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2018年9月 5日 (水)

比叡おろし

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞・作曲:松岡正剛、唄:小室 等

1 風は山から降りてくる
  レタスのかごをかかえて
  唇はくびれていちご
  遠い夜の街を越えて来たそうな
  うちは比叡おろしですねん
  あんさんの胸を
  雪にしてしまいますえ

2 風は琵琶湖に落ちてくる
  北山杉を下に見て
  夕焼けはよそゆきマント
  光る銀の靴をはいていたそうな
  うちは比叡おろしですねん
  あんさんの胸を
  雪にしてしまいますえ

3 風は今夜も吹いている
  死んでは駄目よといいながら
  さよならは小さなみぞれ
  そっと京都の街に捨てて来たそうな
  うちは比叡おろしですねん
  あんさんの胸を
  雪にしてしまいますえ

  うちは比叡おろしですねん
  あんさんの胸を
  雪にしてしまいますえ

《蛇足》 作詞・作曲の松岡正剛(まつおか・せいごう)は、昭和19年(1944)1月、京都の呉服屋に生まれ、長じて早稲田大学文学部フランス文学科に進みました。

 しかし、4年のとき、父親が多額の負債を残して死去したため、中退して広告会社に就職。その営業活動を通じて稲垣足穂(たるほ)、寺山修司、土方巽(ひじかた・たつみ)など多くの文化人と交流を深めました。その後、情報文化等の研究者・著述家として活動を始めますが、その業績をひと言で説明するのは困難です。

 というのは、彼の研究範囲は美術から量子力学までと、ジャンルを超越して幅広く、しかも思索の深さは並大抵のものではないからです。しかし、彼は"書斎の研究者"ではなく、テレビ番組の企画構成や、美術館計画のプロデュースなども手がけています。

 その業績は多岐にわたりますが、あえて代表作を挙げると、やはり『千夜千冊』でしょう。これは平成12年(2000)2月からWebに連載したもので、簡単にいえば読書案内ですが、取り上げた本を通じて自らの思索内容を述べるというもので、各方面で話題になりました。

 連載終了後、求龍堂が書籍化を図りましたが、その際松岡は大幅に加筆補正を行い、Web版とはほとんど別物になってしまいました。7巻+別巻1冊で、各巻平均1300ページと広辞苑より厚くなったため、セット価格9万9750円という高額商品になりました。にもかかわらず、予想を超える売り上げになったそうです。 
 求龍堂は老舗の芸術出版社であるものの、編集者6、7人という小世帯。それで、よくこの大プロジェクトを成し遂げたものと感服します。

 松岡正剛についての紹介が少々長くなりましたが、この歌がそういう人物の作品であると知って聞くと、味わいがまた違ってくると思ったからです。

 創唱したのは人気フォークグループ「六文銭」のリーダー、小室等ですが、あまり評判になりませんでした。
 曲は美しく、歌いやすいのになぜだろうと考えた末、
歌詞が原因かもしれないと思い至りました。ほとんどアレゴリーで書かれた歌詞が、すぐ意味がわかる歌に慣れた人びとには取っつきにくかったのではないでしょうか。

 こういう歌詞は、意味を解釈しようとするのでなく、全体から雰囲気を感じ取ればいいのです。
 
京文化のなかで育った女性には、外見ははんなりしているのに、内面は複雑で、ときに強靱というひとがたまにいます。私は、そういう女性の片恋か失恋の歌だろうと思っていました。

 しかし、平成25年(2013)2月7日付け『日本経済新聞・関西版の連載コラム『歌ものがたり』を読んで、この歌は、男性側から歌ったものであることがわかりました。このコラムは、関西にちなんだ歌について、制作の経緯などを紹介する記事です。
 『比叡おろし』について、松岡は、大学3年のとき、
自分が味わった片恋をモチーフとして、ハーモニカを吹きながら短時間で作ったものだと語っています。

 つまり、この歌は、自分の思いが実を結ばないと悟るキーとなった、相手の女性の微妙な言葉や態度、あるいはそのときの彼女の真意を想像し、それを比喩を駆使して綴ったものだろうと思われます。
 このように比喩を使った歌詞は、振られて辛いとストレートに歌うよりも、じっくりと心に染み込んできます。

 一般にはあまり広まらなかった歌ですが、五木寛之など、長い歴史の中で育まれた京都のエトスに惹かれる人びとには大変愛されています。数は多くありませんが、ラジオの歌番組にも、ときどきリクエストがあるそうです。

 小室等のあと、小林啓子や由紀さおり・安田祥子などがカバーしています(レコード化は小林啓子が最初)
 3番の4行目を小室等は「京都の闇に」と歌っていますが、小林啓子などは「京都の街に」と歌っています。当ページでは「街」を採用しました。
 『比叡おろし』のタイトルでは、岸田智史や水森かおりも歌っていますが、別の歌です。

(二木紘三)

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コメント

こんにちは
いつもお世話になっています。

ラジオ深夜便で
京都の歌を集めて流していたとき
この歌が出てきました。

小林啓子の歌でした。
なぜかとても印象に残りました。
男女の間はわからない。

そして
そのとき 
タンポポの
嵯峨野さやさや
もありました。

次回はぜひ
嵯峨野さやさや
を取りあげてくださいますよう
お願いします。

投稿: みやもと | 2018年9月 5日 (水) 18時38分

うた物語の皆さん今晩は・・・
ところで、台風21号が四国方面から上陸し、強風と高波などよりに多大の被害が出ており、特に、関西空港での映像には目の余るものがあり愕然と致したところです。
心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興を願うばかりです。
この曲「比叡おろし」は初めて聴きましたが、こんなに素敵な歌があったんですね!
特に一番の歌詞の、風は山から降りてくる レタスのかごをかかえて・・・これ何と思いましたが、あとに続く詞の表現に感服いたしたところです。
二木先生のいつもながらの素敵なアレンジと見事なアンサンブルに暫し心を奪われ、中学時代の同級生だった彼女に対しての片想いの懐かしい想い出が瞼に浮かびました。

bonarchさん提供
http://www.youtube.com/watch?v=4QInaOc-YBM

投稿: 一章 | 2018年9月 5日 (水) 21時50分

二木 先生 へ

祇園小唄・女ひとり・京都慕情・京都の恋・京都の夜 等々 京都を舞台にした歌は、いずれもよく歌われ知られていますが、「比叡おろし」は、すっかり記憶の底に埋没していました。
久しぶりに聞かせて頂き、懐かしさで胸がいっぱいです。
たしか、「女ひとり」を思わせるような柔らかい口調の曲があったけど・・?と、それが思い出せなくて、悶々とした時間を過ごしていましたが、本当に懐かしくて 何度も聞き入っています。

小倉山の中腹から眺める比叡のなだらかな山並み、能勢の赤ひげ様には、円通寺の比叡山借景庭園を思い浮かべておられるかも・・・。

でも、そんな比叡の頂きから雪おんなが、遠い夜の町を越えて、私の胸を凍らせに・・・なんて、おどろおどろしい女の情念のようなものを感じます。

投稿: あこがれ | 2018年9月 6日 (木) 15時35分

一章様と同じく「比叡おろし」は初めて聴く歌ですが、二木先生解説を読み、早大仏文出身の松岡正剛という人物が量子力学研究とはビックリです。
ネット上の「松岡正剛の千夜千冊」に、「アインシュタインの法則によるエネルギーEを決定するような質量をア・プリオリに想定」、「電子のスピンがディラック方程式に導入されるしくみとマックスウェル方程式の相似性」(↓下記参照)など超難解な量子力学解説が目白押しで、いちおう工学部を出た元・電動工具設計屋にとっては量子力学はチンプンカンプンです。
(参考)349夜『物質と光』ルイ・ドゥ・ブロイ|松岡正剛の千夜千冊
1000ya.isis.ne.jp/0349.html

投稿: 焼酎 | 2018年9月 6日 (木) 17時18分

少年の頃物理学者を夢見たこともあり、
いつか、アインシュタインのエネルギー、質量、光の速度の法則 ”E=mc2” を理解したいと思ったこともありましたが、
結局、理科系の端くれにもなれませんでした。

その代わり、
エネルギー(Energy)= やる気(Motivation)X 集中力の二乗(Concentratioの二乗)
の法則を思いついたのですが、これも結局実行力と能力がともないませんでした。

投稿: yoko | 2018年9月 7日 (金) 06時55分

 
  あこがれさま
  
    そうですね

  比叡 というと 幡枝の円通寺が一番に
              思い浮かびます

  延暦寺  最澄  でないのが不思議です

  歴史の好きな時代 というと 奈良 平安 鎌倉 室町  となるので
  円通寺より    延暦寺  最澄 となるはず
     なのに  ??? です


   円通寺は  もう35年も前から  訪問させていただいた 
  僕個人の 経験 過去の蓄積によるからでしょうか  
   ご住職の借景を維持するための戦いを
  つぶさに 見させていただいていたからかもしれないです  
  借景のなかに  そぐわない 建物 看板  ネオン 
   などが つくられようとしたとき
  ご住職の ご苦労は大変なものだったと認識しています

  現在は 京都の制度も整備され 一安心の小康状態とはいえますが  
  何せ  この  愚者だらけ  の国ですからーーー  
     将来はどうでしょうか
       不安な部分があります

  江戸初期の後水尾上皇が営まれた幡枝離宮が 現在の
   円通寺の 基 となっているのですが 
  杉 檜の木立 を通し比叡山を望む借景式庭園
   どの季節 どんな  天候のときに行っても
   しずかにさせていただける素晴らしいお庭です


  後水尾天皇は 徳川の権力に 真正面から立ち向かった方であり 
   ありあまるエネルギーを 建築 別荘 文物
  などに向けられた稀有な天皇だったと理解しています   
   岩倉 の実相院には  
   仏教に帰依深く また学芸に造詣が深く
    能筆家で知られた後水尾天皇の 
    筆跡を よく示す墨跡 
        後水尾天皇宸翰『忍』
           がのこされています
   床みどり 床もみじで有名な実相院も 
   庭のかなたに比叡山が望まれ 


  後水尾天皇が強く 比叡を愛されていたのだと推測されます


  そうでした  比叡山そのものが開発の嵐にさらされたことがありました

  西側  幡枝 岩倉 方面から  比叡頂上を眺めると  
   頂上左  北側ですね

  山に 傷のような 緑のない茶色の土面むき出しの部位が見られます  
   心無い 開発の痕です

   信長 比叡山 焼き討ち ではないですが
  長い歴史のまにまに  ひとつの大切な自然が
    損なわれていく  
       残念なことです

   犬養孝先生が すすめておられた
  ナチュラルトラスト  肝に銘じました


  みやもとさまが  云われた

     嵯峨野さやさや

  京都を 表現する素晴らしい曲ですよね 

投稿: 能勢の赤ひげ | 2018年9月 7日 (金) 15時23分

 作った人が松岡正剛、しかも作曲まで・・あまりに意外すぎて、びっくりしました。歌詞は、素直でいい感じです。松岡氏は何か偏屈そうな人かと思っていましたが、偏見でした。
レタスやマントという横文字の言葉が、緑、赤の色彩をともなって、歌詞の中にすべりこんでいます。お見事です。
 『比叡おろし』という題名だけで、なにやらイメージがふくらんできます。関西には「伊吹おろし」「比良おろし」「六甲おろし」という言葉もありますが、「比叡おろし」には京都の文化の奥深さ、歴史の重層性というものが潜んでいるように感じます。

 『千夜千冊』はつまみ食いのように、しかし学校に通うように、時々ネットで読みますが、分析が深く手に負えないところが多いです。
淀川長治の自伝の解説が印象的でした。父の時代に家運がだんだん左前になっていくという松岡氏、淀川氏、両者の人生の共通点を感じました。あまりすぐれた読書案内を読むと、もう買わなくてもいいような気になるのが難点です。
 松岡氏がフェリーニ監督の『道』が好きだと書いていたので、同じ感性だと勝手に喜んだりしましたが、知的好奇心の裾野の広さについていけず、この人はいまひとつ、分からない人でしたが、今回<蛇足>の解説で、松岡氏の人となりがかなりわかりました。ありがとうございました。

投稿: 越村 南 | 2018年9月 7日 (金) 17時14分

 一点張りならぬ一曲張り、同じ歌ばかり毎日何度も聴くのが、わが性分です。この歌も惚れこんでしまいました。
風は山から降りてくる・・
風は琵琶湖に落ちてくる・・
思わず口ずさんでいる1番、2番の出だしの部分ですが、平易な言葉に練りに練った表現を感じます。
「うちは・・ですねん」「あんさんの・・」「・・しまいますえ」という京都弁もこの歌の魅力ですが、京都育ちの松岡氏ならではの歌詞です。京都弁は難しい。よその土地の人が使うと見破られてしまいます。
 テーマとされている女性は、雪女みたいな人ですね。昔、寄らば斬るぞという剣客がいたそうですが、私に近づいたら凍らせるわよという風情です。
そういう女性には、怖いものみたさで近づく男性も多いのではないでしょうか。松岡氏もその一人かな・・

投稿: 越村 南 | 2018年9月17日 (月) 00時32分

この歌詞は早くから知っていましたが、メロディーは知らなかったので、
うれしく聴いています。有難うございます。
以前に松岡氏の書評を、ネット上で毎日一編読むのを日課にしていた時期があり、
この歌が21歳の時の作品ということに驚いたものでした。
書評の中には、その女性の姿が、ちらっと現れたりして興味深く読んでいました。
しかしいつのころからか、ご自分の思う方向に強引に持っていくような傾向を感じて、
次第に読まなくなりましたが、この歌詞は相変わらず好きです。
私も雪女の一人なので……。

投稿: nobara | 2018年9月17日 (月) 08時52分

不思議も不思議。この一時間にこんな不思議なことが起こったのです。

私もこの比叡おろしの曲と詩が好きで今日も朝からこの曲を聴いていました。越村様のコメントに感心し私も受験浪人時代のことを思い出していました。京都の北区で毎日目の前に比叡山を見ていました。下宿先のおばさんとお婆さんは完璧な京都弁でした。京都弁は不思議ですね。最初の一声、一音が発せられる前からもう京都弁の佇まいが感ぜられるのです。これじゃマネできませんね。

そんなときなぜがパソコンの画面が突然、「わかば」の曲に移りました。なんで~?、と思いながら「わかば」の曲も好きなので楽しみながらコメントを読んでいるとnobaraさまのコメント(( 2012年5月 6日 (日))にぶつかりました。nobaraさん元気にしていらっしゃるかなぁ、今は秋だから来年の若葉の季節になったら「わかば」に投稿してみたいなぁ、でもそれまでの時間長すぎるなぁ、などもやもやとしていたのです。また、nobaraさんの佇まいって京都の女性みたいだなぁ、とも感じていたのです。

そして再び「比叡おろし」の曲に戻ってみると、nobaraさんのコメントが・・・。お元気でしたね。感激です。そしてまたまた吃驚、御自分のことを雪女だと・・・。

投稿: yoko | 2018年9月17日 (月) 10時01分

二木先生 

   こんばんは

 7日に  比叡山のことを書かせていただいて
     早速  16日の昨日 

  幡枝の円通寺からの 比叡山の眺めを楽しんで??きました

  でも 昨日は 4   5人の小学生に遭遇
     少し 落ち着かない 参観でした
     ( こどもに 会ったのは初めて )

  普段なら  数人の成人が 座敷の一番奥まったところから 
  ( 庭に面しては 廊下があり その奥が 畳敷きの座敷です  
    畳三枚分くらい奥が定位置 )
  二列の柱越しに  借景たる比叡を静かに
    眺めている図  なのですが

  昨日は  子供を含めほとんどの客が
   庭に面した廊下にすわり 足をぶらんぶらんさせての
  観覧でーーー  庭に下りた子もいて

  ひどければ  注意していたでしょうね

  文化財の保護  難しいですよね

  こういう日もあるんだ とあきらめながらの
      比叡山の眺めでした

  この 二列の柱は 軒近くのほうも 座敷の方の柱も
  その間隔が一様でないのですね
    その幅の違いの正確な理由は???です

  帰りには  受付に ご住職がすわられていたので
   少し 話させていただきました

  京都に 気になっていた 山?? 丘??があったのです

   独立した 一山で  宅地開発で 山の半分が
  崩されてしまったころ 保護運動がおこり
   業者に 山をもとにもどすようにとの行政命令が
  でたことまでは  記憶にあったのですが
   モヒカン山 (一条山) といって 円通寺近くの山でした
   しかし  山頂だけのこり あとは宅地につかわれてしまったと   
     ご住職のお話でした

  借景の維持にたいしても 少し悲観的なことも聞かれ
   少し 寂しい気持ちの 幡枝行きでした

 

投稿: 能勢の赤ひげ | 2018年9月17日 (月) 21時54分

立て続けの投稿で失礼します。

台風21号の影響で、京都の神社仏閣も相当ひどい被害を受けて、参拝中止のところもかなりあります。

下鴨神社・・糺の森 倒木
平野神社・・拝殿倒壊、桜の木 数本倒木
大覚寺・・・お堂エリア、大沢池エリア
平安神宮・・神苑(お庭)
大徳寺塔頭 真珠庵
吉田神社
建勲神社・・倒木
貴船神社・・叡山電鉄 途中でストップ、国際会館駅前よりバスで貴船口まで
その他、護王神社、地主神社、志明院(道路通行止め)等々、9月15日現在の情報です。

何とか、秋の紅葉の時期までには、復興して貰いたいと、願っています。

能勢の赤ひげ様の 円通寺散策も台風のによる風聞が影響したかも知れませんね。人混みは嫌ですが、少しは人の姿があったほうが、なにかと癒されますね。

投稿: あこがれ | 2018年9月18日 (火) 08時25分

 京都の 台風 豪雨 による
    被害状況  お知らせいただき有り難うございます

 被害にも 大小がありますが
     拝殿倒壊などは 悲しくなりますね 
       平野神社だけではなかったですよね
        本堂が倒壊した お寺もあったようなーー

  形あるものは  いつか 消えてしまう
      の例えは  まさにそのとおりですが
            辛いですね

  樹木の倒木も  辛いものです
      糺の森 も  吉田神社も 歴史ある場所ですからね   
      どう修復できるのか 気になります

  鶴岡八幡宮の大銀杏  どうなっているのでしょうね
      これも 気になります


  そういう 時代に生きているという自覚を強くもって
    無駄遣いせず   復旧 復興に
   国力をそそげるような  日本であってほしいですね

  箱物ばかりつくり  ほとんど全部が廃墟化しているのが  
     現状ですね

  厚生省  文部省  労働省  それぞれに
  大変  馬鹿をした歴史があります


  日本が  言い伝えで 一日にして沈没した
      アトランティスにならないことを
           願います

投稿: 能勢の赤ひげ | 2018年9月18日 (火) 14時13分

「比叡おろし」この曲を聴いていると、京都で出会ったある女性オーナーの方が思い浮かびます!

私は30・40代の頃、高級プレタのバイヤーの職務に携っていて、大阪をメインに神戸・東京へと先物展示会の発注を兼ねて、年に40回ほどの出張をしていました。そのうち京都には、地下鉄烏丸線の北山駅の近くにある業者へ年6回ほど通いました。

その展示会場に何度か訪問しているうちに、自然と京都の繁華街で手広く高級プレタを扱われている老舗の女性オーナーと親しくご挨拶を交わすようになり、タイミングよく展示会場でお会いした時は、ビルのレストランで、その方と食事をしながら意気投合するようになりました。
ある時、私はその方に一口に関西弁と言っても、やはり京都と大阪の言葉のニュアンスは随分違いますね!と何気なく言った時、貴方はどちらがお好みですか?と尋ねられたことがあり、どちらかと言えば好みは柔らかい感じがする京都弁ですかね!とお答えした時、その方は笑みを浮かべながら、実は昔からこんな言い伝えがあるんですよ!と言われ、例えば八百屋で漬物を買ってそれが美味しくなかった場合、大阪の女性は八百屋にもう一度行き、この漬物は美味しくなかったよと伝えに行くけど、京都の女性は文句を言わないけれど、二度とその八百屋には近づかないという、冷めてキツイところがあるとも言われているんですよ(笑)と、お話をされたことがあり、あぁなるほど、と思った記憶があります。

うちは比叡おろしですねん

あんさんの胸を 雪にしてしまいますえ

「比叡おろし」この詞を見て、このメロディを聴いていますと、京都の会場でお会いする度に、常に凛としていて気品を放っておられた、その女性オーナーのことが想い出されます。

投稿: 芳勝 | 2018年9月18日 (火) 18時39分

学生で新潟にいた時、BSNラジオ放送で聴いていた歌です。
昭和51~2年といえば学生で卒業前の頃。当時は関心ある別のことや試験などで忙しく、誰が歌ったのかどんな歌だったのかもよく憶えていませんが、先日ふとPCを見ていて思い出しました。でも今聴くと、すごく心に浸みてきますね。

殊に小林啓子さんのは、もう詩とメロと歌がぴったり、まさに絶妙の味わい・・。(以下、私の解釈)
 
 その人は、相手の人と京都で別れたんですよ。憂いの心はなお夜の京都の街を彷徨い、未練と憂鬱の心情が比叡おろしになって吹いてくる。ひとり女の情念が風となり、思い出深いあの人といた場所へと吹き寄せる。

  ”私は比叡おろし
    あんさんの胸を雪にしてしまいますえ・・ ”
 
 きっと30歳過ぎの色白美人。何かのことで別れたけど   また別の人と恋をしそうな けれども、また
 前と同じ様なことがありそうな 
    私は 夜の京都の街に吹き下ろす 比叡おろし・・・

投稿: 福ちゃん | 2018年10月30日 (火) 03時13分

小室等さんの歌があまりヒットしなかった主たる原因はおそらく、男声だからじゃないんですか? その意味で小室さんのせいじゃないと私は思いますね。つまりこの歌は、男じゃとてもダメなんでしょう。あまりにも正調だから、よくある「女心を男が歌う」式の歌謡曲じゃないんですよ。

ところで皆様は小林啓子さん(歌手)のを聴かれましたか?とても上手に歌ってますね! やはり女性歌手だからなんでしょうね、かといって他の女性のではあまりパッとしないみたいだし・・。
これって主観でしょうか?それとも聴く人の好み次第? 否、そうじゃないでしょう。きっと、声と歌いっぷり、その歌手個人の持ち味が、ちょうどこの曲想に合っているんですよね。若過ぎない程度の女性が、この歌をまるで自分の身の上話だか女の情念を綴るみたいに切々と歌い上げる・・なんか凄いですね! 男どもからは想像もつかない「女の心」を女自身が見事に歌い上げた傑作なのでは?

 ”風は今夜も吹いてくる 死んでは駄目よと言いながら
  さよならは小さなみぞれ そっと京都の街に 捨てて来たそうな・・”

ホントによく出来た曲だと思います。皆様はどうですか?

投稿: 福ちゃん | 2018年11月24日 (土) 23時46分

小林啓子さんはこの歌を賜りましたね。
それほどに相性抜群、雰囲気を醸す歌唱力です。
若い頃惹かれました。
寂しい歌です。若い頃は寂しさに惹かれるものですね。

投稿: りんご | 2018年11月25日 (日) 09時02分

福ちゃんさま、交流掲示板にコメントを書きました。

投稿: konoha | 2018年11月25日 (日) 14時09分

京都は千年にわたり日本の都であったからか、京都の人々は「京ことば」を方言というとらえかたはしませんし、京都人以外の人達でも「京ことば」を方言と思った人は少ないと思います。
「京ことば」とは大きく町方のことばと御所のことばに別れますが、婉曲表現、敬語、冗語など京ことばの優美性を形成するものも多く、多様な表現を通して、微妙なニュアンスを醸しだす京ことばの文化的な高さを感じます。
このへんの解説は、京都検定 ことばと伝説で学んだ通りの受け売りですが・・・

生粋の京都人ならではの詩で、殆どの歌詞がアレゴリーで書かれていることも、京都人特有の独特な婉曲表現に通じるものがあるようにも思えます。

今期の山荘の仕事もこの三連休ですべて終え、私の京都散策は明日からとなりますが、気がつけば 紅葉も盛りを過ぎて、ぼちぼち比叡おろしの肌寒さを感じる頃となりましたが、ひらひらと風に舞う銀杏や楓の葉と、敷きもみじを踏みしめながらの京都散策も又一興。おつなものだと納得してます。
負け惜しみではありませんが、この連休中の人混みを避けてというのは、案外正解かも知れません。

東福寺や南禅寺、永観堂、嵯峨野界隈は何度も歩きましたから、今回は落ち着いたシルバー向けの京都文学散歩で久しぶりにのんびりと、鷹が峰辺りの光悦寺~源光庵~常照寺にするか、きぬかけの道沿いに堂本印象美術館~等持院~直指庵を巡り、亀岡から山越えで帰ってこれればと、まだ思案中です。

投稿: あこがれ | 2018年11月26日 (月) 13時26分

この[比叡おろし」あれからも何度も繰り返して聴いています。本命?の小林啓子さんの歌をっしっかり鑑賞したところで二木先生の手になるBGMを聴いていると、これは歌が無いだけに(歌詞は頭に入っていますから)今度は我に返って、ついつい昔体験した色んな情景など重ね合わせて、ふと考え込みました。つまり男から見た女性の心の内を、今にしてですよ、いかにも理解が中途半端だったかもしれないと、自分なりに気づいたんですね。
実は りんご様、若い頃は「寂しい」ものに惹かれるという貴女の表現、これは私にとってまさに驚きだったのです。でも、これって女性と男の感性の違いなんでしょうか?私の持つイメージとはかなり違いますよ。どうせ私は昔ちゃらんぽらんの最中で、真の感受性などまだまだ発達段階だったんでしょう。相手の心の内まで思い至らず、自分は判ってると自信もっていたんでしょうかね?それとも、女性は男と較べて早熟だから? 殊に貴女のように明晰闊達なお方は・・。

投稿: 福ちゃん | 2018年11月27日 (火) 04時07分

576無題のKonohaさま
探すのに苦労しましたよ。お久しぶりです、お元気でしたか?

さて「比叡おろし」では遂に書き出しの描写が始まったようですね。 40代位の男らしく日焼けした顔の客がひとり、盃をぐいと空けたところで店の親爺の「おや、ひさしぶりだね」の声。目をむけると歳の頃30過ぎ、ふっくらした頬に色白二重瞼のきれいな女が入って来た。ちらりと一瞥をくれて一脈通じるものを互いに感じ取った。当然にしてそこから物語が始まっていく・・ 日本文学は大体こんな雰囲気ですかね? (文学少女が相手だから恐縮しています)
ところで雨月物語っていうのは何か不気味な描写が多くて、私など怖いもの見たさで子供の頃すこしだけ読んでみだ記憶がありますが、ホントにあれですか? 吉備津の釜とか、なにやら妻のもとへ中々帰れず約束の日に間に合いそうもないので何々した・・ とか、怖いですね。でもこんなのでは件の二人に果たしてどんな日々が待っているのでしょう?

二人はといえば、途中色んな会話のなかで一体どんな回想に耽っていくのか・・ 露骨に言うことはしないけれど、女は抱かれている時に、そして男は女を抱きしめるそのときに、もしや別の誰かのことをも思う。そして暫くの幸せな期間のあと、また別々の人生へと出発していくのでしょうかね?正直言って私には此処までの経験はないのですが、創作とは、尽きないものですね。ぜひ この先をもうちょっと詰めて創ってくれませんかねえ・・期待しておりますよ。  

ではお元気で! 色んな描写と物語の発展をお聞きできれば幸甚です。

投稿: 福ちゃん | 2018年11月28日 (水) 04時47分

福ちゃんさま
 交流掲示板投稿の番号をお知らせしていませんでしたね。お手数をおかけしてしまいました。申し訳ないです。

 そうです。一世代前の恋愛小説の書き出しです。井上靖もどきです。もちろん足元にも及びませんが。
「比叡おろし」だから比叡山の麓にして、朽木の発掘調査が行なわれた所にしようと考えたら、そうだ、映画「雨月物語」のあの雰囲気がいいと思った訳です。映画の方は「浅茅が宿」と「蛇性の婬」の話が入っています。場所は朽木だったので、連想遊びをしました。

琵琶湖周辺は3回に渡り一周しました。賤ヶ岳から朽木辺りはお天気も悪かったせいか淋し気な場所の印象が残っています。二人の先行きは福ちゃんさまのご想像にお任せ致します。もし私が小説を書くのなら(全く書けませんが)、泉鏡花の作品のようなものがいいなと思った次第です。

上田秋成『雨月物語』は怖い話ですね。でも哀しい物語りです。

投稿: konoha | 2018年11月29日 (木) 20時38分

Konohaさま 
ご投稿、早速拝読しました。でもこれだと掲示板と同じく私信みたいですね。二木先生、ご容赦下さい! テーマを忘れないようにと歌のBGM を付けて頂いてるのが、私にはとても有難いことなんです。

さて「雨月物語」は映画まで観られたんですか?さぞや怖かったでしょうね。でも貴女は気丈な御方ゆえに、おそらく怖いまでに深い恋慕の情や男女の約束事のもつ危うさなどにも思いを巡らされ、その辺が呑気で単細胞の私などからみれば、さすがに文学才女たるの所以なのでしょうね。
実を言いますと泉鏡花はWiKi 程度の見識もなく困惑していますよ。でも雨月物語はさすがに現実離れしていますね。で、雨月の次は泉鏡花なんですか? ・・いつの間に、私がそれを想像する役になったんでしょうね?まるで相手役の心配事をよそに自分は遊んでらっしゃるヒロインのような・・概略でいいですから、早く続きを見せて下さいよ。

ところで琵琶湖周辺の街は私も一回だけ行った所があります。随分と実用的な面で有名な場所だったですよ。これでも思い出といえば思い出でしょうか・・なお、京都は1年ほど下宿で過ごしたので、案外と思い出す事もあるんですが、これは1浪の時。いわば人生の出発点だったもので、気合入れました! でも1浪では終わらず泥沼でしたね。

話を逸らしたようで、ごめんなさい。いつの日か、泉鏡花の線で何か胸弾むような珍しい物語、思いもしない展開・・ そう期待してる次第です。

「比叡おろし」に「あざみ」もお忘れなくね。 ではお元気で!

投稿: 福ちゃん | 2018年11月30日 (金) 04時19分

この比叡おろしは懐かしい曲ですが歌っていた六文銭の小室等さんの作品と思っていましたのでびっくりしました。
もう50年前位に新宿駅西口の新宿文化という映画館で、上映後の夜にアングラ劇の公演があり友人が出演するというので見に行きました。スパイ物語という劇で昨年亡くなった常田富士夫さんが主役で別役実脚本でした。上手(舞台右)に六文銭のグループが音楽を担当していました。♪雨が空から降れば想い出は地面にしみこむ・・・♪という歌でした。当時小室等さんは中野坂上のマンションに住んでいました。よく見かけました。

十数年ぶりにコメントさせていただきます。
以前には当方の苦しい状況に励ましの言葉をいただきました。不摂生のため68歳に至り、18年ぶり二回目の心筋梗塞を一月前に起こして救急搬送のお世話になり、5本目のステントを留置し、その後もベッドの上で重篤な不整脈を何度も起こしていました。心拍を落ち着かせるためにいろいろなことを考えましたが乱れるばかり。そんな中でズバリ「死んでたまるか」と繰り返し思い、口ずさむと落ち着いてきました。
心筋壊死は拡大したようですが今は年金生活になり孫も生まれ落ち着いた生活の今日この頃です。平均寿命までは何とか生きたいと思っています。あと10年以上。先生もご自愛の上、永く記事を書いてください。

投稿: まっちゃん | 2019年1月19日 (土) 00時24分

先程NHKのE-TVで松岡正剛氏が戦後の振り返りを語られていて、ひょっとしてと思いGogleからこのPageに行き着きました。学生時代Folk Songが好きで自分でもFolk Guitarを弾いて唄っておりました。この曲は深夜Radioで流れており(小林啓子版)ましたが自分では唄った事がありませんでした。私は滋賀県大津市出身で仕事で24年振りに戻ってきた時に再びGuitarを手にして『故郷の唄』を唄いたいと思いこの曲の歌詞を見て驚きました。①【風は琵琶湖に吹いてくる】京都側では『比叡おろし』と言うのでしょうが琵琶湖西岸に吹く風は『比良八講』と言います。②【北山杉を下に見て】比叡山は東山の東北部に位置しますので残念ながら北山杉は生えていません。なのでこの唄を私は唄えません。
学生時代に女性に振られて一晩でこの素晴らしい曲を作った松岡正剛氏の才能には敬意を表す次第です。

投稿: DuoTone Yanto | 2023年8月15日 (火) 15時32分

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