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2007年11月11日 (日)

ギターを持った渡り鳥

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞:西沢 爽、作曲:狛林正一、唄:小林 旭

1 赤い夕陽よ 燃えおちて
  海を流れて どこへゆく
  ギターかかえて あてもなく
  夜にまぎれて 消えてゆく
  俺と似てるよ 赤い夕陽

2 汐の匂いの する町が
  どこも俺には ふるさとさ
  ひとりぼっちの さみしさも
  ギターお前を つま弾けば
  指にからむよ 汐の匂い

3 別れ波止場の 止り木の
  夢よさよなら 渡り鳥
  俺もあの娘も 若いから
  胸の涙も すぐかわく
  風がそよぐよ 別れ波止場

《蛇足》 昭和34年(1959)10月公開の日活映画『ギターを持った渡り鳥』の主題歌。上の写真はその一場面。

 昭和34年8月に公開された『南国土佐を後にして』がペギー葉山の歌が大ヒットしたこともあって、大当たりとなり、主役の小林旭が一躍脚光を浴びました。
 そこで、日活首脳部は、この映画を原型として、小林旭を主演に据えたシリーズを立ち上げることに決めました。その第1作が『ギターを持った渡り鳥』です。

 これも大ヒットしたため、以後、『口笛が流れる港町』(昭和35年1月)、『渡り鳥いつまた帰る』(同年4月)、『赤い夕陽の渡り鳥』(同年7月)、『大草原の渡り鳥』(同年 10月)、『波涛を越える渡り鳥』(昭和36年1月)、『大海原を行く渡り鳥』(同年4月)、『渡り鳥北へ帰る』(昭和37年1月)――と計8作が立て続けにリリースされました。

 小林旭が歌う『ギターを持った渡り鳥』は、第2作を除く各作品でも、主題歌の1つとして使われました。

 第1作は、まあ普通のアクション映画でしたが、第2作から、しだいに荒唐無稽の度合いを高めていきました。ギターと拳銃を持ち、馬に乗ってさすらう主人公が、悪いヤクザに痛めつけられている牧場主やら工場主やらとその娘を助け、思いを寄せる娘を振り切って、また旅を続ける……といったふうな筋書きでした。

 日本の普通の通りを馬で歩き、町中でピストルを撃ち合っても、銃器不法所持や傷害罪で逮捕されないのですから、およそリアリティがありません。
 私はシリーズ全作も、小林旭のもう1つのシリーズ「銀座旋風児」シリーズも見ましたが、周りの頭のよい人たちは、バカにして見ようとはしませんでしたね。

 「渡り鳥」シリーズでは、主人公の滝伸次が小林旭、それに思いを寄せる娘が浅丘ルリ子、敵役(かたきやく)のガンマンが宍戸錠と決まっていました。
 それ以外は作品によって若干違いますが、悪親分は金子信雄が演じることが多かったと思います。

 私は、子分役の多かった近藤宏という役者がわりと好きでした。三下役を演じるくらいですから、風采の上がるほうではありませんが、彼が画面に出てくると、「お、また何か悪さをするぞ」とわかって、かえって安心したものです。
 「銀座旋風児」シリーズでも、よく小悪党を演じていました。

 白木マリを忘れてはいけません。日活作品ではヴァンプ役の多かった役者ですが、「渡り鳥」シリーズではよくヌードダンサーを演じていました。
 
ヌードダンスといっても、今巷やネット上に氾濫しているものに比べたら、至極おとなしいものですが、見たのが木の股を見ても興奮するような年頃でしたから、けっこう刺激を受けました。我がウィタ・セクスアリスの一隅に記録される女優の1人です。

(二木紘三)

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コメント

そうですねー、白木マリさんを思い出します。渡り鳥シリーズは高校のとき数回見た記憶があります。あの映画には必ず、キャバレーのような飲み屋の場面があって、そこで白木さんのヌードショーをやっていました。あの場面が楽しみでしたね。白木さんが寝そべって白い、肉感的な、片足を上げるシーンなんかはどきどきして見たものです。

投稿: 佐野 教信 | 2007年11月11日 (日) 13時39分

本当に懐かしいかぎりです。主人もこの歌物語の大フアンで、二人でこの曲を聴きながら《蛇足》と佐野様のコメントを読み、懐かしいやら可笑しいやらで久しぶりに大声でお腹が痛くなるほど笑いました^^私たち女性は浅丘ルリ子派と北原三枝派に分かれていました。ただ見てて楽しい娯楽作品でしたが、楽しい青春でいい時代でした!あの頃はかわいいものでした!又思わず噴出してしまいそうになりました^^

投稿: 大原女 | 2007年11月14日 (水) 22時53分

大原女さんへ
まさかレスポンスがあるとは思っていませんでした。なんかうれしくなりました。
いま思い出せばおかしな映画でしたね。だいたい、ギターを裸で背負って馬に乗るんですから。それもアコースティックギターでしょ。
ふつうならケースにいれますねー。そんでどこかの酒場で、悪い奴等を前に1曲かますって筋書きでしたね。そのあと喧嘩になりアキラが勝つ。
不思議なことに、さいしょ悪役だった宍戸ジョーがアキラの味方になる。
そんで万々歳。すっきりして帰りました。

投稿: 佐野 教信 | 2007年11月17日 (土) 22時09分

高校生の頃このシリーズは殆ど観た気がします。宍戸錠の
役どころが実に良かった。白木マリは中村主水(なかむら
もんど)の奥様でしたね。

投稿: M.U | 2008年6月19日 (木) 14時11分

小林旭もジャパニーズマリアカラスとなんか結婚せずにルリ
子と何故結ばれなかったのか不思議で成りません。誰がみたってお似合いではなかったかと思います。宍戸譲もいい息子
に恵まれて幸せそうですね。白木マリは日活の俳優と結婚
したと思いますが定かではありません。

投稿: 海道 | 2008年12月 4日 (木) 06時30分

「木の股を見ても興奮する」には私も大笑いしました。夫にも読ませたら、彼も爆笑して、「木の股を見るたび興奮していたら、外は歩けないよな」といいました。

投稿: セッちゃん | 2009年7月24日 (金) 23時12分

僕自身、ハイトーンなこともあって、「北へ」同様カラオケの定番にしています。モニターに映画のシーンが映されますが、曲同様画面にも癒されます。確かに荒唐無稽なシリーズでしたが、渡り鳥シリーズは勧善懲悪の安心感が心地よい映画でした。小学生の時に許可映画として2回ほど映画館で観ましたが、白木マリのダンスシーンのせいでしょうか、それっきり許可映画にはなりませんでした。いまでは考えられないことですが…。
それにしても、二木先生の「木の股」には笑っちゃいますね。

投稿: かせい | 2010年2月20日 (土) 11時40分

小林旭の代表、渡り鳥シリーズの第一彈。函館とその周辺を舞台にした文句なし面白く痛快な映画。いらいシリーズが始まる。全巻持っているが今もあの無国籍映画がたのしい。主題歌がヒットするから、当時の日活では完全に興行収益は石原裕次郎を抜いていた。特に渡り鳥北へ帰るは主題歌の北帰行はミリオンを記録した。浅丘ルリ子が涙を浮かべて見送る。わるい男だぜ滝真二さん。

投稿: 西園寺公彦 | 2013年10月 7日 (月) 23時51分

また駄文投稿で失礼します(カミサンに隠れてたまに昼間っから焼酎ロックあおって気分がよくなってくると、つい『うた物語』の好きな歌など聴きながら勝手に盛り上がってる今日この頃です)。
日活無国籍アクションの中でも渡り鳥シリーズは、ギター抱えてある時は馬などに跨って何で生計を立ててるんだか日本各地を気楽に旅して歩くバカバカしいほどのワンパターン活劇でしたが、小林旭宍戸錠浅丘ルリ子ファンだったので仙台日活でよく観てました。戦後十数年でしたが良き時代でした。

投稿: 焼酎百代 | 2016年5月29日 (日) 15時50分

 「無国籍映画」という言い方に、当時の映画評論家、インテリの上から目線を感じます。確かに荒唐無稽でしたが、そのどこがいけないのかと思うのです。あんな映画を見るヤツはバカだというニュアンスを「無国籍映画」の言葉に感じるのです。ノンフィクション番組の当時の小林旭のインタビューをきくと、無国籍映画という、あざ笑うような批評に対し「お客を集めるのが私たち俳優の仕事ですから」という趣旨のけなげな発言をしている。その後、現れた「マカロニウエスタン」や「スターウオーズ」や「ラストサムライ」なども国籍不明の映画だ。
彼らが推奨する正統派路線はどこに行ったのか、潰え去ったといってもいい。
考えてみれば、『ガリバー旅行記』も『東海道中膝栗毛』も荒唐無稽だ。評論家というのは庶民、大衆の心がわかってないな、と思います。

投稿: 七色仮面 | 2016年5月29日 (日) 17時00分

連投大変失礼します。荒唐無稽の国籍不明だから無国籍アクションで、上から目線とかは全くの筋違いであり、邦画全盛期の単なる一分類。
東映:時代劇(第二東映(後のニュー東映)は時代劇と現代劇)。
東宝:社長シリーズ、駅前シリーズ、怪獣もの…
大映:小説シリーズ(眠狂四郎、悪名、兵隊やくざ、陸軍中野学校…)
松竹:(小津以外は全く観ていない)
日活:無国籍アクション(渡り鳥シリーズ、流れ者シリーズ、他単品物…)
新東宝:三原葉子らグラマー女優作品群

投稿: 焼酎百代 | 2016年5月29日 (日) 17時54分

 母に若い娘は木を跨いでも妊娠するからと、行儀よく座るようによく言われたものでした。

投稿: konoha | 2017年3月12日 (日) 10時54分

二木先生解説の通り、『ギターを持った渡り鳥』以下渡り鳥シリーズの原型となった『南国土佐を後にして』も仙台日活で封切りで観たクチですが、日活無国籍アクションはワンパターン活劇でした。なお、渡り鳥シリーズは故原健三郎氏(元労相)原作が通説ですが、有権者向けパフォーマンスのため同氏の名前をクレジットに加えただけだそうです(Wikipedia)。
日活女優は浅丘ルリ子以下百花繚乱でしたが、二木先生と同じく白木マリ嬢には悩殺されました。日活男優では宮城県と縁がある宍戸錠(大阪生まれ→東京移住→宮城県白石市に疎開、地元の名門白石高校卒→日大演劇科中退)のファンで、錠の自宅が火災で焼失した後はパワーが落ちたようです。

投稿: 焼酎百代 | 2017年3月12日 (日) 15時34分

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