会えた時は真知子は、既に明日嫁に行くという身であった。・・』というこの作品のストーリー性からも、真知子を思いただひたすらに探し続けた、後宮春樹の切なさ極まるその辛い心情が見事に表現されていると思います。
『・・ああ 君ありてこそ 楽しきに・・』というこの歌詞表現は、何故か今の私の胸にも突き刺さります。
投稿: 芳勝 | 2024年11月 2日 (土) 17時34分