純情二重奏
(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo
作詞:西條八十、作曲:万城目正、唄:霧島昇・高峰三枝子
1 (女) 2 (男) 3 (女) 4 (男女) |
《蛇足》 第二次世界大戦が始まった昭和14年(1939)のヒット曲。
松竹の歌謡映画『純情二重奏』の主題歌。声楽家への夢を抱く栄子を高峰三枝子、ライバルの八千代を木暮実千代が演じました。監督は佐々木康で、ほかに松原操、伊藤久男、淡谷のり子、松平晃、二葉あき子、霧島昇など、昭和の歌謡界を代表する歌手が数多く出演しました。
全歌詞、快調そのものですが、わけても4番の「春はつばくろ、秋は雁/旅路はてなき、みなし子二人……」は、みごとというほかありません。限定された音数でこれだけ流麗でドラマ性を感じさせる歌詞を書ける人は、もう現れそうにありません。
3番の「鏡掛け……友禅模様」でイメージが浮かぶ人はどのくらいいるでしょうか。私が幼児のころ、上の鏡掛けとは模様も色も違いますが、母の鏡台には友禅の鏡掛けが掛かっていました。しかし、小学校2,3年のころにはなくなっていました。鏡台とセットになった母の嫁入り道具の1つだったのでしょう。
私はときどき、少女時代から青春時代の母はどんなふうだったろうと想像してみることがあります。
(二木紘三)
コメント
久しぶりに来ました。
純情二重奏が揚がっていたので感謝感謝です。
投稿: konimo | 2007年10月 8日 (月) 23時29分
私は小学入学祝に今は亡き父が宮田東峰のハモニカを買ってくれ、得意でした。
母も80歳で父の元へ、この純情二重奏は前奏から最後までハモニカを持ったときは必ず二三回吹いております、家内はハモニカの音が好きでないらしく「うるさいね~」等とのたまわっております、韓流映画よりも日本映画や音楽のよさを理解できないのかね。
投稿: トクラテス | 2008年2月29日 (金) 09時41分
トクテラスさんへ
宮田東峰、懐かしいですね。雑誌の広告で宮田東峰さんの写真を思い出します。私もハーモニカが好きで小学生の頃、最初買ったのはC長(メジャー)のものでした。これでマイナーの曲も吹けないことはないのですが、あとでマイナーハーモニカもあることを知り、これで純情二重奏などの、いわゆるマイナーの演歌を吹くと一層それらしくなりますね。他にも、「東京ラプソディー」や「長崎の鐘」のように短調から長調に転調する曲なども2つのハーモニカで演奏するのも面白いですね。
参考までに、うちの家内は「うるさいねー」とは言いません。
投稿: 佐野 教信 | 2008年3月 2日 (日) 00時01分
拝啓 佐野 教信様
ハモニカも種類が多く、クロマテックハモニカ?とは半音も出せると聞きましたがどんなものなのですか、ちなみに私が使っているのはC調です。
ハモニカを吹ければ音階も聞いただけで理解でき、大変よい教材だと確信している一人です、価格も手ごろだし。
また、二木先生の蛇足欄にてメロデイを聞きながら楠正成・正行親子の情愛など勉強させてもらっておりますのでまた会えると思います、御両方も健康に気をつけてお元気で。
投稿: トクラテス | 2008年3月 2日 (日) 12時36分
歌謡詞の原点は四行詩だと思います。西条先生の作品はまさに珠玉の四行詩です。今の歌はまさにただ言葉の羅列です!日記です!例えば“君が好きだから抱きしめてキスをして・・・・”何の余韻も感傷もありませんね。詩を歌い言葉の裏に滲んでくる情景を思いおこし、嘆き悲しみ、また生きる喜びを感じる!その人の人生により詩の解釈が違ってくるものなのだと思います。この欄で交わされている詩の解釈がまさにそれだと思います。
星野作品の”女の宿””みだれ髪”などその典型です。
一人ひとりのその時の境遇、環境によりとらえ方が違ってくるそれが歌謡詞なのかもしれませんね!
投稿: ON | 2008年6月25日 (水) 20時59分
ぼくは昭和11年生ですが4人兄姉のうち昭和3生を除いてあとは皆大正生まれでした。歳に差はありましたが兄姉の友達が家に遊びに来て庭先で口ずさんでいた戦前・戦中の流行り歌がぼくにとっての同時代の歌です。それは「純情二重奏」であり「人生の並木道」でありまた「旅の夜風」などでありました。
ぼくは百姓の生まれですが中学は近くの城下町の学校に行きました。昭和24年(中学1年)学校からの帰り道広い城郭内の敷地で農機具の博覧会が開かれており、一日中「青い山脈」のメロディーが流れていたのをよく憶えています。そのころは気がつかなかったのですが、長じてから「青い山脈」の2番の歌詞をみてそれはそれは驚きましたね。「古い上衣よさようなら さみしい夢よさようなら」などと詠っているではありませんか。
なるほど詩人というものは時代の情感に形をあたえそれを典型化してぼくたちにプレゼントしてくれます。そしてそれがぼくたちの情感のアイデンティティとなってゆきます。
さて、「純情二重奏」という「古い上衣 さみしい夢」をつむいでくれたのは西条さんご自身ではありませんか!ほんまにヨロケタことがありました。でもぼくたちは決してあの連中のようにやれ「戦争協力」だのやれ「戦争責任」だのとあたかも自分は無実だったかのような無粋なインチキは申しません。詩人はまた新しい時代の新しい上衣や新しい夢を紡いでくれればこの世は充実し癒されるというものです。ぼくは西条さんが大好きだす。
投稿: 村のしぐれ | 2016年10月 7日 (金) 16時05分
昭和14年公開の映画「純情二重奏」をDVDで見ました。多くの美男美女たちや、又当時全盛を誇った歌手の面々が次々と登場し楽しい歌謡映画でありました。今の河口湖からは想像も出来ぬ程素朴な湖畔でのロケ。そこで貴公子然とした細川俊夫が「純情二重奏」の曲想を想い付き、そばにいる高峰三枝子が木陰を背に歌いだすなんて歌謡映画の醍醐味を満喫しました。
しかし、こんな楽しい映画もこの2年後に始まる太平洋戦争が近づくにつれ製くれなくなって行きます。
画面に登場した多くの人たちも殆ど故人となられ、時の流れを感じます。古い映画を見ると楽しみの影にチョッピリ寂しい感慨を覚えます。
投稿: argon | 2021年9月23日 (木) 14時41分