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2015年3月 1日 (日)

陽気な渡り鳥

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞:和田隆夫、作曲:万城目 正、唄:美空ひばり

1 旅のつばくろ わびしいじゃないか
  君がバンジョに 山越え野越え
  歌う野末に 小花(おばな)が揺れる
  わたしゃ可愛い 渡り鳥

2 秋の七草 涙で摘めば
  露がこぼれる 旅空夜空
  遠いみ空の 父さま星よ
  わたしゃ流れの 渡り鳥

3 ちいちゃな毛布に くるまりながら
  馬車に揺られて 町から村へ
  涙隠して 笑顔で歌う
  わたしゃピエロの 渡り鳥

4 親にはぐれて 鳴く鳥さえも
  何時か優しい ねぐらに帰る
  唄を振りまき 旅から旅へ
  わたしゃ陽気な 渡り鳥

《蛇足》 昭和27年(1952)1月3日公開の松竹映画『陽気な渡り鳥』の主題歌として制作されました。この曲のようにハイテンポで快調なメロディでも、何か所かに哀調が入るという万城目作品の特徴がよく表れています。

 この時代、正月映画は、1年で最も収益が見込める映画として、各社が企画力と制作力を競ったものでした。収益第一でしたから、名画とか問題作はあまりなく、ほとんどが娯楽作品でした。
 『陽気な渡り鳥』も、松竹が満を持して送り出した娯楽作品で、佐々木康がメガフォンを取り、主演は美空ひばりで、淡島千景、桂木洋子 望月優子、堺駿二、高橋貞二、安倍徹などが脇を固めました。

 内容は、孤児の少女が旅の一座に入り、歌のうまさで人気者になり、終幕近くで戦死したと思われていた父親と再会するという、他愛のない筋書きです。この頃の美空ひばり映画と同様、彼女の人気におんぶにだっこといった作品でした

(二木紘三)

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コメント

この歌が流行った頃、私は小学校6年生でした。映画「陽気な渡り鳥」と「悲しき子鳩」は、ひばりのサーカスもので同年公開されたようですね。私はどっちだか忘れましたが一回では飽き足らず、2回も見に行きました。悲しくて涙があふれました。私もまだ子供でしたから。でも、この二つの主題歌(共に映画の題名と同じ)は、いまだにとても好きで、カラオケでも歌います。万城目正さんの作曲したものは哀愁があっていいですね。

「悲しき子鳩」もアップしていただけたら嬉しいです。

投稿: 吟二 | 2015年3月 2日 (月) 21時38分

吟二様
「北上川夜曲」吟二様のコメントに胸を打たれました。仄かな初恋の思い出を苦い思い出に変換されながらも、哀憐の情消し難い漢気が偲ばれました。男の純情というものでしょうか。

肝心のひばりのこの歌は初めて聴きました。
悪しからず

投稿: りんご | 2015年3月 2日 (月) 22時11分

 3歳の時の歌ですから、思い出など書けませんが、ひばりが大活躍した時代だったことは覚えています。
この歌詞には、いろいろ感じることがあります。
「旅のつばくろ わびしいじゃないか」
あれ、どこかで聞いたような
「旅のつばくろ 淋しかないか」(昭和8年『サーカスの唄』)とそっくり
「秋の七草 涙で摘めば」
これも
「秋の七草 色増すころよ」(昭和21年『旅役者の唄』)とそっくり
露骨なパクリのようですが、『サーカスの唄』、『旅役者の唄』の作詞者西條八十先生は、盗作の訴えもしてないようですから、泰然とした大家であります。
ついでに
「わたしゃ陽気な 渡り鳥」
陰気な渡り鳥もおかしいけど、陽気な渡り鳥もどこかヘン。
「唄を振りまき 旅から旅へ」
笑顔は降りまけても、唄は相手にじっくり聞かせるものではないでしょうか。

 娯楽作品だから中味は二の次、という安手の映画作りが始まり、大衆も安手の娯楽に飛びついていった。一つの時代の風潮、もっといえば大衆社会の到来を感じる歌です。

投稿: 越村 南 | 2015年3月 5日 (木) 15時57分

ひばりちゃんの楽曲、沢山有り過ぎて…。
知らない楽曲が、まだまだあるんですね。
映画も、見てみたいな!!
脇を固める俳優陣も、名優揃い。
歌詞の「つばくろ」も、「つばめ」より、情緒があって、好きです♪

投稿: みやこ路快速 | 2015年3月 6日 (金) 11時40分

好きでしたね、この歌!
軽快で弾むようなテンポで、辛く悲しい身の上を涙をこらえて歌で語る旅回りの芸人の娘!
涙を流しながらも感動に包まれて歌っていましたよ!
70歳を過ぎても好きで堪らない歌です!!

投稿: ゆく | 2015年4月 6日 (月) 22時06分

ゆく様

同感です。我々子どもにとってサーカスに「売られて行った子」は、厳しい親方にしごかれ、毎日体が柔らかくなるように酢を飲み、旅から旅へと流れ歩きながら離れ離れになった両親を偲び、毎夜人知れずテントのそばで泣いている、というイメージでした。主人公が自分に乗り移り、涙がぽろぽろ出てきちゃうんですよね。あの頃の純情を爺になった今も笑うことはできません

投稿: 吟二 | 2017年7月23日 (日) 19時36分

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