旅愁(西崎みどり)
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作詞:片桐和子、作曲:平尾昌晃、唄:西崎みどり
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《蛇足》 昭和47年(1972)9月から始まった人気TV時代劇「必殺シリーズ」の第4作目『暗闇仕留人』の主題歌。当時14歳で中学2年生だった西崎みどりが歌い、ミリオンセラーとなりました。
ミノルフォンのレーベルで徳間音楽工業から発売。
全31作のシリーズの音楽は、後期の一部の主題歌を除き、平尾昌晃が担当しました。ドラマの内容と関係ない歌詞を演歌調で歌うという仕掛けは、時代劇史上、このシリーズが初めてだったと思います。
必殺シリーズといえば、まず頭に浮かぶのは、藤田まこと演じるところの中村主水ですが、中村主水が登場するのは第2作目の『必殺仕置人』から。最初の頃は準主役だったり、ゲスト出演だったりしますが、しだいに主役を務めるようになり、"必殺の顔"といわれるようになります。
18作に出演したほか、TVのスペシャル版や舞台、映画でも何度も主水を演じました。
役所では無能とバカにされる同心、家では嫁や姑にいびられるダメ亭主、夜は凄腕の殺し屋という二面性は、藤田まことが喜劇役者だったからこそ演じられたのでしょう。
西崎みどりは、『暗闇仕留人』のほか、『必殺仕業人』『必殺仕舞人』『必殺橋掛人』の主題歌ないし挿入歌を歌っています。また、同シリーズのうち5作にゲスト出演、別の5作にレギュラー出演しています。
のちに芸名を西崎緑と変え、日本舞踊・西崎流の二代目家元を継ぎました。
ややこしいことに、まったく同じ呼称の二代目家元がいますが、両方とも多くの弟子を抱え、隆盛しているようです。
初代西崎綠は、NHKの長寿バラエティ番組『とんち教室』に柔道家の石黒敬七や漫画家の長崎抜天などとともに出演して人気がありましたが、その没後、跡目をめぐって騒動が起こったことを思い出しました。
(二木紘三)
コメント
ドラマの中で、悪徳商人と彼と結託した役人がやりたい放題やるのを視聴者が見終えた頃、主人公らが「仕置き」(あるいは「仕事」)という名の人殺しに向かう道中、この曲が流れていました。歌の題も知らず、歌詞もおぼえておらず、メロデイーだけが記憶にあります。西崎みどりさんには申し訳ないです。
申し訳ないついでに、このドラマを、私はすぐに飽きてしまって、ほとんどきちんと見たことがなかったです。お金をもらって悪人を始末するのは、水戸黄門よりは、まあ面白いと思いましたが、パターンがきまっているし、そんなに簡単に人が殺せるかなあという、抱いてはいけない疑問がたえず湧いてきましたから、あまり楽しめなかった。
それよりも。梅安役の緒方拳、念仏の鉄役の山崎努、他に田村高廣、山村聡などの出演者の顔ぶれを見ると、ああ日本映画は不振なのだな、彼らはもっといい仕事がしたかっただろうなとよけいな憶測をしてしまいました。
藤田まことは、時代劇不振の風潮の中で、役者として存在感がありました。姑に頭のあがらない昼の顔と凄腕の刺客たる夜の顔が、まるっきりちがって面白い。「蛇足」のご指摘どおりです。一種の変身譚のように思います。
1979年の映画「蘇る金狼」(大藪春彦原作)も、主人公(松田優作}が、昼はおとなしいサラリーマン、ひそかに身体を鍛えて、夜になると暴力でカタをつけて野心をとげていくという話です。共通するものを感じます。
投稿: 浮舟 | 2013年9月13日 (金) 19時01分
このドラマの中村主水のような人間が沢山独裁国家に欲しい。(無意味かもしれませんが。)役人仲間や家族から馬鹿にされても夜の世界ではたくましく生きる。その場に向かう時流れる歌謡曲だが哀愁のあったこの曲は忘れられません。
投稿: 海道 | 2013年9月16日 (月) 15時22分
何かが大きく変わらなければならないのに、世間は違った方向に蠢きはじめている。ユダヤの陰謀論だとか、コミンテルンの資金が青年将校に流れたとか。反動も保守も左右翼も親日も、背筋がしゃんとしていない。そんなときに「必殺仕掛け人」のような人たちが、ちょいと歯車を狂わせてくれれば、ごく当たり前の日常に戻れるのに。そんな期待を持たせてくれましたよ、このドラマは。
投稿: にしちゃん×2 | 2013年9月25日 (水) 06時01分
西崎みどりさんの初々しさと日本人形のような可愛らしさが印象的でした。透き通った彼女の高音の歌声にも魅せられました。
昔、私は弱虫で、今でも弱虫です。怖い人の前ではオドオド、ビクビクしてしまいます。特に、いじめやストーカーの問題には今でも敏感です。よくいじめられる方にも問題がある、とかストーカーされる方にも問題があるという風に、いじめる側やストーカーする側が擁護されることもありますが、「必殺仕置き人」は弱い者の味方です。
やくざの抗争のように刀が振り回されることもなく、行政や司法の介入もなく、悪の処刑は闇の中で誰にも気付かれずに必殺です。こんなところに多くのフアンが引き付けられたのではないでしょうか。昼間はノロマで嘲られているような私も夜このように変身できたらなぁという願望もあり、妄想も生じたものです。
しかし、もちろん、このような集まりは「テロ防止法案」の対象であることに間違いはないでしょうね。
投稿: yoko | 2017年6月 8日 (木) 23時57分
平尾昌晃はロカビリー歌手から作曲家に転身したわけですが、西崎みどり嬢が唄う本曲を始め、歌手よりもむしろ作曲家としての才能を発揮したのでないかと思う今日この頃です。なお下記「必殺仕事人」では“念仏の鉄”役の山崎努がいい味を出していました(個人的感想)。
↓GreyHound & 友miyabi HDさん提供「必殺仕事人BGM 」
http://www.youtube.com/watch?v=4LClwGgvacs
投稿: 焼酎 | 2018年7月 9日 (月) 13時09分
むこどの
って言われてネチネチといびられる役は
藤田まことさんの役じゃなくて地のようでしたねえ
奥さんの作った大借金を黙々と返済していった
藤田まことさんの地そのものが反映されていたんでしょう。
私は浮舟さんとちがって、けっこう律儀に見てましたが
あれは、殺伐たる必殺シーンが見たかったのじゃなくて
義母と嫁に馬鹿にされている中村主水に、似た境遇の
私自身の共感のためであったと記憶しております。
話の筋は、同じ時期にやってた木枯らし紋次郎の
中村敦夫のほうがずっと引き入れられて見てましたが。
投稿: 江戸ふうりん | 2018年8月12日 (日) 01時20分
西崎みどりの「旅愁」が流行っていたのは、私がちょうど二十歳の頃でしたが、この歌が気に入った私は早速レコードを買って繰り返し何度も聴きいていたその頃を想いだします!今は動画視聴が主ですが、そのレコードは今も大切に保管してあります。
必殺シリーズ第4弾「暗闇仕留人」で流れだすこの歌は、劇中内容からしても、時代劇のそれまでにはない、少女歌手西崎みどりならではの、とても新鮮な魅力とともに哀愁を感じさせてくれました。
私が西崎みどりの歌を初めて知ったのは、我が家の長男が持っていたレコードで、7才でデビューした彼女がまだ8才の頃に田端義夫と一緒に歌った「ねんねん船歌」という曲でした。私が中学生の頃に、テレビ番組で田端義夫と歌っていた幼い彼女を観た印象は、可愛くて歌の巧い女の子だなぁと思った記憶があります。
焼酎様がUPして下さった必殺シリーズ第2弾「必殺仕置人」の主役「念仏の鉄」を演じる山崎努の演技力は流石で、焼酎様の仰るとおり、彼は良い味を出していますね!
男らしい演技が光る役者さんで、彼のニヒルな笑みには凄みさえ感じさせます。
1970年に彼は東映映画・新仁義なき戦い「組長の首」で麻薬中毒ぎみの、親分の娘婿の幹部ヤクザを演じていますが、その不気味な迫力とともにその切なさ寂しさ哀れさを彼は見事に演じています。
また1993年から始まった山崎努主演作品テレビ火曜サスペンス劇場「九門法律相談所」シリーズの九門耕作も、彼の魅力がたっぷり出ており、結局私は1999年までの11作品の全作を観ました。
山崎努は現在81才になりますが、あのヒット映画作品「お葬式」や「おくりびと」で観せるコミカルな演技、またテレビ番組時代劇の「雲霧仁左衛門」で大盗賊の頭などで観せた重厚感、どの作品に於いてもその存在感には光るものがあり、私は素晴らしい役者さんだと思います。
投稿: 芳勝 | 2018年8月14日 (火) 16時42分
長崎のsitaruです。西崎みどりさんの「旅愁」が流行ったのは昭和49年(1974年)で、私は大学二年生でした。大学はまだ教養課程に属し、大学のすぐそばに下宿して通っていましたが、その頃はまだ学生運動が盛んで、下宿には毎晩のように左翼学生が、いわゆるオルグに来ていました。授業も、しばしば運動学生の妨害を受けて、授業を中断させ、クラ討(クラス討議)と称してアジ演説の場となってしまったり、時には担当教官を追い出したりしていました。そうでなくても、当時学費値上げ問題がなどで学内が騒然としており、私はそれらの渦中に居ることに耐えきれなくなり、一年の終わりに、下宿を大学からかなり離れた所に移しました。そこは、民家の一階の六畳一間の部屋で、隣の部屋に農学部の大学院生が下宿していましたが、実習等で部屋に居ないことが多く、本当に孤独な生活になりました。最初はその孤独を楽しんでいたのですが、段々淋しくなり、そこも一年で引き払い、学部の建物がある近くに引っ越しました。「旅愁」と出会ったのは、その年の秋で、レコード店のEP売り場でたまたま見つけて、すぐに購入しました。哀愁を帯びた歌声も、もちろん良かったのですが、一番惹きつけられたのは、そのEPレコードのジャケット写真でした。まだ14歳の幼い少女の姿が、あまりに可愛らしく、末っ子の私は、年甲斐もなく、「ああ、こんな妹がいたらなあ」と思っていました。ジャケット写真は、EPレコードごと机の前に立て掛け、飽きることなく見続けていました。
ところで、そんな中学生のみとりさんが歌う姿を見たいと、ずっと思い続けて、ネットでもさんざん探したのですが、歌番組に出ているみどりさんの姿をみつけることは、とうとうできませんでした。今考えると、歌番組のライヴ放送では、年齢制限があり、中学生は夜8時以降は出られないとされていたようです。それでも諦め切れず、パソコンに向かうたびにYouTubeなどで探したのですが、彼女がエンディングテーマを歌う時代劇のPV映像を見付けたに留まりました。ところが90年代の末頃に、それまでに録りためたVHSテープを整理していて、その中に、田端義夫さんの特集番組に出ているみどりさんの姿を発見して狂喜しました。その番組の中で、みとりさんはゲストとして登場し、もっと小さい8歳頃に田端さんと歌った「ねんねん船唄」を一緒に歌っていました。確かに14歳頃のみどりさんで、おかっぱの髪を肩まで伸ばしていて、本当に日本人形のような可愛らしさでした。そして、今も時々歌番組に出場して「旅愁」を歌うみどりさんに接することが出来、昔の面影を残したその歌う姿を堪能できて、大変有難いと思っています。
投稿: sitaru | 2020年8月13日 (木) 21時07分
ほぼ連日、BSで再放送中の藤田まことの「必殺シリーズ」それも最後の15分間だけを楽しんでいます。あまり褒められたことではありませんが、最後のシーンがたまらなく好きなのです。
このシリーズの最初の時、信じられないことに出会ったと思いました。あの殺伐たるドラマの主題歌を透き通った声でとうとうと歌っているのが14歳の西崎みどりと分かったことです。あの可愛い子が、ベテラン演歌歌手のようなテクニックで歌いこなすとは、ただびっくりでした。
私の歌唱力では、とても及びませんが、以来懸命に覚えようと努力しました。何度聞いても、いい曲です。
近頃、昭和歌謡のテレビ番組で、「旅愁」を歌うみどりさんの姿を見て、涙ぐみたくなるようでした。
投稿: 伊勢の茜雲 | 2023年10月16日 (月) 20時10分