今週の明星
(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo
作詞:藤浦 洸、作曲:古関裕而
1 輝きよ 輝きよ (間奏─ナレーション) 2 夜空高く 愛の星は |
《蛇足》 『今週の明星』は、昭和25年(1950)~昭和39年(1964)の14年間、NHKラジオ第一で放送された歌謡番組です。放送開始は1月8日で、毎日曜日夜7時30分から8時までの生放送でした。
のちにテレビでも同時放送されるようになりましたが、受像機が普及し始めた昭和30年代半ばごろまでは、ほとんどの家庭ではラジオで聞いていたと思います。
「家庭」と書いたのは、この時代から長い間、メディアは家庭単位で利用するのが普通だったからです。ラジオもテレビも、お茶の間で一家そろって楽しむというのが一般的な光景でした。
メディアは個人単位で使うのが当たり前になった今、若い人たちには、歴史教科書のなかの世界にしか思えないでしょう。
私も日曜日の夕食後、家族とラジオの前に座りました。そして、7時半になると流れてくる古関裕而作曲の「チャンチャラチャッチャ チャンチャラチャッチャ」を聞くと、さあ楽しいことが始まるぞと、ワクワクしたものです。
『歌の明星』は、毎回、3名の歌手がそれぞれ3曲歌うというシステムでした。歌謡曲がおもでしたが、外国民謡やアメリカン・ポップスもあったように記憶しています。
東海林太郎、霧島昇、伊藤久男、藤山一郎、岡本敦郎、林伊佐緒、高峰三枝子、二葉あき子、淡谷のり子、近江俊郎など、戦前から活躍していたベテラン歌手たちが、次々と出演しました。
番組開始時8歳だった私が、戦前の歌をいくつも知っているのは、この人たちの歌を聞いていたおかげです。
また、春日八郎、三橋美智也、美空ひばり、三波春夫など、戦後にデビューして昭和20~30年代の歌謡曲黄金期を支えた歌手たちの歌も、ほぼこの番組を通じて、私のメモリーに蓄積されました。なんとも懐かしい番組です。
(二木紘三)
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コメント
なつかしいメロディー、覚えてますよ。「今週の明星」の最後の年が昭和39年、その時、中学3年でしたから、はっきりとは記憶はないのですが。古関祐而のこの強い弾むような調子のメロディーははっきりと覚えています。藤浦洸の歌詞はとても短いがキレのある言葉の並びで、すばらしい。藤浦さんは「私の秘密」に出演してましたね。私はファンでした。
昭和39年といえば東京オリンピックの年だ。その時うちにテレビはなかった。先生が「学校は休みだ、家でテレビで観戦するように、テレビのない人は、頼んでみせてもらえ」と言った。オリンピック開幕の10月10日から3日ほど学校は休みになったのだ。
ええっ、「月光仮面」なら知り合いの近所の食堂でタダで見ることができたが、頼める人もいないよ。あまり興味もなかったので、何も見ずに翌朝の新聞で内容を知った。学校ってつめたいところだなあと、子どもながら漠然と思った。貧乏なものにつめたいというのが正しいかな。
この時の私や弟の様子を見て、翌年に母親が独断でテレビを買ってくれた。母親も働いていたから、テレビ有害論者の父にそんなに気兼ねなどする必要はなかったのだ。テレビを買ったら有害論者が一番テレビにかじりついていた。15歳の頃というと自分が出来上がる頃ですね。とてもなつかしい気持ちです。
投稿: 越村 南 | 2021年6月 7日 (月) 08時44分
一番と二番、音の数が全く違うのですね。
投稿: hurry | 2021年6月 9日 (水) 20時06分
タイトルを見て、ああ有ったなと懐かしく感じました。曲を聞いて出だしは漠然としましたが、進むにつれて口ずさむようになりました。いかにも藤浦 洸/古関裕而コンビの作風ですね。あの頃、実に新鮮で子供心にも明るくモダンな歌でした。懐かしくも戦後の復興を象徴するような歌だったと思います。
投稿: 吟二 | 2021年6月 9日 (水) 20時22分
オ~ 懐かしい!娯楽の少ない田舎ではこの時間が待ち遠しく、5球スーパーラジオの前で姉弟ならんでその後ろに父母もいて、歌手というスターの歌にウットリとした日々が思い出されました。
一番上の姉が歌詞を走り書きしたものを見て皆で歌っていて、今でもナレーション共に覚えていますが、今ふとアレッこのリズムは?と・・・確かに3/4だと思いますが自信ありません。
3/4のイントロにこれほど勇気付けられ、夢・希望を誘う歌詞・・・素晴らしい❣と他に言葉が欲しいです。
そして、二番は今で言うサビの部分では? もしそうだとすればこの曲は未完成かまだ続くのでは?
詮索し過ぎてはいけませんね。
投稿: 尾谷光紀 | 2022年2月16日 (水) 11時23分
「今週の明星」軽快なテンポで溌剌と感じさせるこのメロディーは、幼いころから私の耳に焼きついていて、そしてまたこのテーマ曲は当時の我が家の光景を一瞬にして蘇らせてくれます!
私がこのラジオ放送を初めて聴いたのは、昭和36年ごろだと記憶してます。それまでの我が家にはラジオすらなかったのですが、有難いことに何かと日頃から親切にしてくださったお隣のお宅から、うちは新品のラジオにしたからよかったらこのラジオ使ってと、古い大型の真空管ラジオを譲り受けました。そのラジオを眼の前にした時は、両親も私たち子供たちも皆大喜びでした。そのおかげで後に家族の皆が大好きになっていくこととなる、このNHKラジオ放送「今週の明星」を楽しく聴くことができたのです。
あれから60年の月日が流れましたが、このテーマ曲の一聯と二聯の歌詞はもちろんのこと、
間奏に入るアナウンサーのナレーション『日曜の夜のひととき 流れてくる歌の調べは・・・』
幼かった私の胸に深く刻み込んだ想い出がそうさせるのか、上記のくだりを私は今でも一言一句忘れることはありません。
昨年6月6日、ここに懐かしさ極まるこの曲がアップされた時、私は感激で思わず胸がいっぱいになりました。
投稿: 芳勝 | 2022年10月 9日 (日) 16時06分
(文中敬称略)
今年2025年は日本における放送そのものが現在はNHK放送博物館が建っている東京・愛宕山の東京中央放送局(現在のNHK首都圏放送センターラジオ第一放送)からの電波により開始されてちょうど一世紀になりますが、NHK・民放、テレビ・ラジオ、レギュラー・特番問わずこれまで数多くの歌番組が放送されてきました。
その一つである『今週の明星』は、NHK東京テレビジョン(現在のNHK首都圏放送センター総合テレビ)が内幸町の東京放送会館(現在は日比谷シティ)から日本初の地上波テレビ局として本放送を開始した1953年の今日2/1の夜、放送会館の目と鼻の先にある日比谷公会堂から生中継された、ラジオ第一とのサイマルなのでテレビオリジナルか否かを別とするならば恐らくテレビジョンにおける歌番組第1号だと思われます。
勿論当時はVTR何てものは存在しないのでその全編の視聴は不可能なんですが、NHK東京テレビジョン開局当日の模様を記録した白黒フィルムの短編映画『NHK東京テレビジョン開局の記録』(1953)にて『今週の明星』のオープニング(ファンファーレに続き司会の藤倉修一(1914~2008、当時NHKアナウンサー)による「今週の明星ー!」のタイトルコールとテーマ曲)と、笠置シヅ子(亀井静子、1914~85)が代表曲の『買物ブギー』(1950、作曲:服部良一(1907~93)、作詞:村雨まさを(服部のペンネーム))を歌唱しているシーンが収録されており、横浜市の情文センター内にある放送ライブラリーで無料で視聴することができます。
【蛇足】
このNHK東京テレビジョン開局当日の『今週の明星』を再現したとされるシーンは以下の作品で見ることができます(笠:笠置シヅ子役、黒:同番組に笠置の背景の端役で出ていたと思われる黒柳徹子(1933~)役)。
劇場版映画『トットチャンネル』(1987東宝株式会社・東宝映画、監督:大森一樹(1952~2022))
笠:室井滋(1958~)、黒:斉藤由貴(1966~/役名は「柴柳徹子」)
テレビドラマ『土曜ドラマ・トットてれび』(2016、NHK総合テレビ)
笠:中納良恵from EGO-WRAPPIN'(1974~)、黒:満島ひかり(1985~)
同『帯ドラマ劇場・トットちゃん!』(2017、テレビ朝日・名古屋テレビ・朝日放送テレビ系)
笠:ももfromチャラン・ポ・ランタン(松永もも、1993~)、黒:清野菜名(清野→生田菜名、1994~)
同『連続テレビ小説(朝ドラ)第109作・ブギウギ』(2023~24、NHK総合テレビ・NHK BSプレミアム→NHK BS・NHK BSプレミアム4K→NHK BS4K)
笠:趣里(水谷趣里、1990~/役名は「福来スズ子」)、黒:不明
【更に蛇足】
NHK朝ドラは結構異なる作品同士のクロスオーバー(例として、共に大阪府池田市が舞台の『てるてる家族』(第69作、2003~04)と『まんぷく』(第99作、2018~19))が見受けられますが、私としては笠置が審査員をしていた『家族そろって歌合戦』(1966~80、TBS・CBCテレビ・朝日放送テレビ→毎日放送系)をモデルにした架空のテレビ番組『家族みんなで歌自慢』が登場する『ひよっこ』(第96作、2017)とのコラボ、特に『歌自慢』審査員の一人のスズ子(趣里)が出場者である『ひよっこ』ヒロインのみね子(有村架純(1993~))ら谷田部一家にダメ出しするシーンが見てみたかったです(『ブギウギ』はスズ子が歌手引退を決意する1957年で終わっている)。
投稿: Black Swan | 2025年2月 1日 (土) 13時58分
この曲を聞くと沈んでいた心がはずみ、新たな希望がまた湧いてくるような気がします。素人の私が言うのも変ですが、古関裕而って、ほんとうに天才ですね。どういう旋律を並べれば、人間の心がどう動くか、完全に知り尽くしているような気がします。
<蛇足>であげられたように、当時はジオは個人で聞くのではなく、家族単位で聞いてましたね。しばらくしてテレビも、家族一団となって見ていましたね。もう二度とあんな時代はもどってこないという、ちょっと寂しいおもいがします。
NHKで1965年から1966年にかけて佐野周二が医者役でその一家の様子を描いた「あしたの家族」というドラマがありました。それを見る時だけは、娘役のジュデイオングのあまりの美貌に魂を奪わ奪われた私は「ああ一人だけのテレビがあったらなあ」と馬鹿なことを思ったことがありました。
投稿: 越村 南 | 2025年2月 4日 (火) 16時41分
越村 南様
>テレビも、家族一団となって見ていましたね。もう二度とあんな時代はもどってこないという、ちょっと寂しいおもいがします。
まさに越村様のおっしゃる通りですね。
現役最長寿アニメの『サザエさん』(1969~放送中、フジテレビ・東海テレビ・関西テレビ系)でも、私が子供だった頃の東芝一社提供時代に商品の販促も兼ねてかどうかは知りませんが磯野家・フグ田家の7人と1匹(勿論タマのことですね)が一家団らんでテレビ(勿論木目調四本足の「東芝カラーテレビ」)を視聴するというシーンを見たことがあります。
また、これはスポンサーに都合の悪いネタだったからアニメに使われなかったと思いますが、長谷川町子(1920~92)の原作漫画ではカツオとワカメがチャンネル権争いで兄妹喧嘩を始めそのバトルに何故か磯野兄妹のいとこのノリスケも加わり最後はノリスケがフネに諌められるという作品があったような気がしましたが…。
ちなみにほぼ同じ時代の『ドリフ大爆笑』(1977~98、同じくフジ・東海・関テレ系)でもこの作品に似たコントがあって、仲本工事(仲本興喜、1941~2022)扮する兄と石野真子(1961~)扮する妹がチャンネル権争いの喧嘩を始め、そこにおなじみの波平風の格好をした加藤茶(加藤英文、1943~)も加わり収拾がつかなくなったところに由紀さおり(安田章子、1946~)扮する兄妹の母親が飛び込んできて「やめなさい!」と一喝、更に加藤は由紀の夫及び兄妹の父親と思いきや「お隣の加藤さん!あなたは一人暮らしだからそんなことしなくてもテレビは見れるでしょ!」と由紀にダメ出しされ由紀家(安田家?)を追い出されてしまい加藤が「俺だってチャンネル争いしたいんだよ~(泣)」と嘆くという、面白くも悲しい作品でもありました。
ともあれ、ワンセグや見逃し配信が普及した今となっては「チャンネル権争い」も失われた風景になってしまいましたね…。
投稿: Black Swan | 2025年2月 7日 (金) 17時28分