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2009年2月28日 (土)

カプリ島

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞:Jimmy Kennedy、作曲:Wilhelm Grosz

日本語詞1:奥山 曖

君と逢いし南の なつかしの島カプリ
今も胸に残るは 楽し想い出の日
君のあでな姿は うるわしいバラの花よ
別れてあれど心は 今も君しのぶよ

夏もはや過ぎて み空は青し
悲しみの色に 心は沈むよ
わかれを告げし時こそ 淋し恋の終り
思いは胸に残れど 恋のカプリさらば

         (間奏)

絶えず心ひかるる 海の彼方のカプリ
夢に見るは恋しき 君の面影よ
今日も一人海辺に 来たりて君をしのぶ
今も君は住めるや 遠き海の彼方

秋の月昇り み空は澄めど
悲しみの胸に ひとみは曇るよ
想えばなぜかあまりに うすき君が情
破れし恋を抱きて 遠きカプリしのぶ
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日本語詞2:服部龍太郎

思い出の島カプリ 君と逢いし島よ
木蔭に花はかおりて あの日君と逢いし
うるわし君の姿 南のバラの花よ
今は遠く離れて はるか波の彼方

波路は揺れても 変わらぬ思い
涙にくれては 君の名を呼ぶよ
思い出の島カプリ 君と逢いし島よ
今は遠く離れて 去りにし恋の日よ
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            Isle of Capri

`t Was on the Isle of Capri that I found her
Beneath the shade of an old walnut tree
Oh, I can still see the flowers blooming round her
Where we met on the Isle of Capri

She was as sweet as a rose at the dawning
But somehow fate hadn't meant her for me
And though I sailed with the tide in the morning
Still my heart's on the Isle of Capri

Summertime was nearly over
Blue Italian sky above
I said "Lady, I'm a rover,
Can you spare a sweet word of love?"

She whispered softly "It's best not to linger"
And then as I kissed her hand I could see
She wore a lovely meatball on her finger
't Was goodbye at the Villa Capri

Summertime was nearly over
Blue Italian sky above
I said "Lady, I'm a rover,
Can you spare a fine word of love?"

She whispered softly "It's best not to linger"
And then as I kissed her hand I could see
She wore a plain golden ring on her finger
't Was goodbye on the Isle of Capri (3x)

《蛇足》 1934年発表。

 歌声喫茶というと、ロシア民謡を中心とした外国民謡か反戦歌というイメージをもたれていますが、このようなポピュラーソングもよく歌われました。

 作詞のジミー・ケネディ(Jimmy Kennedy)は、1902年7月20日、イギリスの北アイルランド生まれ。アメリカの名家・ケネディ家と同じ苗字ですが、アイルランド語ではキーネッジと発音するようです。
 『カプリ島』のほか、『国境の南』『夕日に赤い帆』『夜のセレナーデ』『ハーバー・ライト』『ポルトガルの四月』など、数多くのヒット作品があります。
 1984年4月6日没。

 ヴィルヘルム・グロース(Wilhelm Grosz)は、1894年8月11日、オーストリアのウィーン生まれ。
 指揮者・作曲家・ピアニストとしてオーストリアやドイツ各地で活躍していましたが、1934年、オーストリア・ナチス党がクーデターを起こしたため、ユダヤ人のグロースはイギリスに亡命しました。
 イギリスでは
、ヒュー・ウィリアムス(Hugh Williams)の名で作曲活動を行いました。 1938年、アメリカに移住。

 グロースはクラシックの音楽家でしたが、ポピュラーソングの作曲に手を染め、大成功を収めます。とりわけ、ジミー・ケネディとのコラボによる『カプリ島』『夕日に赤い帆』『ハーバー・ライト』は世界的な大ヒットとなりました。
 1939年12月10日、ニューヨークで没。

 カプリ島はイタリア・ナポリ湾の外れにある島。ナポリの南約30キロ、ソレント半島の突端から約6キロの場所に位置する、ヨーロッパ有数のリゾート地です。
 東京都の千代田区と同じくらいの広さで、島内各所に世界の著名人の別荘が点在しています
(写真)

 海辺の断崖が波によって浸食されてできた「青の洞窟(GrottaAzzurra)が有名。入り口が狭くて低く、小舟に乗った乗客は頭を船縁より低くしなければなりませんが、なかに入ると、青みを帯びた幻想的で広大な空間を楽しむことができます。
 アンデルセンの恋愛小説『即興詩人』の主要な舞台となったことでも知られています。

 『カプリ島』は、この島を舞台とした失恋の歌。リゾート地で始まった恋は長続きしないものと、むかしから相場が決まっています。いわゆる「ひと夏の恋」というやつですね。
 実生活からの解放感や周囲の美しい景色が、相手を実物以上のものに錯覚させてしまうからでしょう。

(二木紘三)

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コメント

待っていました!戦前の名曲。想い出いっぱい、懐かしい・・・。このような名曲をぜひ続けてお聞かせ下さい。
「夕日に赤い帆」もいいですね。その他「夜のタンゴ」
「奥様お手をどうぞ」「スペインの姫君」「ビヤ樽ポルカ」
「ラ・スパニョラ」「ら・パロマ」「オオ・ソレミオ」などなど・・・・
 お忙しい中、本当にご苦労様です。感謝、感謝です。

投稿: k.k | 2009年3月 1日 (日) 16時53分

 いい歌ですね!しかし失恋の歌だったとは・・・。
ラテンでもタンゴでも合うメロディは、どこか郷愁を呼ぶような淡いロマンさえ呼び起こしてくれるような、しかし毅然とした男の思いが伝わってくるのは私だけでしょうか?
 
 お気に入りの失恋の歌は、佐伯孝夫作詞・佐々木俊一作曲
・灰田勝彦が歌った「燦めく星座」で、特に2番の
  2.何故に流れくる 熱い涙やら
    これが若さと云うものさ 楽しいぢ(じ)ゃないか
    強い額に星の色 うつして歌は(お)うよ
    生きる命は一筋に 男のこころ
    燃える希望だ憧れだ きらめく金の星
で、この歌を聴くと遠い日の遥かなセピア色の想い出が鮮やかなカラーになって心を熱くしてくれます。

投稿: 尾谷 光紀 | 2009年3月 5日 (木) 22時14分

〔カプリ島〕懐かしい曲です。太陽が降り注ぐ明るい島をイメージする曲なので失恋の歌とは驚きました。
そういわれると海がイメージされる曲にはひと夏の恋が多いですね。〔夕日に赤い帆〕〔ハーバーライト〕ともにわが青春の曲です♪

投稿: おキヨ | 2009年3月 6日 (金) 11時28分

はるか昔、人並みにダンスを習ってみました。
タンゴあたりで見切りをつけて止めてしまいました。
タンゴになるとこの曲がかかっていましたので、今聴くと懐かしさとほろ苦さを感じます。

投稿: 周坊 | 2009年3月 6日 (金) 15時25分

作家庄野潤三の「せきれい」という小説、・・作者自身の老夫婦の生活を描いた小説ですが、何曲かハーモニカを吹く場面がでてくるのですが、最後の曲として、この「カプリ島」という曲が演奏され、奥様がそれにあわせて歌をうたうという・・設定・・。一体どんな曲なのかと思い・・探していたらここのHPに出会いました・・。実際どこかで聴いた有名な曲でした!・・奥様は、この曲を聴くと、波打ち際をピンクのやどかりが4匹走るのがみえるという・とのこと。・・楽しい話・・。ここのHP、・・まだ数曲しか聴いていませんが、私にとって掘り出し物なるような曲がいっぱいでてくるような予感がしています。・・いいHPみつけました!・・感謝!

投稿: Judy | 2009年9月 3日 (木) 22時34分

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

投稿: 投資の勉強 | 2012年11月11日 (日) 04時27分

ありがとうございます。いい曲ですね。メロディが何か郷愁を誘います…
ところで、このメロディは小津安次郎監督の『秋刀魚の味』で佐田啓二と吉田義雄がトンカツ屋さんでトンカツを食べるシーンのBGMに大変似てますが、このメロディがモチーフに採用されたのでしょうか?小津映画ファンの私としては大変興味深いです。

投稿: 小野 啓生 | 2013年7月 6日 (土) 05時54分

 おはようございます。このブログは歌謡曲だけと思っていましたら、このページがみつかりました。
 「カプリ島」行ったことはもちろんありません。高校生のとき初めてラジオから流れてくる珍しいメロディに心を奪われました。心が踊る感じでした。
 そうですか、失恋の歌ですか。これ以後歌謡曲と軽音楽?に魅力を感じています。もし、この曲がなければ先生にリクエストするつもりでした。

投稿: 今でも青春 | 2014年6月29日 (日) 09時23分

 この歌にある島がアンデルセン『即興詩人』の舞台とは思いもしませんでした。中1の頃だと思いますが、森鴎外の翻訳で読みました。物語の内容は全く覚えていませんが、当時、即興詩人って「なんて自由でいいんだろう」と憧れたことだけをおぼえています。
 またこの歌はよく歌いましたが、曲名の記憶がありませんでした。まさかナポリ湾にある島とは驚きです。

投稿: konoha | 2017年2月25日 (土) 21時15分

この歌のリズムを聞いてると 思わず
        体が左右に動いてしまいます♪♪

  いい曲を有難うございます。

海辺の断崖が波によって浸食されてできた「青の洞窟(GrottaAzzurra)」が有名なイタリア・ナポリ湾の外れにある島「カプリ島」の歌だそうで少し賢くなりました。

また アンデルセンの恋愛小説『即興詩人』の主要な舞台となった島だということを知り 私の心の中で「カプリ島」との距離が近くなってきました。

全く別人ですが ロスアンジェルス オリンピックの女子マラソンでフラフラになってゴールインした アンデルセン選手を覚えていらっしゃる方いらっしゃいますか?

あのアンデルセン選手は現在アメリカに住み、古希を超えました。東京オリンピックの時に彼女は日本にくるかもしれません。
ひょんなことで彼女が我が家にホームスティしたことがご縁で 今も交流を続けています。

投稿: けん | 2017年2月26日 (日) 09時05分

 25日にコメントした内容の追記です。曲とは離れてしまいますが、お許しください。
 さて、なぜ『即興詩人』の内容を覚えていなかったのか考えてみました。手元に昔読んだ本があればよいのですが、今はありません。

 『阿部一族』『山椒大夫』『雁』『高瀬舟』『イタ・セクスアリス』(イの異体字がありませんのでご容赦を)そして『即興詩人』を読み、『高瀬舟』は読後、胸に残りました。このうち自分の中に入っていない作品がもう一つ『イタ・セクスアリス』があります。

 パソコンで検索してみました。「鴎外が行なっていた翻訳は単なる西洋文学の紹介ではなく、文学作品を通じて文化の翻訳(異文化の翻訳)でした」(長島要一『即興詩人とイタリア ー森鴎外とアンデルセンー』より抜粋)

 鴎外は主人公を鴎外自身に変えていて鴎外のイタリアであって、原作からかけ離れた鴎外の新しい即興詩人の作品が書き上げられたのです。そのためアンデルセンの即興詩人は鴎外自身になってしまったそうです。この作品は雅文体(擬古文)で書かれています。

 私は読んでいませんが『舞姫』は鴎外の自伝作品でこれも雅文体で書かれています。それを考えるとまた『イタ・セクスアリス』も鴎外自身の問題だけに雅文体で書かれてあったかも知れません。ですから『イタ・セクスアリス』も読みながらも記憶に留められなかったのかも知れません。中学生だった私には内容を理解することが出来なかったのですね。

投稿: konoha | 2017年2月27日 (月) 11時06分

明るく軽快な「カプリ島」は、若い頃からお馴染みで、特にビリー・ヴォーン楽団の演奏によるものがお気に入りです。
  そして、十数年前に家内とともに当地訪問し、愉快なハップニングを体験したのを機に、”カプリ島”は、より身近な、懐かしい存在になりました。
  私たちイタリア・ツアの一行は、その年の10月下旬に北部のミラノに降り立ち、以降、ヴェローナ、シエナ、ヴェネツィア、フィレンツェと南下し、最終地ローマから、日帰りバス・ツアで、ナポリ/カプリ島へ行きました。幸い、天気も良く、”青の洞窟”も見物もでき、その後、島の中央部のアナ・カプリに着きました。私も家内も石川県出身ですが(今は関西に在住)、この頃には、同じ北陸出身ということで、同行の富山県からの女性二人連れとも仲良くなり、テーブルに同席して昼食を摂ることになりました。料理はリゾット(いわば、雑炊)で、ウェイターが皿に盛る分量を各人に確認しながら、給仕していました。北陸では、”沢山”のことを“たんと”と言いますが、偶然にも、イタリア語でも”tanto”ということが分かりました。そして、いよいよ順番が回ってきたとき、私たち全員が、ふざけて、”たんと、たんと”と言ったら、ウェイターがわざと少量盛ったりして、ウェイターとともに大笑いをして、その場が和みました。

投稿: yasushi | 2018年2月20日 (火) 16時19分

 この歌には、思い出があります。高校生のころ確か当地のラジオでリクエストが始まったばかりで、突然ラジオからこの軽快な曲が流れて思わず体が動いたものです。それまではいわゆる「俗曲」と言われていた歌が主流でした。そこにこの歌が流れてはじめて外国の歌に親近感を持ったのです。
 中学校で洋楽を習ったのにどうしてこういう気持ちになったのでしょうか。
 民放が流れたのが、小学校3,4年のころです。

投稿: 今でも青春 | 2018年2月20日 (火) 18時01分

NHKの街歩きの番組で、カプリ島をやってました。
それで、昔、子供の頃に歌ったカプリ島の歌を懐かしく思い出し、
歌おうとしたら、歌詞が思い出せなくて・・・。
いつもお世話になっている二木さんのサイトを探しましたが、ここの歌詞はちょっと違うようで・・
最初の部分は忘れてしまって、わからないのですが、途中に
・・・緑に映える島よ
花の香豊かにかおる夢の島よカプリ・・・
この歌詞が入ります。
どなたかご存知の方はいらっしゃらないでしょうか?

投稿: 辻本ユカ | 2021年8月17日 (火) 21時26分

投稿: なち | 2021年8月18日 (水) 03時01分

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