2021年2月28日 (日)

惚れた女が死んだ夜は

(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞:みなみ大介、作曲:杉本真人、唄:小林 旭

1 なぐさめなんかは ほしくない
  黙って酒だけ おいてゆけ
  惚れた女が 死んだ夜は
  俺はひとりで 酒をくむ

  わかりはしないさ この痛み
  どこへもやりばの ない気持
  惚れた女が 死んだ夜は
  雨よ降れ降れ 泣いて降れ

  酒よ 酒よ 俺を泣かすなよ

2 甘えてすがった さみしがり
  ふり向きゃいつでも そこにいた
  惚れた女が 死んだ夜は
  何を言っても ぐちになる

  いいやつばかりが 先にゆく
  どうでもいいのが 残される
  惚れた女が 死んだ夜は
  涙流れる ままでいい

  酒よ 酒よ 俺を泣かすなよ
  酒よ 酒よ 俺を泣かすなよ

《蛇足》 平成9年(1977)6月21日発売。

 この歌はタイトルがすべてですね。タイトルだけで、ガツンとくる。歌詞はほとんどいらないくらい。

 惚れ抜いた女が死んだら、男がやることはひとつ。飲んで嘆いて、泣き、また飲んで、「なんで勝手に死んだんだ」と理不尽な恨み言をいい、また飲んで泣く。
 この悲しみには、たとえ親友でも入り込む余地はない。悲嘆の池に独りどっぷり身を沈めることだけが、男にとっての救いなのです。

 タイトルは、「愛する女が死んだ夜は」とすることもできます。しかし、「愛する」は、少なくとも日本語では、抽象的で汎用性が高く、その分、印象が散漫になりがちです。日本人の多くが、思い人に対する話し言葉としては、あまり使わないのはこのため。ラブレター(死語ですかね)など、書き言葉ではよく使われますが。

 遠い遠い若き日、「あなたを愛しています」と告白しようとしたものの、気恥ずかしくてどうしてもいえず、「好きです」でお茶を濁した人も多いのでは。それでも気持ちが通じることもありますが。

 いっぽう、「惚れる」は対象がほとんど個人、それも異性であることが多い。俗語で、いささか品下る感じがしますが、アドレスがはっきりしているので、気持ちがストレートに伝わりやすい。
 タイトルに「惚れた」を使ったことによって、死んだ女が男にとってどれほど大切な存在だったかが、ひしひしと伝わってきます。
 静かに歌い、しみじみと味わいたい歌です。

(二木紘三)

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