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2021年12月31日 (金)

小ぎつね

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞:ドイツ民謡、作詞・編曲:E.アンシュッツ
日本語詞:勝 承夫

1 小ぎつねコンコン 山の中 山の中
  草の実つぶして お化粧したり
  もみじのかんざし つげのくし

2 小ぎつねコンコン 冬の山 冬の山
  枯れ葉の着物じゃ ぬうにもぬえず
  きれいなもようの 花もなし

3 小ぎつねコンコン 穴の中 穴の中
  大きなしっぽは じゃまにはなるし
  小くびをかしげて かんがえる


 Fuchs, du hast die Gans gestohlen

1. Fuchs, du hast die Gans gestohlen
   Gib sie wieder her
   Gib sie wieder her
   Sonst wird dich der Jäger holen
   Mit dem Schießgewehr
   Sonst wird dich der Jäger holen
   Mit dem Schießgewehr

2. Seine große lange Flinte
   Schießt auf dich den Schrot
   Schießt auf dich den Schrot
   Dass sich färbt die rote Tinte
   Und dann bist du tot
   Dass sich färbt die rote Tinte
   Und dann bist du tot

3. Liebes Füchslein lass dir raten
   Sei doch nur kein Dieb
   Sei doch nur kein Dieb
   Nimm, du brauchst nicht Gänsebraten
   Mit der Maus vorlieb
   Nimm, du brauchst nicht Gänsebraten
   Mit der Maus vorlieb

Kogitune
 2022年の年賀状用に描いたもの。歌詞との関連は、狐がテーマという点だけ。

《蛇足》 日本の唱歌だと思われていますが、原曲はドイツの童謡。ドイツ語圏では、知らない子どもはいないというほど人気のある童謡です。

 教師であるとともに、詩人・作曲家でオルガニストだったエルンスト・アンシュッツ(Ernst Gebhard Salomon Anschütz 1780-1861)が、1824年にドイツの古い民謡を編曲し、歌詞をつけて発表したもの。
 発表時のタイトルは『警告Warnung)』でしたが、一般には1番の最初の1行が曲の呼び名になっています。

 歌詞は、おおむね次のような内容:

 こらキツネ、ガチョウを盗んだな。返せよ。返さなければ猟師に鉄砲で撃たれるぞ。
 猟師はでかく長い鉄砲で、おまえを撃つぞ。おまえ赤く染まって死んでしまうぞ。
 小ギツネちゃん、泥棒になるなよ。おまえにガチョウの焼き肉は必要ない。ネズミで満足しておけ。

 狩猟民族と農耕民族の違いとでもいいましょうか。勝承夫(かつ・よしお)のゆったりした歌詞とは、ずいぶん雰囲気が違います。
 アンシュッツは、盗みはだめだという教訓的な趣旨でこの歌詞を作ったようですが、日本では、幼い子どもを怖がらせるような歌は、あまり好まれません。

 なお、アンシュッツは、同じ1824年に、クリスマス・キャロルとして広く歌われている『樅の木(O Tannenbaum)』を作っています。

 勝承夫の歌詞で歌われるようになったのは、昭和22年(1947)から。最後の国定教科書の1つとして発行された『三年生の音楽』に掲載されました。

 国定教科書とは、執筆・編集を文部省(当時)が行い,全国の学校で一律に使用させた教科書。最後の国定教科書は、国定ではあったものの、新憲法下の新しい学習指導要領に沿って編纂されました。

 『小ぎつね』はかなり長く教科書に載ったようですが、今も音楽の授業で使われているかどうかはわかりません。

 勝承夫は、『故郷の人々』『灯台守』『夜汽車』『歌の町』などのほか、膨大な数の小・中・高校・大学の校歌を作詞しています。

(二木紘三)

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コメント

 令和3年最後の日、「小ぎつね」の童謡を聴き、遠くなった故郷を思い出しました。70年位前でしょうか。

 田んぼや段々畑、竹林の間を縫うように細い砂利道。
 藁屋根家の庭の片隅に小さなニワトリ小屋。
 ニワトリ小屋から毎朝 弟は卵を持ってくる。
 ある日 弟は泣きながら家に。
 ニワトリ小屋は きつねに襲われていた。

 探しに行ったらニワトリの首がなくなっていた。

 > こらキツネ、ニワトリを盗んだな。返せ。

投稿: けん(健9 | 2021年12月31日 (金) 08時00分

明けましておめでとうございます。

『小ぎつね』は、学校では習いませんでしたが(学年がずれていたからでしょうか)、よく知っている、懐かしい歌です。
歌詞3番最終行の、♪小くびをかしげて かんがえる♪の可愛らしい表現が、私の心を捉えます。
なお、「スーパー大辞林」によれば、”こくびをかしげる”とは、”不審に思ったり、不思議に思ったりしてちょっと首をかたむける”とあります。

少し逸れますが、私の愛唱歌に、これに類するフレーズが登場する歌があることを思い出しました。
『東京の花売娘』(佐々詩生 作詞、上原げんと 作曲、岡晴夫 唄 S21)
<歌詞2番>
   夢を見るよに 花かご抱いて
   花を召しませ 召しませ花を
   小首かしげりゃ 広重えがく
   月もあらたな 春の宵
   あゝ東京の 花売娘
花売娘の、小首をかしげる、可愛らしい所作が浮かび上がってくるようです。

投稿: yasushi | 2022年1月 1日 (土) 16時00分

あけましておめでとうございます。
 「最近の記事」で『子ぎつね』とあり、可愛いタイトルで、はて?どんな曲なんだろうと思いました。早速聴いて懐かしさが満ちてきました。小学校で習ったのか、どこで覚えたのかは定かではありません。庭の陽だまりで妹とおままごとをして遊んだことが懐かしく思い出されました。

投稿: konoha | 2022年1月 4日 (火) 20時27分

この童心にあふれた歌を聴いていますと、子供はどうして動物が好きなのだろうと不思議になってきます。色々な見方があると思いますが、動物は、いのちが、す(素)の姿で出るのが一つの理由ではと思います。人間は、特におとなは、気持ちの表現が複雑すぎたり、損得を考える知恵があったり、地位にこだわったりします。また色々規則があって、例えば往来でうんこをしたりしません。すのいのちが見えにくいと思います。動物の、すのいのちの持つ輝きが、子供の心を動かすのではと思います。

投稿: kazu | 2022年1月 4日 (火) 21時51分

「小ぎつね」この曲はてっきり日本の童謡だとばかり思っていましたので、原曲がドイツの民謡を編曲し、歌詞をつけたドイツの童謡だったこと、しかも発表時のタイトルが「警告」だったことを知り、私はそれが本当に意外でした!

幼いころに過ごした私の故郷九州の佐賀県の田舎は、山に囲まれた田畑だらけの地域でしたが、北部の地方に生息するというキツネを見かけることはさすがにありませんでした。

ただ、ここで発表時のタイトル「警告」の歌詞を見ながら、私は幼いころの悲しい体験を想い出しました。キツネはいませんでしたが、それでも私の地域ではイタチが時々出没しました。
私が小学生のころ、私が世話係で毎日可愛がりながら我が家の軒先の小屋で飼っていた二羽のうさぎが、ある日の夜イタチに襲われて、二羽とも小屋の中で亡くなっていたことがありました。早朝にそれを発見した時のショックは今も忘れられません。

しかし、ドイツでは「警告」だったというこの曲が、勝承夫氏の朗らかでほのぼのとした日本語の詩によって、みんなに愛され親しまれる童謡になったことは本当に幸いで、私はそのことを嬉しく思います。

「小ぎつね」私はこの唄を学校で習ったという記憶はありませんが、ここで見た1番から3番までの歌詞を、私はすべて覚えていたので、もしかしたら小学低学年の時に学校で習っていたのかも知れません。


投稿: 芳勝 | 2022年1月23日 (日) 16時21分

 私は別名を「こぎつね」として投稿したりしています。だからこの欄でこの曲を発見した時、懐かしく感じました。二木先生の解説(蛇足)によりますと、原詞は「鉄砲でおまえを撃つぞ。おまえ赤く染まって死んでしまうぞ」というような歌詞だそうですが、イソップもそうですが、大陸は陸地が繋がっていて戦火が絶えないせいか、すぐ「殺す」なんて言うんですね。その点、海に囲まれて外国からの襲撃を受けにくかった日本の優しさは特異かも知れませんね。私は紙芝居を20年以上実演していますが、日本のそれは、結末が「殺される」ような物語は殆どありません。ただ一つ、結婚したいと言い寄ってくる男たちを断れず自殺した娘の人肉を「なます」にして彼らにふるまった男親の話がありますが、私は、これは原本は日本ではないと思っています。

投稿: 吟二 | 2022年10月30日 (日) 19時44分

 私は、5歳の頃から、「ヤマハ音楽教室」に入れてもらってましたが、そこのテキストの中に、この「こぎつね」が入っていた記憶があります。(^.^)
 でも、歌詞は「♪こぎつね コンコン…」ではなく「♪ キツネよ ガチョウを すぐ返せ…」だったように思います。(^^;
 昭和40年頃の話ですが、元の歌詞に「近い」ように思えますネ。

投稿: ポテト姫 | 2022年11月30日 (水) 04時57分

世界一暗い国歌と言われる、イスラエルのそれ。
その歌い出し、なぜだかこの「小ぎつね」を連想するのですよ。
イスラエル国歌を初めて耳にしたときはそれとは別に、チャイコフスキーの小品「ふるいフランスの歌」を連想したもの。
で、イスラエル国歌を聞くと「モルダウに似てる」、と捉える向きが世間には強いようで・・(僕自身は似てるとは感じない)
 
フランスの、と題されてても「古いフランスの歌」は東欧起源。イスラエル国歌も同様。
小ぎつね、イスラエル国歌、古いフランスの歌、モルダウ
この四つが実は繋がってる!という説もあるのですよ。

投稿: 右院座 | 2022年12月17日 (土) 05時08分

 長崎のsitaruです。ずっと掲示板にかかずらわっていて、本筋の歌の方から遠ざかっていました。
 この「小ぎつね」は大好きな曲で、子供の時から「ドレミファソッソ ラファドラソ」とよく空んじていて、リコーダーでもよく吹いていました。ドから始まり、一音ずつ上がって行く軽快なメロディーが心地よいです(このような曲は他にないのではないでしょうか)。
 ただ、この訳詞はあまり好きではありません。否定表現が続いて、積極的な小ぎつねの姿が見えて来ません。もっと快活な明るい小ぎつね像を描いて欲しかったです。
 なお、この歌の歌唱もいろいろな人、合唱団が歌っていますが、わたしは神崎ゆう子さんの歌唱が一番好きす(YouTubeに上がっていますので、是非聴いてみて下さい)。

投稿: sitaru | 2023年6月12日 (月) 06時37分

数日前、TVで都会に住むキツネについて遠くから望遠レンズで紹介する番組がありました。私も地方に住んでいますが散歩の途上、何回もキツネたちに遭遇しています。近くに大きな空き家があり、おそらくそこに住んでいるものと想像しています。時刻は午前3時~3時半頃です。1昨日は兄弟でしょうか、2匹のキツネが私の前方10mぐらいの距離で道を横切りました。一匹は私に遭ったことで恐怖を覚えたのでしょうか、小さな声ですがびっくりするような唸り声で逃げて行きました。もう一匹は私が手招きで小さな声で「おいでおいで」というと2~3m迄、近寄り珍しいものを見るような感じで立ち止まっています。今朝も同じ頃、散歩していると一匹ですが近寄ってきます。いつも近くの神社でお参りをしているので、私がお参りをしている間、じっとこちらを見ていました。私もしゃがんで話しかけましたが、じっとしているだけです。よく見るとしっぽは30cm位で先っぽは白くなっています。胴体も尻尾と同じくらいでしょうか。3日連続で遭うと何やらほのかな友情さえ感じられます。これ以上時間もないのでキツネ君に「さようなら、また明日ね」と小さく言って別れました。住所は、食べ物は、家族は、、?分からない事ばかりですが、知る必要はありません。すこしでもキツネ君との逢瀬が長続きしますよう祈るばかりです。

投稿: いえのマル | 2024年8月13日 (火) 15時40分

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