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2009年1月25日 (日)

引き潮

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞:Carl Sigman、作曲:Robert Maxwell
日本語詞:紀美歌夫、唄:Vic Damoneほか

波は寄せて 砂を愛し
沖遠く 知らぬ顔でかえる
胸に深く きみを愛す
このわたし 強く抱いて
きみやさしく くちづけ交わそう
愛のまこと 永遠(とわ)の誓い
昼も夜も 波は打てど
寄せてかえし
きょうも 海は静か

  Ebb Tide

First the tide rushes in
Plants a kiss on the shore
Then rolls out to sea
And the sea is very still once more

So I rush to your side
Like the oncoming tide
With one burning thought
Will your arms open wide

At last we're face to face
And as we kiss through an embrace
I can tell, I can feel
You are love, you are real
Really mine

In the rain, in the dark, in the sun
Like the tide at its ebb
I'm at peace in the web
Of your arms

《蛇足》 イージーリスニングの傑作の1つで、1953年に発表されました。まずフランク・チャックスフィールド楽団の演奏で、同じ年ヴィック・デイモンの唄でヒットしました。
 その後、フランク・シナトラ、ザ・プラターズ、ザ・ライチャス・ブラザーズ、マット・モンローなど多くの歌手が歌いました。

 何度か現れる似たメロディの繰り返しが、寄せては返す波を感じさせます。

 日本語詞が見つかりませんでしたが、下記コメントにあるように、mizusanからきれいな日本語詞をお知らせいただきました。

 砂浜における甘い恋の歌です。しかし、このストーリーの続きとして『砂に書いたラブレター』(1957年)を思い浮かべたら、なんだか寂しくなってしまいました。

 この世に変わらざるものはなし――恋はその最たるものの1つでしょう。ただし、短期間に燃え上がるから、喜びもそれだけ大きいのだ、という考え方もあります。そういえば、1960年代に『みじかくも美しく燃え』というスウェーデン映画がありましたね。

(二木紘三)

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コメント

私は今も時々この曲のEPレコードをかけておりますが歌ったことはありません。
発行・水星社、発売・音楽之友社、荒井基裕・編の「ポピュラー・ヴォーカル・ヒッツ」Vol.2に、“きみうたお”として譜面にある歌詞を記します。音符の下に書かれているものなのでひらがなばかりですが・・・・

   なみはよせて すなをあいし
   おきとおく しらぬかおでかえる、
   むねにふかく きみをあいす
   このわたし つよくだいて
   きみやさしく くちづけかわそう
   あいのまこと とわのちかい
   ひるもよるも なみはうてど
   よせてかえし
   きょうもうみはしずか

次のうた物語を楽しみに待っております。

投稿: mizusan | 2009年1月28日 (水) 22時29分

昔からこの曲が好きです。

とくに、クロード チアリのギターで聞くのが好きです。
CDをタイマーでリピートセットして聞きながら
眠りにつくのが私の日常です。

投稿: ロートル | 2011年5月24日 (火) 13時19分

 海の浜辺を歌ったといわれるすばらしい広大な曲ですが、まだ一度も歌を聴いた記憶がありません。
先生のおっしゃるように歌詞を見ればP・ブーンの「砂に書いたラブレター」の前編(?)のような気もします。
 
 この曲を知ったのはシル・オースティンのレパートリーの中で「ダニー・ボーイ」にメロメロになりその次にこの曲で、当時交際をしていた彼女の№ワンの「セプテンバー・ソング」と競い合ってリクエストをしたものでした。
 ウン十年後の今はCDで聴いていますが、依然として№ワンは「セプテンバー・ソング」で、テナー・サックスのサブ・トーンは世界最高だと老妻は言い張っております。

投稿: 尾谷光紀 | 2012年3月18日 (日) 23時24分

70年代にラジオからチャックス-フィールド楽団の演奏でよく流れて来ました。寄せる波と返す波の繰り返し。ちょっと気怠さも含んだメロディとリズムが少しアンニュイ的で、浜辺に寝転んでいたいような…。
この曲が50年代初頭の作品だったとは知りませんでした。私はこの曲を聴くと映画「いそしぎ」を思い出してしまいます。もちろん、ヘンリーマンシーニの秀逸なテーマ曲がありますが…。  海を奏でた作品といえば、
私に取っては、マックス・スタイナー作曲、パーシー・フェィス楽団の「夏の日の恋」ですねー。あのストリングスの軽快感、「南国の楽園」そのものです。おしなべて、海の音楽は心をいやしてくれますね–。

投稿: かせい | 2013年1月24日 (木) 00時31分

 二木先生の『蛇足』や、この曲に対する皆さまのコメントの中に登場する歌手、楽団、作曲家とその作品、そして映画は私にとって懐かしいものが多いです。いずれも全てがアナログだった時代に属しますが、ぎりぎりの美しさを追求していたと思います。映画『短くも美しく燃え』は、モーツァルトのピアノ協奏曲第21番を聞く度にその映像が思い出されます。特に、蝶を追いかける少女の姿が1発の銃声と共に静止画に変わり、2発目の銃声が響くラストシーンは今でも脳裏に焼き付いています。『引き潮』が何処の海辺をイメージしているかは知りませんが、かせい様のコメントに関連する映画"A Summer Place"(避暑地の出来事)のロケに使われたのは南カリフォリニアのカーメルの海岸です。大変美しい場所で、主題歌『夏の日の恋』と相俟って、美しい作品に仕上がっています。
 映画音楽がイージーリスニングの主役だった時代を代表する作曲家の一人は、やはりかせい様のコメントにあるヘンリー・マンシーニでしょう。私が彼の指揮する小さなコンサートに出かけたのは在米当時の1994年でしたが、既にその時彼は癌に侵されており、その年の6月に他界しました。
 私は印象として残る『美しさ』という点において、音楽にしても映像にしても最高の表現をしようという緊張感を感じる作品は1970年代までだったような気がします。

投稿: Yoshi | 2013年1月26日 (土) 10時56分

「いそしぎ」のテーマ曲をヘンリー・マンシーニと記しましたが、ジョニー・マンデルでした。お詫びして訂正します。ごめんなさい。

投稿: かせい | 2013年2月 2日 (土) 20時10分

「引き潮」は、マックススタイナーの「夏の日の恋」と共に、私にとっては一生の宝とも言うべき経験とも重なって、自分のテーマ曲と言ってもよいほどのもっとも好きな曲の一つです。

私は、中学校から大学まで東京に住んでいましたが、大学を卒業して就職した先での初任地は高知でした。そこで、ある女性と行ったのが、白砂青松の海岸が見渡す限り続く、美しいが当時は人気の全くない長浜の海岸でした。そこで、二人とも水着になり、砂浜に打ち寄せる暖かい穏やかな波の中で、長いあいだ、抱き合ったりキスを交わしたりしました。見えるのは海と空と白砂青松の海岸のみ、聞こえるのは打ち寄せる波の音だけ、という、まるで映画「地上より永遠に」で描かれたラブシーンのようですが、海岸のスケールはそれよりずっと雄大でした。彼女が現在の妻です。

作曲はハープ奏者のロバートマックスウェルで、のちに多くの楽団によって演奏されていますが、やはり一番好きなのはフランクチャックスフィールドの演奏です。
歌はライチャスブラザーズのそれしか知りませんが、歌詞はあとから書かれたようです。

私の中高生の頃は、歌といえばアメリカンポップスで、当時のヒット曲は大抵歌えます。海をテーマにした曲では、パットブーンの「砂に書いたラブレター」、アンソニーパーキンスの「月影の渚」、ビーチボーイズの「サーファーガール」なども好きで、最近までよくカラオケで歌っていました。

投稿: heron | 2016年10月31日 (月) 10時19分


 遠い地平線が消えて
 深々とした夜の闇に心を休めるとき
 遥か雲海の上を 音もなく流れ去る気流は
 限りない宇宙の営みを告げています

 という、城 達也の気品あるナレーションで始まる音楽番組
 『ジェット・ストリーム』。
 1970年、FM東京で放送開始となった伝説的ラジオ番組ですが、私はこの番組で初めて『引き潮』という曲を知りました。
 72年の夏、『海』がテーマの曲の特集となり、『太陽がいっぱい』
『さらば夏の日』『夏の日の恋』『おもいでの夏』『魅惑の宵』などの
映画音楽のあとに、この『引き潮』が流れ、まさに遠浅の浜辺を連想させる、それでいて、気怠さを感じるメロディに惹かれてしまいました。
 故郷の浜辺の汀にひとり寝そべっていて、この『引き潮』のメロディが流れて来たら、心地よい〈うたたね〉をしてしまいそうです。

投稿: かせい | 2018年10月24日 (水) 13時53分

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