« シューベルトのセレナーデ | トップページ | 二人の世界 »

2008年11月12日 (水)

東京流れもの

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞:永井ひろし、作曲:不詳、
編曲:桜田誠一、唄:竹越ひろ子

1 流れ流れて 東京を
  そぞろ歩きは 軟派でも
  心にゃ硬派の 血が通う
  花の一匹 人生だ
  ああ 東京流れもの

2 夜の暗さに はぐれても
  若い一途(いちず)な 純情は
  後生(ごしょう)大事に 抱いて行く
  浪花節だよ 人生は
  ああ 東京流れもの

3 曲りくねった 道だって
  こうと決めたら まっすぐに
  嘘とお世辞の 御時世にゃ
  いてもいいだろ こんな奴
  ああ 東京流れもの

《蛇足》 昭和40年(1965)に竹越ひろ子が迫力のある声で歌いました。
 この歌には原曲があるようですが、どんな歌だったかはわかりません。

 翌昭和41年(1966)、日活で映画化されました(写真)。渡哲也、松原智恵子、二谷英明、川地民夫らの出演で、監督は鈴木清順。

 昭和40年は私が大学をシブシブ卒業した年です。このあたりから学生反乱が始まり、それと重ね合わせるようにヤクザ映画に熱狂する若者たちが増え、アングラ劇団の活動が注目されるようになりました。
 コリン・ウィルソンのいうアウトサイダーたちが元気だった時代でした。

 しかし、いっとき輝いて見えたアウトサイダーたちも、世の中に認められたり、逆に自分の限界を悟ったりしたとき、次々とインサイダーに変わっていきました。
 生涯牙をむき続けるのは、よっぽどの馬鹿か、本物のアウトサイダーでしょう。

 この歌は唐獅子牡丹』や圭子の夢は夜ひらく』などとともに、そうした土壌から咲いたあだ花の1つだったといってよいでしょう。

 硬派・軟派はもともと、戦前おもに学生の間で使われたことばです。
 硬派は女性に関心がないかのように装い、天下国家を論じたり、腕力をひけらかすなど、ことさら男らしさを強調するようなタイプで、旧制高校生の間では蛮カラともいいました。

 いっぽう、軟派は女性と交際したり、服装や髪型を気にかけたりするタイプを指しました。不良と呼ばれたのは、たいていこちらのタイプでした。たまには硬派の不良というのもいましたが。

 それがいつからか、硬派は強硬派、軟派は穏健派という意味で使われるようになりました。
 さらに今では、硬派ということばはあまり使われなくなり、軟派は、ガールハント(死語か?)を意味するカタカナ書きのサ変名詞に変わってしまいました。

 この歌では、本来の意味に近いニュアンスで使われているようです。

(二木紘三)

« シューベルトのセレナーデ | トップページ | 二人の世界 »

コメント

20才のころ流行っており、高校の同窓会で男性たちが大合唱していたのを思い出します。(ちなみに私の高校は九州の南端でした)私は「夢は夜開く」も好きでした。さらに「アカシアの雨がやむ時」は高校生のころ夢の中でも歌うほど熱中しました。

投稿: Bianca | 2008年11月14日 (金) 23時28分

頑張ってつづけて ください

投稿: 角田朝男 | 2008年11月29日 (土) 18時10分

高校の時の体育のI先生が、高校生活最後の体育の授業の締めにこの歌を歌ってくれました。
日本史の授業を『ああ玉杯に花受けて』で締めたH先生とともに思い出されます。

投稿: ☆諒 | 2010年1月13日 (水) 09時26分

49年前封切りで観た日活映画「東京流れ者」(渡哲也、松原智恵子、二谷英明…)の公開後に竹越ひろ子『東京流れもの』リリースは間違いないですが、渡哲也『東京流れ者』(作詞:川内和子、作曲:不詳)と竹越ひろ子『東京流れもの』との制作前後関係は不明です。競作と言えないこともないですが、歌詞は全く別物で、メロディも別物です。
尚、渡哲也『東京流れ者』の歌詞は以下の通りです(メロディはネット「東京流れ者―渡哲也―YouTube」参照願います)
1.何処で生きても流れ者
どうせさすらいひとり身の
明日は何処やら風に聞け
可愛いあの娘(こ)の胸に聞け
ああ東京流れ者
2.流れ果てない旅に出て
いつか忘れた東京の
泣いてくれるな夜の雨
男いのちは赤く散る
ああ東京流れ者
3.4.省略

投稿: 焼酎百代 | 2015年8月 7日 (金) 23時11分

 この歌が流行ったときは、すごい歌ができたなと思いました。高校だったか、田舎の大学だったか忘れましたが、「竹越」という名前は覚えています。私にとって東京はとても遠いところでした。今でも同じですが。歌手のドスの効いた歌い方が印象に残っています。

投稿: 今でも青春 | 2017年9月17日 (日) 15時25分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« シューベルトのセレナーデ | トップページ | 二人の世界 »