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2007年9月12日 (水)

フニクリ・フニクラ

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞:Peppino Turco、作曲:Luigi Denza
日本語詞:青木爽・清野協

1 赤い火を吹くあの山へ
  登ろう 登ろう
  そこは地獄の釜の中
  のぞこう のぞこう
  登山電車が出来たので
  誰でも登れる
  流れる煙は招くよ
  みんなを みんなを
  行こう行こう 火の山へ
  行こう行こう 火の山へ
  フニクリ・フニクラ フニクリ・フニクラ
  誰ものる フニクリ・フニクラ
  行こう行こう 火の山へ
  行こう行こう 火の山へ
  フニクリ・フニクラ フニクリ・フニクラ
  誰ものる フニクリ・フニクラ

2 暗い夜空に赤々と
  見えるよ 見えるよ
  あれは火の山ヴェスヴィアス
  火の山 火の山
  登山電車が降りてくる
  ふもとへ ふもとへ
  燃える炎は空に映え
  かがやく かがやく
  行こう行こう 火の山へ
  行こう行こう 火の山へ
  フニクリ・フニクラ フニクリ・フニクラ
  誰ものる フニクリ・フニクラ
  行こう行こう 火の山へ
  行こう行こう 火の山へ
  フニクリ・フニクラ フニクリ・フニクラ
  誰ものる フニクリ・フニクラ

《蛇足》 1880年、イタリア西海岸の観光名所ヴェスヴィオ火山(上の写真)にフニコラーレ(funicolare=ケーブルカー)が開設されました。開通式は同年6月6日、営業開始は4日後の6月10日。
 ヴェスヴィオはヨーロッパ大陸唯一の活火山で、ナポリの東12kmに位置しています。フニコラーレは、この山の中腹
(標高791m地点)から火口の縁(標高1181m)までの急斜面に敷設されました。

 この開通を記念して作られたのが、『フニクリ・フニクラ』です。ルイージ・デンツァ(Luigi Denza)による曲が先にできて、それにペッピーノ・トゥルコ(Peppino Turco)が詞をつけました。
 原詞はなまりが非常に強いことで知られるナポリ方言で書かれています。funiculàはfunìcolo(ケーブル)のナポリ方言で、funiculìはその複数形

 この歌をピエディグロッタ・フェスタの音楽祭(『サンタ・ルチア』参照)で発表したところ、大評判となり、その楽譜は1年で100万部売れたそうです。当然、乗客の大幅増加に貢献したはずで、その意味で世界で最初のCMソングといわれています。

 1903年には、麓からフニコラーレの起点まで電車が通じ、火山見物がよりしやすくなりました。しかし、1944年の噴火でフニコラーレが破壊され、営業は中止になりました。
 1953年にチェアリフトが敷設され、1984年まで運行しましたが、不採算などの理由で撤去。現在は、別ルートで標高1000メートル付近まで車道が建設され、それより先は徒歩で登山することになっています。9828502_orig_4

 右の写真は初期のフニコラーレです。

 ヴェスヴィオは古称ウェスウィウス(Vesuvius)で、英語名ヴェスヴィアスはここから出ました。厳密には外輪山のソンマ(Somma=標高1132m)と中央丘である狭義のヴェスヴィオ(Vesuvio=標高1281m)から構成されており、ソンマ・ヴェスヴィオと呼ばれています。

 AD79年8月24日に大噴火し、大量の軽石や火山灰で南東山麓の町ポンペイを埋没させ、さらに噴火後に発生した火山泥流が西麓の町ヘルクラネウム(現在のエルコラーノ)を埋没させたことはよく知られています。
 現在、両市街とも発掘が進み、当時の生活状況が再現されています。

    Funiculì, Funiculà

1. Aissera, oje Nanniné, me ne sagliette,
   tu saje addó, tu saje addó
   Addó 'stu core 'ngrato cchiù dispietto
   farme nun pò! Farme nun pò!
   Addó lu fuoco coce, ma se fuje
   te lassa sta! Te lassa sta!
   E nun te corre appriesso, nun te struje
   sulo a guardà, sulo a guardà.
       (Coro)
       Jammo, jammo 'ncoppa, jammo jà,
       Jammo, jammo 'ncoppa, jammo jà,
        funiculì, funiculà, funiculì, funiculà,
        'ncoppa, jammo jà, funiculì, funiculà!

2. Se n'è sagliuta, oje né, se n'è sagliuta,
   la capa già! La capa già!
   È gghiuta, po' è turnata, po' è venuta,
   sta sempe ccà! Sta sempe ccà!
   La capa vota, vota, attuorno, attuorno,
   attuorno a tte! Attuorno a tte!
   Stu core canta sempe nu taluorno:
   Sposamme, oje né! Sposamme, oje né!
      (Coro)
       Jammo, jammo 'ncoppa, jammo jà,
       Jammo, jammo 'ncoppa, jammo jà,
        funiculì, funiculà, funiculì, funiculà,
        'ncoppa, jammo jà, funiculì, funiculà!

(二木紘三)

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コメント

CMソングの嚆矢とのこと。旅情を浮き立たせ、くすぐります。
懐かしい曲です。

投稿: 篠崎信夫 | 2007年9月12日 (水) 03時46分

カンツォーネの中でもこれだけ人口に膾炙した曲はないと思います。
替え歌の多さがそれを物語っているかと。

私は今までイタリアに二度行き、毎回ポンペイ遺跡も見ておりますが
世の東西を問わず人間のやることは同じだなと苦笑する遺跡が
あるかと思えば、2000年も前にこんなものがあったのか!と驚く
ような遺跡もあって結構楽しめます。
中でも感心したのが道路のつくりで、どこかの国の役人共に見せて
やりたいと思うほど、どんな小さな通りでも歩道と車道の区別が
ついていました。さすが古代ローマ。

今は忙しくて休暇を捻出できない状態ですが、またイタリアへ行きたいと
この曲を聴くたびに思います。

投稿: あおば | 2007年10月 3日 (水) 23時04分

この夏、なんとか休暇を捻出して、燃油サーチャージにもめげず三度目のイタリア旅行を実現しました。
もちろんヴェスヴィオス山も眺め、ポンペイにも行ってきましたし、念願の「青の洞窟」入りもできました。

ポンペイは何度行っても新しい発見があります。
(遺跡の中で郊外にあたるところに野外音楽場がありますが
あるスポットに立つと音響効果が抜群です。思わずこの歌を歌いたくなりました。)

投稿: あおば | 2008年10月12日 (日) 00時21分

20年近く前にヴェズーヴィオ(これのほうが原音に近い)山に登りました。エルコラーノ(ここにもポンペイのように火山の噴火で埋まった地区があります)からバスで1時間ほど登り、そこから歩いて登ります。歩く道は傾斜こそありますが、幅も広くて歩きやすかった記憶があります。フニコラーレ(ケーブルカーもリフトもイタリア語ではフニコラーレです)のあとが残ってました。

火口をぐるっと一周できるようになっていて、火山性のガスがところどころ出ていました。日本だったら、もっと厳密に監視していると思いますが、ヴェズーヴィオ山の場合には観光地としても5世紀ぐらいの歴史があるから、これでも大丈夫だと判断しているのでしょう。

天気が良いと、山頂からの眺めは絶景です。

投稿: 舟人 | 2018年1月 2日 (火) 17時38分

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