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作詞:アドルフ・ハイドュク、作曲:アントニン・ドヴォルザーク
(日本語詞1:山川啓介) ルルール ルルール ルルール ルルール ルルール ルー ママ あなたが涙で 口ずさんだこの歌 わたしも教えます 今わが子に ルルール ルルール ルルー 涙ぐんで思う 過ぎた日々のやさしさ ありがとう ママ この歌を この命を
(日本語詞2:堀内敬三) 母がわたしに この歌を 教えてくれた 昔の日 母は涙を 浮かべていた
今は私が この歌を 子どもに教える ときとなり 私の目から 涙があふれ落ちる
(チェコ語原詩) Když mne stará matka zpívat, zpívat učívala, podivno, že často, často slzívala. A ted' také pláčem snědé líce mučim, Když vigánské děti hrát a zpívat učim!
(ドイツ語詞) Als die alte Mutter mich noch lehrte singen, Sonderbar, daß Tränen ihr am Auge hingen. Jetzt die braunen Wangen netzen mir die Zähren, Wenn ich will die Kinder Sang und Spielen lehren! |
《蛇足》 7曲から成る歌曲集『ジプシーの歌』(Op.55)の4曲目の作品。
チェコの詩人アドルフ・ハイドュクの詩に感銘を受けたドヴォルザークが、自らドイツ語に訳し、曲をつけたもの。1880年発表。
日本語詞、とくに堀内敬三の詞は、原詩の内容をほぼ忠実になぞっています。単純な歌詞、単純なメロディながら、母娘の情愛がしみじみと感じられる美しい作品です。
ことしもまた母の日が来ます。私は亡き母に、心の中で一輪の草の花を捧げます。ごく幼かったころに、そんな場面があったような気がして。
(二木紘三)
コメント
なぜ子供は、特に男は母親を絶対的に美化して思慕するのでしょう。客観的に見て若い女性やおばさんには欠点もたくさんあるのに、ほとんどの人が、離れるほどおかあさんが恋しくなるのは何故でしょう。
二木先生の母上は文学的素養がおありだったようですね。明治生まれの私の母は、若い頃は「ああ野麦峠」のように長野の製糸工場で働いたこともあるようですが、その頃覚えた「金剛石」(昭憲皇太后)(金剛石も磨かずば 玉の光はそわざらん 人も学びてのちにこそ まことの徳はあらわるれ…)や、仏教の教えをわかりやすく、当時流行の節をつけて歌った「和讃」などを子供たちに歌って聞かせてくれました。晩年は漢字を忘れたから頭の体操のためにも勉強するんだと言って、ノートに鉛筆をなめながらびっしりと漢字や道歌を書いたり、短歌、俳句も時々自分で作って書き留めていました。私は形見にそのノートをもらいましたが、暫くはそのノートを見ると涙が溢れて仕様がありませんでした。
投稿: 吟二 | 2009年5月 6日 (水) 17時18分
私は母を亡くしたばかりです。先生の終わりの3行はたまりません。涙が止まりません。
投稿: セツ子 | 2009年5月 6日 (水) 23時54分
昔からこの歌は知っていましたが、今改めて聴くとなんとも美しいメロディーですね。母親の愛情の深さを感じさせる、気品溢れる珠玉の曲です。
投稿: 三瓶 | 2009年5月10日 (日) 16時27分
1歳9か月の孫(男の子)を連れて、近くの公園に行きました。孫はタンポポの花を見つけると、トコトコ走っていって一輪つみ取ると、私のところへ戻ってきて、「ハイ、どうじょ」といって渡してくれました。そのとき私は、あれッ、この場面は確か二木ブログで読んだことがあるぞ、と思って、家に帰ってから、このサイトを開いてみると、この歌でした。私も1歳か2歳頃、母にこんなことをしたことがあったかもしれません。覚えてはいませんけれども。
投稿: アカツメ草 | 2010年3月17日 (水) 22時26分
私が主宰している「名曲を歌おう!」の例会で、この歌を
テーマにします。
参加者は高齢なアマチュアばかり、そこで僭越ですが、
堀内敬三氏の訳を歌いやすいように改訳してみました。
二木先生のうたものがたりファンのみなさん、SOUNDCLOUDを伴奏に
以下の邦訳で歌ってみませんか?
1:は-はが/む-かしう/た--っ/てー
お‐しえて/く-れた/と--き/にー
は-は-/は-な-/み--だ/をー
浮--か/べ-て-/い---/たー
2:い-まわ/た‐しがう/た‐‐--っ/てー
我‐が子に/お‐しえる/と‐‐--き/にー
わ-た-/し-の-/目---/か-ら-
な--み/だ-が-/
あ-ふ-/れ-お-/ち‐‐--/る-ー
投稿: 「名曲を歌おう!」主宰者 | 2015年10月 6日 (火) 16時37分
昨日、横浜市旭区のホールで行われた、フェリス女学院、東京芸術大などの卒業生が集まったコンサートに行ってきた。クラシックと童謡などのアラカルト。各大学の卒業生が集まり、自分たちで企画を考え、自分たちで演奏する曲の「プログラムノート」も作成したらしいが、こういう動きは大歓迎だ。
そのコンサートで、フェリスのフラウエンコーアのメンバーでもある女性が、この歌を独唱したが、チェコ語の原詩もプログラムノートのために自分で訳したとのこと。コンサートの後、このブログのことを知らせたら、音楽関係者の間では、かなり有名で、歌のことを調べるときに使っていることがわかり、友人としてうれしかったですよ。
投稿: 沖田和海 | 2015年11月15日 (日) 12時07分
素晴らしい曲なので、すっきり歌える日本語の歌詞がほしいと思い、作りました。一番は、英語の歌詞からの訳詞です。なぜ母が涙を流すのか、もともとの詩がわからないので、いまひとつ理解できず、思い切って明るい感じの二番を作りました。そして三番は、原詩とは何の関係もないのですが、一番の涙と二番の笑顔とを織り込んでみました。
<母が教えてくれた歌>
母が教えてくれた歌 とおい昔がなつかしい
母のまぶたぬぐっても なみだのあとが
今はわが子にきかせる やさしい調べのわらべ歌
ふいに涙がにじむ 心にしみる思い出の歌を
母が語ってくれたのは とおい国のおとぎばなし
不思議な冒険楽しくて 何度もせがんで聞いた
今はわが子にきかせる 知恵と勇気のものがたり
愛の呪文で叶う願い 子供と笑顔でめぐる世界が広がる
幼い者が受け継いだ いのちの遺産に気づくのは
見果てぬ夢の途中で 立ちすくむとき
人と支えあう涙 きずなを強めあう笑顔
母の知らない世界へ 自由に高く羽ばたく翼に
投稿: 吉原修 | 2016年5月15日 (日) 21時16分