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2017年2月 8日 (水)

さざん花の歌

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞:寺尾智沙、作曲:田村しげる、唄:鳴海日出夫

1 さざん花は
  ひそかにも 咲いている
  霜白く
  庭の垣根に 降りた朝
  母のおもかげ しのばせて    

2 さざん花は
  あの時も 咲いていた
  幼い日
  落ち葉をたいた けむにむせ
  泪誘われ 泣いたとき

3 さざん花は
  音もなく 散っている
  たそがれに
  落ち葉を焚けば 流れゆく
  煙り哀しい 白い花

《蛇足》 数々の抒情歌を世に送り出した田村しげる・寺尾智沙の夫婦コンビによる作品の1つ。
 昭和28年
(1953)11月9日から同13日まで、鳴海日出夫の唄でNHKのラジオ歌謡として放送されました。昭和29年(1954)5月15日にレコード発売。

 鳴海日出夫は、親交のあった田村しげるの勧めでNHKのど自慢素人演芸会(現・NHKのど自慢)に出場し、全国大会で優勝、それを契機としてコロムビアに入社、プロ歌手になりました。
 豊かな声量に加えて、正統的な歌い方をするという点で、先輩歌手の伊藤久男と似ています。鈴木比呂志作詞・八洲秀章作曲による『りんどうの花咲けば』などの名曲を歌っています。

 NHKのラジオ歌謡には、タイトルに花の名前が入った曲がいくつもあります。眼についたものだけを挙げると、木の花では白梅、山査子(さんざし)、リラ、桃、合歓(ねむ)、アカシア、薔薇、野ばら、シャクナゲ、アンズ、リンゴ、ミカン、マロニエ、サザンカ、ハイビスカス、クチナシ、カラタチ、紫陽花(あじさい)など、草の花ではスミレ、鈴蘭、クローバー、昼顔、福寿草、あざみ、リンドウ、タンポポ、白百合、水仙、ダリア、浜昼顔、菜の花、アネモネなど(めんどうなので表記不統一のままで)

 近年、花の名前を詠み込んだ歌があまり聞かれなくなったのは寂しいですね。

(二木紘三)

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コメント

二木先生へ

懐かしい 大好きな「さざん花の歌」のUP 有難うございます。 この歌は、私が高校2年生の時、ラジオ中国の「ふるさとの明星」という番組で歌わせて頂いた思い出の曲です。高校の学友にばれないように中学時代の悪友(今でも続いてますが)1人に予選から録音までつきあってもらいました。あの頃は、声もよく出ていたのにな~。

投稿: あこがれ | 2017年2月 9日 (木) 13時48分

 素晴しい曲 さざん花の歌 有り難うございます
 数年前までは 全く聞いたことのなかった曲 ユーチューブで 唐突に出あいました それ以後 度々聞く曲になりました
 いつも 温かな母のふところにいだかれるような 心地よい時間がいただけます
 有り難うございました

投稿: 能勢の赤ひげ | 2017年2月 9日 (木) 17時26分

ささやかな静かな空間の中に、きれいな懐かしいものが一杯詰まっている歌ですね。白い山茶花は本当に哀しいほどに優しい花です。初恋の思い出がよみがえってきます。あの人はすれ違ったときに白い山茶花が咲いていたのを知っていたのだろうかと考えます。
今の時代、こんな詩情あふれる歌を若い人は理解できないでしょうね。人間が強ければ良いという獣に近づいて来ているようで怖いです。喧しい歌ばかりでうんざりしています。

投稿: ハコベの花 | 2017年2月15日 (水) 15時03分

 殆ど忘れそうになった名コンビのこの歌で遠いあの頃が次々浮かんできてウルルンとしました。
樹木の花では真っ先に桜・皐月(さつき)を挙げますが、"さつき" のフレーズが入っている歌は?と数年間発信していましたところ、face book で 長田幹彦作詞・中山晋平作曲「天竜下れば」をご教示いただきました。
ハコベの花さん有難うございました。市丸さんの艶やかな歌声を微かに思い出しました。
  🎶 ハァー天竜下ればヨーホホイのサッサ 飛沫がかかるヨ
    咲いたさつきに エー咲いたさつきに 虹の橋
    ホンニアレワサーノ 虹の橋  (^^♪

投稿: 尾谷光紀 | 2017年2月17日 (金) 16時47分

先輩諸氏のコメントには及びませんが・・・
実は、この曲は初めて聴きました。
♪こんなに素晴らしい曲があったのですね♪
聴くたびに温かでまろやかなメロディーが体全体にしみいるようです。
昭和28年といえば、私が中学一年生の頃を懐かしく想い出しています。
この時代はまだまだラジオ時代、子とものころから根っからの流行歌が大好きで、ラジオ・蓄音機などでよく聴いていました。
曲名までは覚えていませんが、鳴海日出夫という歌手が歌っていた曲が耳元に残っていますが、澄み切った伸びのある唄声に心をひかれたものでした。
いつもながら、二木楽団の心温まる演奏には拍手喝采です。
ありがとうございます。


投稿: 一章 | 2017年2月17日 (金) 20時17分

“手前味噌”になって恐縮ですが、わたしの郷土(新潟上越地方)出身で、NHKのど自慢(昭和20年代)に合格して歌手になった人物が二人います。ひとりが、この歌を唄った鳴海日出夫で、もうひとりが三船浩(本名 森田肖三)です。鳴海は、わたしと同じ引き揚げ者で、当時から何となく親近感をもっていました。正統的な歌い方で、藤山一郎と岡本敦郎を足して2で割ったような印象を持っています。この歌もヒットしましたが、翌年のラジオ歌謡『りんどうの花咲けば』が、よりヒットしたように思います。87歳の今でも健在で「日本ラジオ歌謡研究会」の顧問として、歌唱指導に当たっているようです。抒情歌を持ち歌としています。
 三船浩は柔道4段の猛者で、芸名の「三船」も、当時講道館の三船十段からとっています。声質は体躯に似た低音で、フランク永井よりも響くバスの魅力を持っていました。『男のブルース』がかなりヒットして紅白にも何回か出場しましたが、残念ながら20年程前に亡くなっています。

投稿: ひろし | 2017年2月20日 (月) 14時45分

二木先生こんばんは
 
 やはり いい曲には コメントが続くものですね
 
 今後も 埋もれた良い曲を ご紹介ください

 僕を含め 先生の演奏とともに蛇足に魅了された方々が 首を長くして待っております  よろしくお願いいたし ます

 ひろしさま 久しぶりのコメント有り難うございます
 どうかされたかと 少し??案じておりました  
 そうですか  鳴海日出夫さんは ひろしさまと同郷の方なのですね  清らかな美しい声で この曲にぴったりの歌い手さんです  ひろしさまは このうた物語のご意見番的な大切な方と信じております   健康に留意され びしびしとしたコメント期待しております  平和の有り難さを教えてください お願いいたします  僕も昔 逆賊足利と書いて
しかられたことがありましたね  それも なつかしいです

 ところで ひろしさまには 悲しい酒 で宿題を与えられたという感じなのですがーーー
ドバイが医療先進都市をめざして  と云う風にかかれておられましたね  先進医療というものが具体的にどのレベルの医療をさすのか  また ひろしさまがどのように理解されているのか  等等 疑問があるため 返事は書いておりません  もし よろしければ管理人さまを通じて 意見交換できればなぁ  とも考えております
 管理人さまには ご迷惑なことかもしれませんね

 私事になってしまいました 
    申し訳ありませんでした

投稿: 能勢の赤ひげ | 2017年2月20日 (月) 20時45分

山茶花の 咲きしことしも 師走かな  久保田 万太郎

年の瀬といっても、夫婦二人だけのわび住まい。昔のようにバタバタと忙しい思いをすることもなく、一人静かに名曲を聴きながら思い出の中に浸っています

この曲は、ことに思い入れの深い曲で、過ぎ去った遥かな日々のことが、まるで昨日のことのように、懐かしく鮮明に浮かんできます。高校時代 放課後の音楽室で内緒でこの曲を何度もピアノ伴奏してくれた〇〇さん、目鼻立ちのすっきりした可愛い娘だったな~。

846曲もあるラジオ歌謡の中でも、寺尾智沙・田村しげるコンビの作品は、どれもが抒情的で懐かしくて忘れられない青春の日々を思い起こさせる名曲ですね。

投稿: あこがれ | 2017年12月26日 (火) 17時08分

雪が降っている処にお住いの皆様にお見舞い申し上げます。大変だろうと思うばかりで申し訳なく思っております。
さざんかの白い花は美しい人を思い出させます。憧れでした。淑やかで誰にも優しくにっこりして挨拶をされると女性でもドキドキしました。もし私の好きな男性がこの人を愛したら私はあきらめがつくだろうと思っていました。2級上の人でしたから、今は80歳です。美しく年を取られている事と思っています。遠い日の夢、山茶花の白い花のような女性でした.この歌を聴くと思い出します。

投稿: ハコベの花 | 2017年12月26日 (火) 23時39分

中学生のころラジオ歌謡で聴いて以来心に残っていました。65年も経過してからどうしてもまた聴きたくなり音源を探していたところSPレコードを復刻したCDを見つけました。そのあとにラジオ歌謡をCD化した全集も出て、こちらにも入っています。鳴海日出夫さんは本当に聞きほれる歌手ですね。

投稿: 坂本雅昭 | 2019年1月22日 (火) 09時27分

今朝から何回もこの歌を聴いています。インフルエンザに家族4人見舞われて「予防注射のお金を返してよ」と言いたいほど大変でした。心が塞ぐ時、この歌はしみじみと気持ちを清らかに洗ってくれる歌だと思いました。冬の寒さの中で優しくやわらかに咲いている白い花、女性はかくありたいと思える花だと思います。花に相応しいメロディと詞、もっと歌わるようになるといいですね。優しい人が増えると思います。

投稿: ハコベの花 | 2019年1月23日 (水) 16時09分

「さざん花の歌」五年前、偶然にここで初めて知ったこの唄の、そのメロディが流れ出した瞬間、私は思わず胸が締め付けられるような衝動にかられたことがありました!

その時から、私は今も時折このページを開いては歌詞を見ながらそのもの悲しさ極まるようなこのメロディに聴き入るようになりました。

寺尾智沙が書いた、純情で清らかな乙女心に芽生えたであろう、その切なる悲しみと溢れる胸の思い、そんなことを感じさせるこの詩と、田村しげるがその詩に付けた、淋しさ極まるようなこのメロディをここで聴いているとき、私は19歳の時に突然のやむをえない事情で、好きなままに別れなければならなかった人、当時は二人の将来の夢をお互いに語り合ったりしていた、とても愛しかったそんな彼女の若き日の姿が、つい私の脳裏には浮かんできてしまい、哀切あるこのメロディは私の琴線を震わせます。

作詞家の寺尾智沙と作曲家の田村しげるというこの夫婦コンビは、この作品が出る三年前にあの有名な「白い花の咲く頃」という名曲を世に輩出していますが、これはあくまでも私の願望にすぎませんが、歌詞に表現されている未ださだかではないその白い花も、この唄の歌詞のように白い花びらをした山茶花であって欲しいと私は思うことがあります。

「さざん花の歌」ここで二木先生の名演奏を聴きながら、最近、私の胸の中に仄かに芽生えてくるのは、この唄もそしてあの名曲「白い花の咲く頃」この両曲は、寺尾智沙と田村しげるという固い絆で結ばれていたであろう、そんな夫婦であればこそが生んだ楽曲ではないだろうか、私はそんなことを思うようになりました。

投稿: 芳勝 | 2023年2月19日 (日) 21時24分

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