あの尾根遠く
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作詞:武井つたひ、作曲:土田啓四郎、唄:若山 彰
1 遥かな空よ 青空よ 2 連なる峰よ 雲が流れ 3 山脈(やまなみ)静か 黄昏れて |
《蛇足》 NHKラジオ歌謡の1つで、昭和35年(1960)9月12日から1週間放送されました。
3年前に『喜びも悲しみも幾歳月』という大ヒットを放った若山彰が、朗々と歌いました。
日本コロムビアからレコードが発売されましたが、あまり売れなかったようです。歌詞・曲とも青春歌謡としてヒットしそうな条件を備えているのに、なぜ広まらなかったのでしょう。
若山彰は、コロムビア合唱団とともに、『六甲おろし』の通称で知られる 『阪神タイガースの歌』を歌っています。作詞:佐藤惣之助、作曲:古関裕而という無双のコンビで作られ、昭和36年(1961)に発表されました。
『あの尾根遠く』を作詞した武井つたひは、長野県出身の詩人で童話作家。
作曲の土田啓四郎には、『わが愛を星に祈りて』(梶光夫・高田美和)、『愛と死をみつめて』(青山和子)、『ほんきかしら』(島倉千代子)などのヒット曲があります。
3番の「青春の日の かなしさよ」は、作詞者がどう表記したかわかりませんが、私が見た歌集では、「かなしさよ」はひらがなになっていました。
ひらがなだと、「悲しさよ/哀しさよ」がまず浮かびますが、「愛(かな)しさよ」とも取れます。
この歳になると(「どの歳だ」って? あなたと同じ歳ですよ)、バカと失敗、苦渋に満ちた「青春の日々」が、なんとも愛おしくなってきます。まるで父親ができの悪い息子を見るかのように、青春時代の自分を優しく見るようになるのです。あなたはどうですか。
(二木紘三)
YouTube版=https://youtu.be/rab9U50J1J0
コメント
信濃恋唄、信濃の国、あの尾根遠く と信州シリーズをありがとうございます。この歌は知りませんでした。(S19年生まれ)愛と死をみつめての男性は伊那北高校だったと思いますが、信州にはいろんな人がるんですね。「青春時代の自分を優しく見るようになるのです」これはパークゴルフ大会の案内状の接頭語にいただきます。
投稿: 海道 | 2022年5月29日 (日) 11時32分
私が11歳の時の歌です。初めて聞きましたが、さわやかでいい歌です。作詞者も長野県で、なるほど信州らしい山や空をうたっています。しかし「友の名彫りし岩肌よ」とありますから、友人が山の事故でなくなったということでしょうか、それなら単にさわやかな歌ではすまされない。さわやかな山の風景と亡き友への慰霊の気持ち、この二つを心に持ちながら歌う、それはちょっと難しいように思います。あまり広まらなかった理由では。
海道さんへ。愛と死を見つめてのマコの河野実(こうのまこと)さんは、ウウイキペディアによれば大阪生まれで疎開のため伊那北高校に通っていたとあります。高校を卒業して浪人中に阪大病院に入院、そこでミコ、大島みち子さんと知り合います。軟骨肉腫のできる難病で苦しむミコとの文通を公開し書籍にして、160万部を売りあげる大ヒットとなりました。その後も伊那に帰ったこともなさそうですから、単純に長野県人と呼びにくいと思います。
投稿: 越村 南 | 2022年5月30日 (月) 11時38分
ルール違反と知りながら3個目のコメントお許しください。
吉永小百合の歌い方は素人っぽい感じですが、無技巧な分、かえって爽やかさが伝わってきます。ひたむき・健気(けなげ) ・清潔という少女像は、昭和30年代の吉永小百合を最後に、わが国では絶滅しました。(二木紘三)
吉永小百合の歌は「愛と死をみつめて」ではなく「愛と死のテーマ」だったと思います。信州人はあざみの歌、水色のワルツ、小諸わが想い出など信州にちょっとでもかすっていれば信州の歌と言い張る悪癖があるのだと思います。
それは産まれる前から「信濃の国」を聞いて育ったDNAがそうさせるのだと思えてなりません。
追伸:伊豆の踊子も時雨煮を美味しく頂いたのだと思います。?
投稿: 海道 | 2022年6月12日 (日) 11時19分