贈る言葉
(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo
1 暮れなずむ町の 光と影の中 2 夕暮れの風に 途切れたけれど これから始まる 暮らしの中で |
《蛇足》 武田鉄矢、中牟田俊男、千葉和臣の3人で構成されていたフォークグループ「海援隊」のヒット曲で、昭和54年(1979)に発表されました。
武田鉄矢は翌55年10月3日から始まったTBSの学園ドラマ『3年B組金八先生』に中学教師役で出演、これが絶妙なキャスティングで、大人気ドラマとなりました。このシリーズは長く続きました。
『贈る言葉』は、失恋の歌として作られたものですが、このドラマの主題歌として採用されました。シリーズの終わりがちょうど卒業の時期と重なったこともあって、各地の中学・高校の卒業式で歌われました。
以後、卒業ソングの定番となり、最初のシリーズから約30年経った今でも、卒業ソングについてアンケートをとると、いつも上位にランキングされます。 昭和55年(1980)のレコード大賞作詞賞を受賞しています。
確かに、卒業ソングとして歌っても違和感はありませんが、歌詞を読むと、やはり失恋の歌です。
いつ世も失恋はつらく悲しいものですが、この歌詞には、去っていく相手を思う優しさがあふれていて、なんとなくほのぼのとした気持ちになります。
ただ、「さよなら」だけでなく、いくつかの言葉を付け加えられるということは、この別れは割と余裕のある別れ方だという解釈もできます。
どんな別れかによっては、何か付け加えようとしても、思いが乱れて「さよなら」のひと言を絞り出すように言うのが精一杯という場合もあります。
また、「さよなら」のひと言に万感の思いを込めて言う場合もあります。何十語を使っても表現しきれないその思いを相手が感じ取ってくれるかどうかは、それまでどんなつきあい方をしてきたかによりますが。
(二木紘三)
« 街のサンドイッチマン | トップページ | 夜汽車 »
コメント
今までの半世紀の人生の中で、何人の人達に出会ったことか、「ほんじゃ、また」と別れたまま永遠の別離になりそうな人達がなんと多いことか。。。。少しばかりさびしいですね。
投稿: 本田雅生 | 2009年6月27日 (土) 22時12分
情感に溢れたいい歌です。失恋の歌だそうですが、そんなのでは、もったいないです。
投稿: 羽田光利 | 2011年6月20日 (月) 21時53分
この「贈る言葉」は、去って行ってしまう恋人に向けられた、男性のせめてもの思いを込めた言葉だと思います。「さよなら」の一言では言い尽くせない、二人の暮らしがあったはず…。でももう元に戻る事は無い決定的な別離。明日からは僕の知らない誰かが、あなたのことを愛してくれるにちがいないけど、僕以上に深く愛したヤツはいないと思ってるよ…。失恋の場面では、去り行く者は美しく、残される者は概して惨めな様相になりがちだけど、この歌はそれとは一寸違う感じ。 余談ですが、作曲の千葉和臣さんは、とある時ビクター・ヤングの「エデンの東」が流れて来て、「暮れなずむ町の〜」を、唄いだしのヒントにしたそうです。卒ソンにとらわれずに歌って欲しいものです。
投稿: かせい | 2011年10月26日 (水) 00時33分
武田鉄矢さん本人が、かなり昔にテレビ番組に出演した時に語っていたことです。
武田鉄矢さんは、福岡の繁華街の天神で当時交際していた女性と会っていました。その時の会話です。
鉄矢さん「俺を捨てんどいて(捨てないで)」女性「女々しかー」
女性の手を握ろうとするも、その手は振り払われ「大きい声出すよ」と言われます。
これはもう駄目だと悟ったそうです。
そして、人込みの中を見え隠れしながら去って行く女性の後姿を見送った、という経験が元になっているそうです。
「人は悲しみが多いほど 人には優しくできるのだから」
心にしみる歌詞だと思うと同時に、自分もそうありたいと思います。
投稿: 12月の旅人 | 2024年4月23日 (火) 19時31分