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2007年9月10日 (月)

小さな喫茶店

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞:E・ノイバッハ、作曲:F・レイモンド、日本語詞:青木 爽

それは去年のことだった
星のきれいな宵だった
二人で歩いた思い出の小径だよ
なつかしいあの
過ぎた日のことが浮かぶよ
この道を歩くとき
なにかしら悩ましくなる
春先の宵だったが

(*)小さな喫茶店に
    入ったときも二人は
    お茶とお菓子を前にして
    ひとこともしゃべらぬ
    そばでラジオが甘い歌を
    やさしく歌ってたが
    二人はただ黙って
    向き合っていたっけね

     (間奏)

  (* 繰り返す)

In Einer Kleinen Konditorei

In einer kleinen Konditorei,
Da saßen wir zwei,
Bei Kuchen und Tee.

Wir sprachen beide kein einzig Wort,
Doch wußten sofort,
Daß wir uns versteh'n.

Und das elektrische Klavier
Das klimpert leise,
Eine Weise von "dir und mir im Glück".

In einer kleinen Konditorei,
Da saßen wir zwei,
Bei Kuchen und Tee.

《蛇足》 コンチネンタルタンゴの名曲の1つ。この曲のロングヒットの影響か、"Die kleine Konditorei"という名の喫茶店・洋菓子店が、ドイツやオーストリアには何軒もあるようです(写真)

 作曲者のフレッド・レイモンド(本名はRaimund Friedrich Vesely)は1900年4月20日、ウィーン生まれ。のちにベルリン移住。独学で作曲を学び、銀行員などをしながら、数多くのオペレッタや軽音楽を発表しました。
 この曲が日本に紹介されたのは、昭和9年
(1934)のことです。
 原詞の意味は次のとおり。

 「小さな喫茶店で、ぼくら二人はお菓子とお茶をそばにして座っていた。ぼくらはひとこともしゃべらなかったが、理解しあっていることがすぐにわかった。電気ピアノが『二人は幸せ』という歌をかすかに奏でている。小さな喫茶店で、ぼくら二人はお菓子とお茶をそばにして座っていた」で、日本語詞の繰り返しの部分に、ほぼそのまま生かされています。

 戦前から昭和40年代あたりまで、喫茶店は若い男女のデート場所の定番でした。喫茶店で語り合うか、『或る雨の午後』のようにひたすら街を歩く、といった素朴なデートが一般的だったのです。
 その後、高度成長が進んで人々が豊かになってくると、デート場所は、テーマパークかカラオケボックス、ファッショナブルな再開発地域、グルメ本やデートマニュアル本に載っているレストランというように、変わってきました。

 最近は、たまに盛り場の喫茶店に入ってみると、商談中らしいビジネスマンとか、オバサンたちのグループ、定年退職者らしいオジサンといった客が多く、デート中らしい若い男女はあまり見受けなくなりました。デート場所だけでなく、デートのかたちも変わってきたのでしょう。

(二木紘三)

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コメント

タンゴでは 青空
が 思い出されます。
 アルフレッドハウゼ ?

投稿: 二宮 博 | 2007年9月10日 (月) 21時06分

当年85才、老化防止にPC.でインターネット等を楽しんでいます。古い歌や唄が好きで聞きたいと思って検索しました。

投稿: 山本 潔 | 2007年9月12日 (水) 09時55分

私の大好きなこの歌、二木先生のお蔭で始めてドイツ語の歌だった
ことを知りました。今は亡き主人と過ごした55年前、結婚前の
喫茶店での姿は、まだこの雰囲気を残していた時代だったかも
知れません。一杯のコーヒーが50円でした。

こんなに懐かしメロディーを聴くことが出来ること、本当に感謝
しております。パソコンの隣りで、主人の写真も一緒に聴いて
いることでしょう。有難うございます。

投稿: れいこ | 2008年3月17日 (月) 08時52分

戦後作曲家に転じた中野忠晴(1970年没)のヒット曲ですが、近年ではボニー・ジャックスが、鮮やかなハーモニーで
この名曲をカバーしていますね。

投稿: 若輩 | 2008年5月30日 (金) 22時11分

この曲が日本に入ってきたのが昭和9年とは驚きですが、今でも明るく爽やかに歌える曲ですね。
小生も喫茶店が大好きで、学生時代からもう50年近く通っています。以前はデートの場所として最適だったでしょうが、今はずいぶん雰囲気が変わってしまったようです。
それでも往時を偲ばせる店が2~3軒あるので、家に居ずらくなると(古女房とは大昔、よくデートしていたのに)独りで“憩い”を求めて出かけます。解説にある「定年退職者らしいオジサン」という風情ですね。
当サイトには「喫茶店の片隅で」「学生街の喫茶店」といった懐かしい歌もあり、それらと合わせてこの曲を楽しんでいます。

投稿: 矢嶋武弘 | 2008年5月31日 (土) 15時00分

明るくて爽やかな曲ですねぇ。
喫茶店が事のほか好きな方っていらっしゃいますよね。
うちの家族…母と夫がそうです。
母と来たら…矢嶋さんのコメントに書いてある
”学生街の喫茶店”が大好きな歌の一つです。
米子の女学校に通っていたハイカラ女学生だった
所為でしょうか?
何か喫茶店に思い出があるのでしょうねぇ。

投稿: sunday | 2008年6月30日 (月) 05時44分

1980年、転勤した札幌の街にKonditoreiの看板の
菓子店「千秋庵」がありました。いやあ小さな喫茶店のKonditoreiではないかと、珈琲飲んで話を聞きました。社長さんがオーストリアの名誉領事をやっているとかで、ドイツ語の看板伊達ならず、と思ったこと、今も思い出します。
大東京よりもインターナショナルではないか、と感じたことも併せて。

投稿: 大坂一義 | 2008年8月11日 (月) 19時57分

はじめまして。

小さな喫茶店はNHKのラジオドイツ語講座で聴いてから気に入っております。働くようになってから忙しくて受講できておりませんが、いつか全部ドイツ語で歌ってみたいものです。

投稿: 海野 防人 | 2009年1月13日 (火) 21時52分

若いころから何回か聞いたことがあります。歌詞やメロディが心に残っておりました。このサイトを知りこの歌を見つけ何度も繰り返し聴いております。前半はかなり難しいですが、後半の歯切れのよいタンゴのリズムが好きです。

投稿: 吉松英治 | 2009年12月14日 (月) 18時04分

ハーモニカをやっています。今、ハーモニカ界の巨匠佐藤秀廊氏がアレンジされたこの曲を練習しています。11月の発表会で独奏する予定です。軽快なメロディーで昔から好きだった曲ですが、タンゴのリズムをベースで叩くのに苦労しています。

投稿: solong | 2012年6月27日 (水) 21時24分

家の前の公園の向かいに、Cafeが、オーブンしました。若いオーナー女性のご主人はオランダ人。ご主人手作りのオランダのケーキが日替わり。BGMは、何故か、カーペンターズでした。主人と二人で、公園を借景に 幸せなティータイムいつか、ひとりになる日が来る。思い出せる音楽が有ると、幸せがよみがえるのでしょうね。

投稿: taka-shiz | 2014年9月 3日 (水) 23時08分

仕事に趣味に、サークル活動の仲間との寄り合い等に青春のエネルギーを燃やし、毎日が楽しくて活気に満ちていた20代の頃・・・の話です。

今でも親しく付き合っている会社時代の同僚のN君が、M銀行との合同ダンスパーテイで知り合った女性と結婚前提に付き合っているのだけど、一度 お前の彼女と一緒にWデイトをしないか?と、お堅い彼にしては珍しく誘いが掛かりました。当時、私の彼女もS銀行に勤めていましたが、サークルのごく一部の仲間以外には知られていませんでした。N君には知られていたようですが、しかしお互いの彼女の詳しいことまでは、話したことはありませんでした。

具体的に二人連れで会う日時や場所も決まり、私も彼女も少し緊張しながら、待ち合わせ場所の松坂屋近くで、明るい洒落た清潔な感じのする喫茶店に向かいました。

我々より少し早く来ていたらしいN君と彼女が、立ち上がって にこやかに迎えてくれましたが・・・
N君の彼女と私の彼女が お互いに見合った途端に、「えー! Y子さん M子さん!」と、手を取り合って笑いころげるではありませんか?
我々二人は、ただ呆気にとられて ぽかーん?としているばかり・・・
何のことはない。偶然にもN子さんとM子さんは、高校時代のクラスメイト! お互いにクラスでも上位を争ったライバル同士だったのだそうです。
この後の歓談は、推して知るべし。楽しい夕食を済ませてお互いに緊張どころか、大笑いをしながらスキップしながら帰りました。

それから、1年後に彼らは幸せな結婚をしましたが、私は「チャペルの鐘」で、コメントしたような結果となりました。 しかし、その2年後に巡り合った 気だての優しい明るい今の「かーちゃん」と、幸せな生涯を送らせて頂いております。(o^-^o)   これでよかったのですね。

その後 N君も大阪転勤となり、箕面でパソコン教室を経営していますが、 今だに二人の腐れ縁は、切れることもなく 続いております。

投稿: あこがれ | 2018年2月20日 (火) 19時03分

大事なこと?を 忘れていました。

N君は、私達の結婚式の司会をやってくれました。
当然、余計なことは言いませんでした。

投稿: あこがれ | 2018年2月20日 (火) 19時14分


あこがれさま

 またまた 小さな喫茶店 に行ってきました

 北大路を 西から 賀茂川を渡り 約二百メーター
 ばかり行った大路の南に面した 優しいお店です

 内装は 白を基調として  すごく落ち着けました

 二階は 大きく リビングようの部屋 (パーティができそう) 
   となっており それも 白が基調で 
 上を見上げると 古民家で使い古され 黒光りした 
   数本の梁が アクセントとなり 印象づけられます

 コーヒーは 開店初期のメニューで

  トラジャコーヒー をのませていただけました
 ケーキも 手の込んだ  おいしいものです

 こじんまりとして  優しい センスある お店に
  感動して帰ってきました

 だれが こんな店考えれるの??
   なんて 考えてしまいます

 普段は 連休など 出ることはないのですが
  今年は  いろいろ 変わったことをしました
  この 小さな喫茶店を含め  盛り沢山な休みでした

投稿: 能勢の赤ひげ | 2018年5月 6日 (日) 21時49分

能勢の赤ひげ 様

素敵なcafeで、寛いでこられましたね。
普段は、真っ正面から患者と向き合い神経をすり減らしておられる赤ひげ先生ですから、時々は ゆったりした雰囲気のなかに身をおいて、香りゆたかなコーヒーを頂きながら至福の時間を過ごすことは、寧ろ大事なことでしょうね。
北大路通りを西へ、賀茂川の橋を渡りきった府立植物園の向かい辺りでしょうか? 又近くに行った時、寄ってみたいですね。

京都も、春の声を聞くと同時に 色々と活気づいてきます 下鴨神社の流鏑馬神事・上賀茂神社の競馬会神事・葵祭・車折神社の三船祭 等々、伝統の祭事神事が目白押しで、京都の風物詩を味わう絶好のシーズンですが、ここのところ なかなか思い通りに行動できずに終わってしまったものが大半です。 年ですかね~?

cafe我楽久多・イノダ清水店・進々堂・六曜社珈琲店 等々 りんご様にも教えて頂いて廻ってみたいですね。

投稿: あこがれ | 2018年5月 7日 (月) 13時50分

私が、日頃聴いている「小さな喫茶店」は、中野忠晴さんの歌声によるものです。何故か懐かしく、歌詞(日本語)は諳んじて歌えます。

やはり、一番心に響くフレーズは、末尾の、♪二人はただ黙って    向き合っていたっけね♪のところです。
戦前の我が国なら、ともかく、戦前のドイツでもこのようなシャイなデート風景が見られたのだろうか、と想像を巡らせています。
そして、♪お茶とお菓子を前にして(Bei Kuchen und Tee)…♪から、その頃、喫茶店では、コーヒーより紅茶(tee)が好まれていたのだろうか、などと詰まらないことを思ったりしています。

ついでながら、中野忠晴さんの明るく楽しい歌声では、♪山の人気者 それはミルク屋 朝から夜まで 唄をふりまく…♪の「山の人気者」(L.Sarony 作詞・作曲、本牧二郎 訳詞、中野忠晴とコロンビア・リズム・ボーイズ 唄 S8)や、♪雲と一緒に 山を越え 心もかるく 身もかるく…♪の「バンジョーで歌えば」(藤浦洸 作詞、服部良一 作詞、中野忠晴 唄 S13)も、お気に入りです。
なお、中野忠晴さんは、作曲家活動もなされ、ともに、矢野亮 作詞・中野忠晴 作曲で、松島詩子さんが歌う、「マロニエの並木路」(S28)、「喫茶店の片隅で」(S30)は、詩情溢れる歌詞、明るく美しいメロディで、私の心を捉えています。

投稿: yasushi | 2020年4月17日 (金) 15時56分

 あこがれさま

   こんばんは

  この逼塞した コロナ禍のなか
  京都中心の読書 映画の名作を見られたりして
   時間を過ごされておられる由 お気持ち察せられます

  ひと  もの  かね
   が止まったかのような 昨今
  仕事が暇な分 余計なことが目につきます

  以前にも書きましたが アメーバのように気持ち悪い
  汚らしい灰色の雲が頭のすぐ上を覆っているようで
  なかなか深呼吸も儘ならない状態なうえ

  またまた 桜を見る会 コロナでの右往左往
   あ?のマスク 休業に対する施策 
     みてて恥ずかしいですね  
   マスクを勧めた官僚は N高校からT大の関西弁を使う忖度人間だとか  
      何をか言わん というところです

  小さな静かな喫茶店で 芳醇なコーヒーをいただきながら 
    頭を冷やしたいものですが 

    北大路の小さな喫茶店もお休み
      芦屋の小さな喫茶店もお休み
    
 さてさて 芦屋の小さな喫茶店のサントスニブラを
    たてながら  これからの行く末を
        考えてみましょうか
  
   

投稿: 能勢の赤ひげ | 2020年4月28日 (火) 22時55分

コロナ騒動で日常が閉塞されてしまっています。ふっとこの歌が耳に入って「ああ、小さな明るい喫茶店で友人とコーヒーを飲みながら、若い日の恋の話をしたいなあ・・」と思っただけで楽しくなりました。黙って静かにコーヒーを飲んだ事はなかったけれど、何人の青年にコーヒーを奢らせたかなあ、なんて考えると少し心が浮き立ちますね。生きる事の厳しさを教えてくれた青年、愛を告白してくれた青年、コーヒー代が無かった青年、わずか4,5年の青春時代に私の人生の半分が込められていたように思います。最近は喫茶店そのものを見かけることがなくなりました。今、喫茶店のコーヒーの湯気の向こうに座っている青年は・・・と考えると少し若やいだ気分に浸れます。青春てなんて素敵な時代だった事か、夢の中の様な気がします。

投稿: ハコベの花 | 2020年4月30日 (木) 23時08分

リタイヤして約20年、ここのところ、街に出かける用事もなく、よって、喫茶店に入る機会もありませんが、歌の世界で、ときどき『小さな喫茶店』を訪ねております。
最近出合ったのは、浜田真理子さんが歌う『小さな喫茶店』で、お気に入りです。彼女の歌う歌では、『港が見える丘』、『白い船のいる港』、『ラスト・ダンスは私に』なども、合わせて聴いております。
ついでながら、コーヒーは、朝食(トースト、ジュース&スープ)後に、小さめのカップ一杯を嗜むのが、最近の私のスタイルです。

投稿: yasushi | 2024年5月26日 (日) 14時39分

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