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2015年12月12日 (土)

荒野の果てに

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


フランス民謡/讃美歌、日本語詞:由木 康

1 荒野(あらの)の果てに 夕日は落ちて 
  妙(たえ)なる調べ 天(あめ)より響く 
  ※グロ――リア、イン エクセルシス デオ 
    グロ――リア、イン エクセルシス デオ 

2 羊を守る 野辺の牧人(まきびと)
  天なる歌を 喜び聞きぬ 
  ※(繰り返し)

3 御歌(みうた)を聞きて 羊飼いらは 
  馬槽(まぶね)に伏せる 御子(みこ)を拝みぬ 
  ※(繰り返し)

4 今日(きょう)しも御子は 生まれ給いぬ 
  よろずの民よ 勇みて歌え 
  ※(繰り返し)


(フランス語原歌詞)
Les anges dans nos campagnes

1. Les anges dans nos campagnes
   Ont entonné l’hymne des cieux;
   Et l’écho de nos montagnes
   Redit ce chant mélodieux.
   Glo――ria, in excelsis Deo,
   Glo――ria, in excelsis Deo.

2. Bergers, pour qui cette fête?
   Quel est l’objet de tous ces chant?
   Quel vainqueur, quelle conquête
   Mérite ces cris triomphants?
   Glo――ria, in excelsis Deo,
   Glo――ria, in excelsis Deo.

3. Ils annoncent la naissance
   Du Libérateur d’Israël,
   Et pleins de reconnaissance
   Chantent en ce jour solennel.
   Glo――ria, in excelsis Deo,
   Glo――ria, in excelsis Deo.

4. Bergers, loin de vos retraites
   Unissez-vous à leurs concerts
   Et que vos tendres musettes
   Fassent retentir dans les airs:
   Glo――ria, in excelsis Deo,
   Glor――ia, in excelsis Deo.

英語詞(by James Chadwick)
  Angels We Have Heard on High

1. Angel we have heard on high,
   Sweetly singing o'er the plains
   And the mountains in reply
   Echoing their joyous strains.
   Glo――ria, In Excelsis Deo
   Glo――ria, In Excelsis Deo 

2. Shepherd why this jubilee,
   Why your joyous strains prolong
   What the gladsome tidings be,
   Which inspire your heavenly song?
   Glo――ria, In Excelsis Deo
   Glo――ria, In Excelsis Deo 

3. Come to Bethlehem and see
   Him whose birth the angels sing;
   Come adore on bended knee,
   Christ the Lord the newborn King.
   Glo――ria, In Excelsis Deo
   Glo――ria, In Excelsis Deo 

4. See him in a manger laid,
   Whom the choirs of angels praise
   Mary, Joseph, lend your aid,
   While our hearts in love we raise.
   Glo――ria, In Excelsis Deo
   Glo――ria, In Excelsis Deo

《蛇足》 質朴で敬虔な羊飼いの祈りを歌った、フランスの古いキャロル。キャロルは祝い歌という意味。教会では讃美歌として歌われています。

 南仏のラングドックあたりから歌われ始めたとされ、曲には16世紀フランスのキャロルの特徴が見られるといわれています。その後、さまざまな歌詞が付け加えられて、8番以上もあるようですが、上記歌詞欄では4番までにとどめました。

 フランスでは1846年にボルドーで、1848年にパリで出版された讃美歌集に収録されたという記録があります。

 1862年にイギリスのカトリックの司教ジェイムズ・チャドウィック(James Chadwick 1813-1882)が英語に翻訳したことから、英米等でも広く歌われるようになりました。

 歌詞は、20世紀初めまで各聯最初の4行だけでした。これを劇的に変えたのは、アメリカの教会オルガン奏者だったエドワード・シップン・バーンズ(Edward Shippen Barnes 1887-1958)です。
 彼は、曲調を整えただけでなく、各聯の末尾に"Gloria, In Excelsis Deo"というラテン語の詠唱を付け加えました。
 とくに、
Gloriaを4小節分伸ばして歌うようにしたことにより、荘厳さが強調されたメロディになりました。今日世界で歌われているのは、このバーンズ版です。
 
"Gloria, In Excelsis Deo"は、「いと高きにおわす神に栄光あれ」という意味。

 日本語詞作者の由木康ゆうき・こう 1896-1985)は、日本の牧師で讃美歌作家。讃美歌『きよしこの夜』の訳者で、パスカルの研究者としても知られています。

(二木紘三)

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コメント

 美しい讃美歌です。アメリカではこの時期、街にクリスマス・キャロルが流れますが、このキャロルも良く耳にします。
 我が国でグループサウンズと言われるバンドの音楽が流行した頃の一つの頂点であったザ・タイガースのヒット曲に『君だけに愛を』という曲がありますが、この曲のシングル盤のB面に『落ち葉の物語』という曲が入っていました。当時から美しい曲だと思っていましたが、この曲を作曲したすぎやまこういちさんはこの曲のサビの“素敵な素敵な恋の物語”...という部分は『荒れ野の果て』の"Gloria, In Excelsis Deo"…の部分を引用したと、あるTVの番組で話していました。すぎやまこういちさんは同じ番組で『花の首飾り』はドーリア音階で作曲したと話していた記憶がありますが、教養と遊び心に富んだ作曲家だと思います。

投稿: Yoshi | 2015年12月13日 (日) 15時18分

20歳台に教会に行ってたころ、日曜礼拝で、この讃美歌を習ったような記憶があります。「グロリア…」以降の2行くりかえすところ、「嗚呼あゝ 神に み栄えあれ」と歌っていたように思い出します。ご存知の方がいらっしゃると思います。

投稿: 樹美 | 2015年12月13日 (日) 18時43分

カトリック系の大学に入学して、初めてのクリスマス。学内の質素な礼拝堂に響いたのが、この賛美歌でした。
大学の礼拝堂でのクリスマスミサは、その後徐々に参加者が増加。今では、礼拝堂入口前の大きな木にLEDの電飾が輝き、来場者の多さから、23日に礼拝堂横のホールでミサが開かれています。
昭和初期に建てられた古い礼拝堂。南仏で生まれたこの賛美歌が、床を壁を天井を、そして静かに祈る小さな私を、温もりと優しさで包み込んでくれた夜が、昨日のことのようです。

投稿: ピーちゃん | 2015年12月13日 (日) 21時10分

私の祖母は若い頃神戸でキリスト教系の病院に勤めていました。田舎に戻ってからは仏教徒で、「お葬式はやっぱりお寺が良い・・・、だけど教会の讃美歌はよかった。」と言っていました。病院の看護婦さんたちと一緒に歌ったそうです。
祖母が田舎で讃美歌を歌ったのを聞いたことはありませんが、「好きな歌、歌って」と催促した時は、

 ♪宮さん宮さん、お馬の前にひらひらするのはなんじゃいな、とか
 ♪箱根の山は天下のケン
などを歌いました。下手でした。

クリスマスが近づくとディケンズのクリスマスキャロルを思いだします。大学を卒業した頃、英語の小説が読めるようになりたいと思い、買い求めました。120ページほどが英文で、その後50ページほど日本語の注釈が付いていました。辞書とその注釈に首ったけで一日1~2ぺージくらい読みました。読みながらよく泣きました。読み終えるのに一年くらいかかったと思います。いま思いだし、読み返しています。単語はもう忘れているのですが、ページの余白に所狭しと記入してあるメモのおかげで再び読むことが出来ました。でもなぜか泣けなかったですね。40年以上前初めて読んだ時はよく泣いたのですが・・・
英語が読めるようになりたいという望みは結局適えられませんでした。

投稿: yoko | 2015年12月15日 (火) 10時37分

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